ありがとう、そしてさよなら僕のサンタクロースさん

つい１月半前ほぼ新品のＦＵＪＩ　ＦＩＬＭパノラマカメラ　ＴＸ－１が僕の戦列に加わった。カメラを酷使するのでとても助かる。このカメラはあるスポンサーのＳさんからのプレゼントだった。

「いつもいい写真パノラマで見せていただいているので、少し早いけどこれ僕からの相原さんへのクリスマスプレゼント。手元においてあったのだけど僕が持っているよりもあなたが持っているほうが良いからご遠慮なく使ってください。またいい写真みせてくださいね。中身はあとで開けてみてね」とビニール袋に包んだ物体と笑顔を置いて「さえずり館」の写真展会場をあとにされた。Ｓさんが出て行かれた後、コンビニのビニール袋を開けるとほぼ新品のＴＸ－１が出てきた。もう涙が出るほど嬉しかった。フリーのカメラマンになってからずっとお世話になりっぱなしのの方なのに更にそのようなプレゼントをいただけるなんて、しかもＴＸ－１は生産が終わっており中古でもめったでない。パノラマカメラを主力にしている僕にとってはフラッグシップがもう１つ増えたので心置きなく使える（酷使できる）のは作品制作上願ったりかなったりだった

今つぎのタスマニア撮影の準備で我が家は戦闘状態。もちろんこの新参ＴＸ－１も最前線にもって行くつもりで準備していた。そしてその間をぬってスポンサーさんに年末のあいさつ回りにもお伺いする。そして先週の木曜日クライアントさんにお伺いすると担当の方が「すいません今日、Ｓさんの告別式だったのでバタバタしていて申し訳ないです」と最初に切り出されて、その瞬間僕の心が凍り付いてしまった。あのＴＸ－１を持ってきていただいたときが最期だったのかと。何かＳさんに虫の知らせがあったのかもしれない。何をカメラとともに僕に託そうとしたのか、自問自答しました。

お亡くなりになった原因はガンだったそうで、あっと言う間の最後だったそうです。まだだいぶ歳もお若かったと聞いています。そのあとの打ち合わせにはなかなか気持ちが入らずとても苦労してしまった

家に帰ってＴＸ－１を見る。カメラがＳさんのお顔に見えてきてしまった。このデジタル全盛時代にこのややもするとマイナーな銀塩パノラマカメラを託してくれた気持ちがすごくすごく心に突き刺さってきてしまった。これからタスマニアの撮影を控え、その後に続く写真展、きっとこのＴＸ－１を酷使して酷使して使いまくって絶対に世界にOnly OneでＮｕｍｂｅｒ　ＯｎｅパノラマＴＸ－１写真の世界を築こうと、そして銀塩フィルムでしか見せられない世界を築こうと心に誓いました。ふたたび大変な道が始まるけど、生きているし写心が撮れるこんな楽しいことならさらに、Ｓさんの心に答えるため、そして彼の答え以上のものを撮ろうと思います。今日から再びタスマニアの大地の精霊たちの世界に踏み込むため心を戦闘モードに切り替えます。そしていつかＳさんのスピリトに答えられる作品を創ります。そのためにみなさんもどうか今後ともご贔屓ご声援よろしくお願いいたします。そしてどうもありがとうございました僕のサンタクロース様、そしてさようならサンタクロース様。
撮ります！