セバスチャン・サルガドを思う


セバスチャン・サルガドを思う_f0050534_19344548.jpg

Brisbane

LUMIX S1R+LUMIX50mmF1.4+LEICA Monochrome

偉大な、そして人類の財産ともいうべき写真家 セバスチャンサルガド氏が亡くなった

唯一無二の存在感で、一度見たら忘れない作品
最初にサルガド氏の作品を見たのは社会人の時だったともう。砂漠を歩く家族の写真 すごくきれいな人と自然との調和の作品。まるで宗教画のようだった。だがキャプションを呼んで愕然とした。絵の美しさとは裏腹に、内容は内戦を逃れ、隣国へ向けて荒野を彷徨する家族だった。あまりにもきれいな絵とあまりにも悲惨な内容。それがサルガド氏の作品の第一印象

国内でも何度か写真展を拝見したが一番強烈だったのは2008年 ドイツで見た写真展だった。ちょうどフォトキナに合わせてドイツを訪れた。そして写真&アートの中心 ベルリンを訪れた。目的は2つ。ベルリン国立美術館(ミース設計)での杉本博司氏写真展と、COBerlinで開催中のサルガドのWorkを見るためだった。CO Berlinは元ベルリン中央郵便局を使った巨大

サルガド写真展は2フロワーを使用した大個展だった。働く人々を中心に、息遣い 足音 被写体の声が聞こえてきそうな写真展。全部見るのに3時間近くかかった。見終わったとき、ギャラリーの向かいのカフェに入り、アイスコ―ヒーを頼んだ後、僕はテーブルにしばらく伏したまま動けなかった。生涯で一番 見て疲れた写真展。作品から放射されるパワーがすごすぎた。下手をすると吐きそうなぐらい疲れた。(のちに家内にそれを話すと、見てグダグダに疲れない展覧会とか作品は駄目と言われた) そののち何度が写真展を見た。そしてGENESISが出たとき、家内がクリスマスプレゼントで、買ってくれた。今でも大事な宝物。 GENESISのころより、ランドスケープもふんだんに作品にしていた。もちろんモノクロだ。サルガド氏の作品を見て「夕焼けが焼けなかったので、良い作品が撮れなかった」なんて恥ずかしくて言えなくなる。

そういえばLUMIX L Monochrome DそしてLEICAMonochromeを設計したTさん。死ぬほどサルガドの作品が大好きで、いつかサルガドにLUMIXを使ってもらいたいために、この2つのモノクロのモードを作ったと聞いたことがある。カメラメーカーのエンジニアをそこまで奮い立たせる写真家は初めてだった


サルガドは被写体依存ではなく、自分で望む光を探し切り取る。そして色がないのにアマゾンの熱帯雨林の色と香りがしてくる。もしかしたら神が写真をとるために現世におろしたのがサルガドではないかとさえ考えてしまう。そして目標にしていた写真家の一人でもあった。僕が人生で目標にし、かつ心の師と仰ぐ写真家の方が3人いる。一人はサルガド。2番目はアンセルアダムス。そして3人目は日本人の野町和嘉氏。サルガドには被写体への向き合い方、アンセルアダムスには表現の仕方、野町山には写真家として生き方を特に学ばせていただいた

自分が師と仰ぎ、目標としていた偉大な写真家が消えた。その心の中にできた穴は大きすぎる


でもたくさん刺激をくれてありがとう ミスター・セバスチャン・サルガド



相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください


富士フイルムさんのX シリーズフェイスブクで 和の写心(毎週水曜日更新)を連載中。「イイネ」押してくださいね





ブログランキング応援クリックお願いします。応援たくさんしていただけるとたくさん写真がアップされます 笑
下のランキングバナーをクリックしてください。


by masabike | 2025-05-28 19:58 | 写真アート | Comments(3)
Commented by 織田吉夫 at 2025-05-28 21:02
セバスチャン・サルガドが亡くなったこと、相原さんなら必ず取り上げられると思っていました。私もサルガドのような金属光沢を感じさせるモノクロ写真を、いつも撮りたいと思っています。
ぜひ一度、写真展を見たいものです。
Commented by masabike at 2025-06-09 06:24
織田様 サルガドは自分にとりとても大切な目標であり多くの教えをいただきました とても残念です
Commented by 織田吉夫 at 2025-06-09 21:23
相原様、コメントにいつも返信していただき、ありがとうございます。オーストラリア撮影中にもかかわらず、貴重な話が聞けてためになります。
どうぞご安全にお帰り下さい。
<< FUJIFILM X Seri... ノーザンテリトリーフォトコンテ... >>