Edge of The World Tasmania FUJIFILM X Series facebook


Edge of  The World   Tasmania FUJIFILM X Series facebook_f0050534_18004313.jpg



【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「Edge of the world, Tasmania, Australia」 FUJIFILM GFX50S + FUJINON GF23mmF4 R LM WR
撮影協力:タスマニア州政府観光局、カンタス航空



写真家の仕事の原動力は好奇心。いろいろな国や地域に仕事で行く。なかでもいちばん好奇心が動かされるのが世界の果てに行くこと。オーストラリア大陸はヨーロッパから見みると地球の真反対にあるので、最果てや辺境地を込めた俗称”Down Under”とも呼ばれている。その最果てエリアの中のさらに最果てに、すごい地名があるのを見つけた。その名は”Edge of The World”、世界の果てだ。そこは南極海おろしの吹き荒れる怒涛逆巻く、荒涼とした海岸。立っていられないほど冷たく重い風が吹きまくる。三脚などは吹き飛ばされてしまう。そのおかげで空気中の不純物や汚染物が飛ばされてしまい、かつ同緯度地方に工場自体がないために、タスマニア北西部のエリアは世界で最も空気がピュアなエリアと呼ばれている。僕はあえて荒れ狂う風と波で、世界の果てが表現出来る冬の時期を狙って今回やってきた。好奇心の旅に付き合わされ、世界の果てまで来たカメラ機材は不運なのか、別の意味では真価が発揮できる場所でもある。もちろんそのための準備は怠らない。


以前もこのシリーズで紹介した、富士フイルム修理サービスセンターではGFXシリーズのオーバーホールサービスをしている。今回はオーバーホールしたGFX100と、撮影前の入念なメンテナンスをしたGFX50Sを連れてきた。世界の果て、二度と来ることはないかもしれない、そのシャッターチャンスは逃したくない。高性能機種ほどメンテナンスは大事だ。昔銀座のバーで、アメリカの戦闘機乗りから聞いた話。訓練が終わったら、自分の愛機のまわりを一周して目視で点検、最後に飛行機のノーズにキスをする。そうすると、翌日もエンジンが一発で始動してくれる。だがこの儀式を忘れると、数値的には何も問題が無いのに、エンジンがぐずったりしてうまく始動できない。摩訶不思議だが本当の話だそうだ。だから機材に愛情を注ぎ大事にする。カメラも同じだ。



今回も入念な点検をして、この世界の果てまで来てくれたGFX50Sには特別な思い入れがある。このカメラの次に買ったGFX50RはGFX100Sに代替わりした。だが初代GFX50Sを僕は絶対に手放さない。なぜなら家内の母にプレゼントしていただいたカメラだからだ。そして今回のレンズも。2016年から築74年の我が家は、老朽化の為に莫大な金額が必要になった。そんな工事の最中、2017年2月GFX50Sが発売になった。だが僕は余裕がなく新機種導入はしばらくお預け。そんな折、体調を崩した家内の母のいろいろお手伝いをさせていただいた。あるとき家内の母から「相原さんは何か欲しいものはないの?」と聞かれた。さすがに答えづらく、もじもじしていた。家内が「遠慮せずに言ったほうがいいよ」というので、思い切ってGFX50Sとレンズと言った。しばらくして我が家に、このスーパーマシンがやってきた。それ以来、どのロケに行くときもこのカメラは必ず連れて行く。




今年6月3日夜明け前。なぜか今日はGFX50Sが良いシーンを捉えてくれる気がした。いつもは広角ズームをGFX100S、望遠ズームをGFX50Sに装着しているが、この日に限って23mmを装着した。天気予報では、前線の通過に伴い大荒れ。荒れ狂うEdge of The Worldが撮れればと期待した。夜が明けはじめ、天が光を帯びてきた時、信じられない光景が広がった。荒れ狂う夜明けの景色に虹が現れた。写真の神様が舞い降りてきた。そのあとは無我夢中でシャッターを切りよく覚えていない。光と波と虹と格闘すること1時間。気がついたら肩で息をしていた。虹は消えドラマは終わっていた。



家内の母の思いと、修理サービスセンターのスタッフのプロ魂が、このカメラに宿っている気がした。その思いと魂が今日の信じられない光景を撮らせてくれた。この時、僕の脳裏には戦闘機のノーズにキッスをするパイロットの事が思い浮かんだ。愛情を持つと裏切らない。新しいカメラを買うことも楽しいし大切だと思う。でも愛情と魂をカメラに込められるなら長く使い続けることも大切だ。どんなものにも魂は宿る。帰国して再び僕は、修理サービスセンターの門をたたいた。次の光と影との戦いのためと、家内の母の思いのカメラを末永く残すために。
そしてまた僕は好奇心の旅に出るだろう。






相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください


富士フイルムさんのX シリーズフェイスブクで 和の写心(毎週水曜日更新)を連載中。「イイネ」押してくださいね





ブログランキング応援クリックお願いします。応援たくさんしていただけるとたくさん写真がアップされます 笑
下のランキングバナーをクリックしてください。







by masabike | 2025-07-02 18:00 | タスマニア | Comments(0)
<< 三和酒類 koji note ... Sound of Silenc... >>