写真の記録性 FUJIFILM X Series facebookより転載


写真の記録性 FUJIFILM X Series facebookより転載_f0050534_09123408.jpg

【和の「写心」By Masaaki Aihara】
東京 兜町 日証館
FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF32-64mmF4 R LM WR
フィルムシミュレーション:ACROS+Ye
写真にとって最大の使命、目的、効能は何か?報道性?芸術性?それも正解ですが、一番はいろいろな意見もあると思うが「記録性」だと思う。大学時代にフォトジーナリズムを習っているとき、「いかなるジャンルの写真も時間の経過とともに記録媒体という使命から逃れることができない」と習った。広告写真も、ファッションも、スポーツ写真もその時代を反映した記録となってしまう。これが写真最大の武器である。写真が誕生したおかげで、絵画はその記録媒体としての使命を終わり、表現の自由を手に入れ、印象派などを生み出した。そして写真の記録性がもっとも生かせる被写体の一つが建築。東京にはいまだに東京大空襲などから生き延びた建築がまだいくつか現存している。
その一つが、証券会社などが数多く集まる東京・兜町にある日証館。「東京都選定歴史的建築物」に指定されている。日証館は1928年に建築された。関東大震災により事務所等を失った証券会社のために日証館は建てられた。建てられる前は、あの渋沢栄一氏の邸宅だった。実はこの建物、僕と深いご縁があり今回は許可をいただき撮影した。
写真家になる前、僕は約8年間広告代理店の営業マンだった。その時に初めて担当したクライアントさんが、この日証館のオーナーでもある平和不動産様。毎日このビルに通いパンフレットや新聞広告のチェックに行っていた。だが当時、僕は新卒の平社員。しかもスタジオ希望で広告代理店に入ったのに、配属されたのは営業部。失望と不満の毎日。しかも営業は自分に一番向いていないと思ったポジション。だが逃げるわけにはいかないので、毎日クライアントさんに通っていた。そのためか、日々の仕事をこなすのが、精いっぱいのため、周りを見る余裕がなく、こんな立派な建築であると当時は全然記憶にとどめていなかった。だが幸運なことにクライアントの担当の方も新人さん、お互い新人同士のこともあり、クライアントの方が辛抱強く僕の仕事の面倒を見てくれた。会社を辞めてオーストラリアに旅立って以来、1度だけ写真展にお越しいただきお会いした。
今年、僕はフリーランスの写真家になって30年。そのタイミングで再びお会いすることが叶った。会社を辞めて37年ぶりにこの日証館の玄関をくぐった。思わず、息をのんだ。こんなに荘厳な建築だったのか?サラリーマン時代ほぼ毎日通っていたビルであるが、気がつかなかった。数十年ぶりにお会いするクライアントさんに、ご挨拶もそこそこに、このビルを撮影させていただけないかとお願いした。GFX100Sの1億画素はまさにこのためにあると感じた。歴史が生み出した貴重な建築遺産。柱や壁、あるいは照明などの細かいディテールの1つ1つが遺産であり、時代の生き証人。それを克明に記録するには1億画素が必要であり、ふさわしいと感じた。さらにディテールを見せるには、色に邪魔されないモノクロームがふさわしいと感じた。写真家になって30年。会社員時代、自分にとって人生のまわり道で無駄な時間と思った営業マンの時間。今となっては多くの経験 多くの人々と知り合うチャンスを作ってくれた。そして人生の視点の引き出しも作ってくれた。写真も仕事も、アイデアや視点の引き出しの数がとても大切。GFXシリーズの高画素と数多いフィルムシミュレーションはその引き出し活用してくれる。テクニックも必要であるが視点の引き出しが最も必要であると僕は考える。風景写真も建築写真も共通する視点が多い。撮影をするとき、まわり道と思っても色々撮ることを僕は勧める。多くのプロ写真家の意見とDNAが刷り込まれたGFX。
いろいろな引き出しに対応してくれるはずだ。そして、そのち密な画像は間違いなく時代の最高で最大の記録者になってくれる。日証館の玄関で撮影しているとき、40年前の新人のおろおろした自分が見えた気がする。迷わなくてもいいんだよ、望みが叶う未来は来るよと声をかけたくなった。
撮影協力:平和不動産株式会社
Photography by Masaaki Aihara



相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください


富士フイルムさんのX シリーズフェイスブクで 和の写心(毎週水曜日更新)を連載中。「イイネ」押してくださいね





ブログランキング応援クリックお願いします。応援たくさんしていただけるとたくさん写真がアップされます 笑
下のランキングバナーをクリックしてください。



by masabike | 2025-10-30 09:13 | 建築土木 | Comments(0)
<< 写真展は何のため? ミュゼふくおかカメラ館  相原... >>