立方体に捕獲された月 


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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
立方体に捕獲された月 
香川県 観音寺港
FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR
フィルムシミュレーション:ACROS+R、WB/電球
What is this?お城?宇宙人の秘密基地?現代アート?答えは意外なもの。海の中で活用する物、ケーソン。伊吹島の真浦港の港湾工事に使用されるコンクリート製の大型構造物。観音寺港で製造され、台船で伊吹島まで運ばれた後、海に沈められて港の防波堤や岸壁の一部として設置される予定。高さは20mぐらい。ごついコンクリートの巨大な箱。
今年は、瀬戸内海は世界的に注目されるエリア。その理由は春から秋に3回に分けて行われた瀬戸内芸術祭(通称:瀬戸芸)。元来、直島など現代アートでは世界的に有名なエリア。現代アートの世界では東アジアが熱い。特に日本の瀬戸内は、草間彌生氏、安藤忠雄氏などが参加する多くの現代アートの施設があり、世界から注目を浴びている。今回の旅は、そんな現代アートの1つ、20世紀建築の3大巨匠ル・コルビュジエの作品が香川県高松で展示されるので見学に行った。そしてせっかく高松に来たら、讃岐うどんも大切だが、午後の光の瀬戸内海を撮影したくて、しまなみが美しいエリアにやってきた。
瀬戸内海は世界でも稀に見る美しい内海で、小さな島が点在する。その風光明媚な美しさは、ここではお名前は書けないが、ヨーロッパのセレブ達の憧れの的にもなっている。


今回はガチの撮影ではないので、フル装備ではなく旅装備。X-T4とXF35mmF1.4、XF16-55mmF2.8 R LM WR、それと、万が一予想外の被写体に出会ったときに高画質描写が必要となるためGFX100S(実はかなり心配性なので)。レンズはGF32-64mmF4 R LM WR、GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR、さらに旅立ち間際に玄関で慌てて、バッグにしまったGFテレコンバーター。海の景色が広がる観音寺港に着いた時 午後の光でやさしい光景の中に、突如眼にとまった巨大な立方体。一体あれは何だろう。何の目的にあるのだろうと好奇心スイッチONになった。案内してくれた現地の写真家の友人がこの立方体ケーソンの説明をしてくれた。近づくと、凱旋門のような空間の向うに微笑んでいる月が待っていた。「撮りに来るのを待っていたよ」と話しかけてくる。僕は瀬戸内の風景を撮ることを完全に頭から消し去った。好奇心が全開。そしてこの箱に恋してしまった。富士フイルムのSNSのキャツチフレーズに「#色に恋する富士フイルム」というのがあるが、まさにこのモノトーンの巨大なモノリスに恋をしてしまった。写真でいちばん大事なことは、好奇心と恋をすること。昔からあばたもえくぼというように、恋をするとなんでも美しく見え、かつ、より美しくなるポイントを探し、そして相手がたくさん喜ぶように撮りたいという気持ちになる。よく僕はうちのアシスタントに「好きな女の子に自慢したくなりたい気持ちで撮るように」とアドバイスする。恋する気持ちは作品を昇華させる。だから色に恋することは、作品制作でもっとも大切。好奇心と恋する気持ちは、新たな視点を生み出してくれる。



今回、瀬戸芸で多くの作品を拝見した。現代アートなので、自分の感覚ではよく解らない物もあった。だが解らないなりに「こんな視点、こんな発想があるのか!」とかなり勉強になった。一人で作業をする写真家は、自分の世界観に没頭するあまり、良くも悪くも発想が固定化されやすくなる。そんな時に現代アートを見ると、凝り固まった脳と心をほぐしてくれる。「風家写真を撮るから風景しか見ない」、「ポートレートを撮るからポートレートしか見ない」では発想が化石化してしまう。いろいろな刺激を受け、発想と視点の引き出しを多様化することが大切。GFXシリーズは、作品を生み出したいという写真家(プロアマ問わず)に対して、数多くのフィルムシミュレーション、アスペクト比、WB設定、それから現像ソフトも完備している。作品を創り上げたいと思う、写真家の無限の視点の引き出しに一番対応しているカメラシステムであると感じる。今回X-T4からGFXに切り替えて撮影したのは、コンクリートの質感、重量感、そして捕獲された月をしっかり描写して欲しいためだった。同行の友人は「遊びで来たのに本気モードになっている」と笑っていた。GFXは、偶然の出会いでも、本気で撮影をさせる気にしてくれる、うれしい意味での困ったカメラだ。ぜひ本気のカメラを多くの人に体験してもらいたい。


撮影協力:宮本まさる(敬称略)


Photography by Masaaki Aihara



相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください


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by masabike | 2025-11-05 22:03 | 日本風景 | Comments(0)
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