岩の物語 デビルズマーブルズ ミュゼふくおかカメラ館 相原正明写真展 On The Earth

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PENTAX 645+SMC35mm+FUJICHROME 64T


荒野に転がる不思議な奇岩群を最初に訪れたのは1999年3月


2000年に控えたシドニーオリンピックを記念しての写真展の作品造りのためだった。


確か現地に4泊して撮影。 当時はデジタルカメラがまだなくすべてフィルム。撮影は熱さとの戦い 1秒ごとに変化する光との戦いだった。でも1回のロケではすべてが網羅できず、また来ることを心に誓い次のロケ地へ向かった



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次にデビルズマーブルズを訪れたのは2003年5月


新製品 FUJIFILM Velvia100/100Fのプロモーション撮影。プロトタイプのフィルムでの撮影だった

当初 エアーズロック(現在のウルル)で撮影予定だったが営利目的の広告撮影では聖地なので撮影許可は下りない。この写真を見たら必ずVelvia100の印象が残るキラーフォトが欲しい、しかも必ずKodakの牙城を崩せる作品とクライアントからの要望。「相原さん 他に1発で印象に残る景色はないですか?」ということでデビルズマーブルズを推薦してロケの運びになった。ロケ期間は約10日間。表紙用のイメージビジュアルのピンポイント。


撮影3日目 宙に浮くような岩を奇岩群の中から見つけ出した。宇宙空間に浮かぶ地球のイメージを狙った。だがISO100 ノーマル現像では夜は写らないのと、Velviaの色特性を主張するために、昼間 斜光の時間に撮影と気持ちを集中した。なので夜間は体力 気力温存のために撮影はしなかった。自分の撮影ではないのでクライアントの要望とその実現が最優先事項


撮影も無事終わり帰国してVelvia100は発表され大ヒット商品となり王国と呼ばれたKodakの牙城を切り崩した

だが当時 ひそかに思っていたイメージがある。NASAが発売した写真集 「母なる惑星」で宇宙空間にポッコリ浮かぶ地球の姿であった。こんなのを撮りたい。でもとてもではないが宇宙飛行士になれる才能はない。では地球上でこのイメージが撮れる場所?で思いついたのがこのデビルズマーブルズ



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Nikon D800E+Nikkor 14-24mm F2.8

次に訪れたのは2012年9月 新発売されるFUJIFILM X-E1のプロモーション撮影
だがまだ当時のXシリーズはレンズが3~4本。明るいF2.8の超広角ズームあるいは単焦点の広角レンズが無かった。
実はこの岩はアングルの後ろの引きがない。他の岩が邪魔して、この被写体の岩と十分に距離がとれない

Nikkor 14-24mmの14mmワイド端で撮影した。宇宙に浮かぶ地球のイメージを狙えた。でもまだNASAの写真集のイメージと違う。もっと宇宙観が欲しい




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FUJIFILM X-T2+FUJINON XF10-24mm



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FUJIFILM X-T2+FUJINON XF10-24mm
この作品はその後 富士フイルム海外用 カレンダーに採用



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タイトル 会話に参加した月
FUJIFILM X-T2+FUJINON XF10-24mm





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FUJIFILM X-T2+FUJINON XF16mmF1.4




そして4たび目 2016年 X-T2のプロモーション撮影撮影で再びここを訪れた
富士フイルムさんもXT2を成功させたい。ならばVelvia100の大成功をしたロケ地を3たび撮ろうということでデビルズマーブルズに2台のXT2と今度はXF10-24mmの超広角ズームを持ち込んでの撮影。

昼間のシーンは他の岩も含めてものすごく良いのが撮れた。そして夜も良いのが撮れた。だがこの岩で宇宙に浮かぶ地球をイメージしたシーンではあと数ミリ画角が足りなくて撮影できなかった。XF8mm とかあれば…それが僕の願望だった


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FUJIFILM X-T4+FUJINON XF8mm

そして2023年XF8mmが発売されるとすぐに購入
2024年 6月 最も乾期で撮影条件が良い7~10夜の月の晩を狙い5度目のデビルズマーブルズ
アリススプリングスから片道500kmの道のりも苦にならない。一人で坦坦と撮影のイメージを頭の中で反芻しながら現地に向かう。落語でいうさんべん稽古以上の5回の通い。

XF8mmの画角とT4になり、より高感度性能がUPした
XF8mmを装着すると思い通りの撮影ポジションでアングルが決められた。岩の後ろに銀河も見える
涙が出そうなくらい美しい情景だった

1回目の夜はまだ月明かりが弱く、闇夜に岩が浮かび上がらず失敗だった。そして2回目の夜。
思い通りには撮れたが、岩がシルエット。どうも宇宙に浮かぶちきゅには見えない。そこで考えたのがヘッドランプのLEDで照らしたらどうか?と考えた結果は大成功。イメージしてから約20年 やっと思いが叶いこの作品が撮れた。富士フイルムのX開発陣に心から大きな拍手を送りたい
ほんとうに夢を実現できる機材をありがとう

今回のミュゼふくおかカメラ館の展示作品は155点。すべての作品にドラマがあります
そのドラマの集大成がこのデビルズマーブルズの作品。一番メインルームの一番ど真ん中でみなさまをお待ちしています


みなさま 岩のポートレートをぜひご覧ください。
そして作品を撮るために30年以上 サポートをして頂いているカンタス航空様に深く深く御礼申し上げます


写真展詳細はミュゼふくおかカメラ館ホームページご覧ください



相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください


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by masabike | 2025-10-11 17:50 | 写真展 | Comments(0)
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