カオスな時間


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【和の「写心」By Masaaki Aihara】

「カオスな時間」西オーストラリア州・キンバリー地方
FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF45-100mmF4 R LM OIS WR

夜明けまで2時間を切った。肉眼で眺める景色はまだ夜中。背後には太陽のように輝く満月が笑っている。だがGFXのモニターには、地平線の彼方にうっすら赤みがさしてきている。これから始まる夜でもなければ朝でもないカオスな時間のスタートランプだ。これから2時間、オーストラリアの大地の神様が繰り出す、様々な色と光に挑戦しなければならない。神様はいつも写真家が予想しない、光と色を降り注いでくれる。深夜1時から月夜の撮影をしてきた。撮影の前にQUEENの「We Are The Champion」を聴いて、心はすでヒートアップ。体の中にアドレナリンが湧いてくる。口の中がカラカラだ。だが不安はない。なぜなら全幅の信頼を置くカメラが2台スタンバっている。1台はXF8mmを装着したX-T5。もう1台は最新鋭のイージス艦のようなGFX100S。あらゆる光と色に対応してくれ、写真家の心にシンクロする操作性は、失敗となるあらゆる邪悪な要因を防いでくれる。ギリシャ神話に出てくるイージスの盾そのものだ。
僕の作品のすべてはGFX&Xがなければ成り立たない。正しく言うならば富士フイルムの色の世界がなければ、全作品は存在しない。今から37年前、サラリーマンを辞めてパリダカールラリーのドキュメンタリーを撮るために、まず砂漠で武者修行に向かったオーストラリア。友人のカメラ店を通じて、富士フイルムが200本のRDPフィルムをサポートしてくれた。まだ1枚も作品というものを撮っていない、無名の若造にプレゼントの200本は心に大きな光をくれた。そのフィルムで撮影した作品は、僕自身のオーストラリアに対する色と光のプラットホームを生み出してくれた。そして決定的になったのは1991年に撮影をすべてVelviaに決めた時。Velviaでしか撮れない強烈な色のインパクトが、自分のオーストラリアの色の世界だった。そして1999年PROVIA100Fの全世界ポスターの撮影がきっかけで心の中に、より広い色の対応のプラットホームが完成した。だが時代はデジタルへ。いろいろなデジタルカメラを使用したが、富士フイルムの色の世界と同等に満足するものはなかった。常に1%どこかで色の妥協していた。だがフィルムシミュレーションを搭載したXシリーズ発売と聞き、富士フイルムのプロ担当者に「フィルム並みに再現できるのか?」と尋ねたところ「うちが作るのだからそこは、相原さんを裏切らないですよ」と言われ、それで安心してXシリーズを使い始めた。
オーストラリア37年の撮影の歴史は、色への挑戦の歴史でもある。今回、このカオスな時間を自分のイメージ通りに再現するために、フィルムシミュレーションはVelvia。そして色と共に再現性を左右するのはWB。撮影は月の光での影響を考え電灯モードに設定している。満月前後では、本を読めるぐらい月明かりが明るい。WB/AUTOあるいは晴れモードで撮影すると、絵柄全体が色温度が高くなり、赤みを帯びたり、地平線のはるかかなたの街の明かりをカメラが拾い、緑色被りすることも多い。なので夜の世界観にするためにWBを肉眼に近い電灯に設定した。その結果モニターに現れたのが、この作品。まさに心の中で描いたカオスの時間。
しばしばRAWデータを同撮して、あとからRAW現像をすればよいのでは?という声もある。カラーは色の決め手は記憶色。時間がたてばたつほど色は誇張される傾向にある。よく初恋や10代の思い出は、歳を経れば経るほど美化される傾向にある。色もそれと同じ。ロケが終わり帰国してRAW現像すると、現場で見た色よりもかなり誇張される。だから現場で色を追い込みjpegで作品に使えるGFX&Xの色再現はとても大切だ。これからもオーストラリアを旅して作品を撮り続けるだろう。そしていつも僕のカメラバッグにはGFX&Xがある。それはまさに僕の心の中の色が詰まっているからだ。

相原正明 写真家30周年記念写真展を富山県で開催します。GFX&Xで撮影した作品が数多く展示されます。みなさまのご来場お待ち申し上げます
https://www.camerakan.com/exhibition/r07aihara/

撮影協力:西オーストラリア州政府観光局、カンタス航空

Photography by Masaaki Aihara
https://fujifilm-x.com/global/photograph

相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください


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by masabike | 2025-09-03 21:32 | 西オーストラリア州 | Comments(0)
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