今朝のクレイドルマウンテン撮りおろし

　

　今朝も4時おきで撮影に行った。かなりくたくたです。なにせ今日没が午後9時半ぐらい。キャンプに戻り寝るのは11時過ぎ。そうすると寝たと思ったらもう起きる生活。そして昼間はギャラリーで写真展の説明でしゃべりっぱなし。世界一空気と水が綺麗なところにいるのに忙しい生活です

今朝の朝焼けは凄くよくてフィルムで20本、デジタルで200カットぐらい撮影しました。朝ギャラリーに来たときはクタクタでした。昨日も夕焼けを撮影して山の中の我が家に戻ると9時半、眠いけどお腹もぺこぺこ。キャンプ場のキッチンで今晩はパスタを作る。酒のつまみはオイルサーディーン。簡単、早い、安い。

キャンプ場のキッチンは夜になると人種の坩堝（るつぼ）。昨晩もざっと見て10カ国ぐらいの人間がいろいろな言語でおしゃべりしている。世界会議の会場みたいだ。僕もあいてるテーブルを探しフランス人の熟年のカップルと同席させてもらう。

ここのカップルはだんなさんが一生懸命シーフードで料理を作っている。その間奥さんはお茶お飲んで待っている。僕は自分の食事の支度が出来たので食べようとすると、このフランス人の女性と目が合った。とりあえずこうゆうところでは一番大事なのは笑顔。人種の坩堝では敵ではないことを意志表示しないといけない。そのあと自然と彼女のワイングラスと「乾杯！！」僕が食べてる間もひたすら彼女は待つ。食べ初めて30分、彼女が「今何時？」と聞くので時計を見ると10時半。少し痺れを切らしたころ、素晴らしい鯛のソティーとポテトサラダと新しいワインを持ってだんなさんが来た。そして小さなテーブルキャンドルとテーブルクロスも。あっという間にキャンプ場の粗末なテーブルが素晴らしいダイニングルームになった。3人で乾杯をした。彼女は食事に口をつける前に料理を作ってくれた彼に感謝の言葉（フランス語なので良く解らないけど）をのべ、彼にキスをしてから食事をはじめた。あまりの素晴らしい瞬間で見とれてしまった。

某タイヤメーカーのたかが販売促進用のグルメガイドブックに頼りきるどこかの国の人に見せてあげたいと思う。何処の店で何を食べるかも大事だけれど、一番美味しいのは誰と何をして食べるかだと思う。グルメガイドブックに頼って緊張しながら食べるご飯よりもリラックスして食べる自分に行きつけの飲み屋でのほうが僕は美味しいと感じる。自分自身で一番美味しかったのは、昔付き合っていた彼女と、渋滞の高速道路で花火を見ながら食べたおにぎりだった。

バブル全盛のころ、接待で銀座の老舗高級レストランに行った。凄く美味しかった。シェフの方がテーブルを廻り「いかがですか？」と聞くので、美味しい旨を告げると「でもこの料理をお家で一人で狭い部屋で、自分で料理を並べて自分でワインや水を給仕して食べたらちっとも美味しくないでしょ、どんな風に誰と食べるかが大事ですよ」とその当時22か23の駆け出しの営業マンだった僕はこの熟年のシェフに教えられた。


そして僕は向かいのフランス人のカップルに「フランスではタイヤメーカーのグルメ本を見てディナーに行くの？」ときいたら、ひとこと「そんなもの見たことないね、俺はたくさん美味いとこ知ってるから。」で終わってしまった。

この世界一水と空気が綺麗な土地で美味しいものってなんだろうと考えさせられる一夜でした。
追伸
うちの近所のヤキトン屋さんとすし屋さんがタイヤメーカのグルメ本に出なくてほっとしています