タスマニア夏の光

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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「タスマニア夏の光」
タスマニア州 グレートレーク
撮影協力:タスマニア州政府観光局、カンタス航空
FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF32-64mmF4 R LM WR
悪夢のようなコロナ禍が終わり、世界は平穏を取り戻しつつある。そして多くの人々がコロナ禍で失ったものと時間を、取り返そうと一生懸命になっている。写真家の僕もその例外ではない。


コロナ禍の真っただ中に発売されたカメラGFX100S。1億画素のハイポテンシャルでありながら、GFXシリーズの中ではリーズナブルな販売価格であった。発売と同時に手に入れた。だが非常事態宣言や海外渡航制限で、我が家のGFXは家の中で野菜やバイクの部品などのKatachiというコンセプトの撮影をしていた。だがカメラはファインダーを覗くたびに「でかい風景が撮りたいよ!大自然の光が撮りたいよ!」と僕に訴えてくる。コロナ規制が少しずつ緩和されたころから、国内ロケに連れ出した。三和酒類様の大分ロケを皮切りに、厳冬の北海道。そして2022年9月にオーストラリアの鎖国が終了するやいなや、クイーンズランドの熱帯雨林と空撮、タスマニアの原生林。その翌年2023年には西オーストラリア州の灼熱の辺境地、キンバリーでバオバブの生える秘境を撮る。さらに昨年はオーストラリア北部のカカドゥ&ダーウィンの湿度100%の熱帯地帯。中央部の砂漠地帯にあるウルル。雪の舞うタスマニアの原生林。失われた時間を取り戻すために、かなりオーバーペースで撮影した。それは厳寒の北海道のマイナス30℃から灼熱の荒野の45℃、そして雨や雪、湿気の中でGFX100Sを酷使しまくった。僕は最高の作品を撮るためなら、カメラを犠牲にして刺し違えても、シャッターチャンスは失いたくないと考えている。だがカメラを酷使はするが雑には扱わない。必ず海外ロケが終わり帰国すると、真っ先に富士フイルムスクエアのサービスカウンターに機材メンテナンスに出す。


短期間での度重なる酷使で、通常の点検では見つからない、隠れた地雷のようなトラブルがあったらどうしようと不安も募る。しかもそのトラブルが100万回に1回のシャッターチャンスに発生したらどうしよう。以前にこんなことがあった。フィルム撮影全盛時代、オーストラリアの湿度100%の熱帯雨林の撮影が続いていた。ある時、突然カメラが動かなくなった。落としたりもしていないが、突然作動停止。帰国してカメラを点検に出すとメーカーさんから「相原さん、カメラが海水とか被ったことがありますか?」と質問が来た。なぜならカメラ内部の電子部品の基盤が錆びていて塩分が付着していたとのこと。メーカーの方に、もしかしたら熱帯雨林とその前の砂漠で大量に汗をかいたので、それが首から下げているカメラにかかったかもしれないと説明すると、「それが原因ですね」と返事があった。塩分と体液を含んだ汗は、カメラの防塵防滴機能をすり抜け、内部のプリント基板を錆びさせてしまった。その悪夢がトラウマになっている。GFX100Sも熱帯雨林とタスマニアの多雨林エリアで使ったので不安になった。


最近、富士フイルムのサービス部門がGFX系のオーバーホールサービスを開始したことを知った。僕は躊躇なくサービスを受けた。内部の完全にリフレッシュ。ただし外観の傷や塗装のハゲはそのまま。それはある意味個人的にはうれしい。カメラの傷の1つ1つはカメラと旅した勲章の1つだと考えている。個人差はあるが、僕はそう考える。2週間後 新しくなったGFXが戻ってきた。早速、桜を撮影に行った。約300GBぐらい撮影した。撮影していてコマンドダイヤルやfnボタンが買ったときと同じなめらかな感触に戻った。何よりも昨年オーストラリアで撮影したとき、センサーに付着した頑固なゴミが除去できた(F16ぐらい絞ると現れる)。そしてすべての動きがとてもスムーズ。撮影がとてもリズミカルに進む。前回このサイトにUPした作品がオーバーホール後のGFXで撮影をしたもの。


オーバーホールは、お値段はかかる。だが使い込んで思い出深いカメラ、体と心になじんだカメラ。フリーランスで仕事に使用していてシステムを変えたくない、そんな人には長く愛機とお付き合いできるオーバーホールサービスはうれしい。僕はユーザーファーストの素晴らしいサービスと感じる。1台のカメラを長く使うこともとても大切。SDGsにもなる。今年もタスマニアの原生林にGFXと向かう。安心という心に武器をもって。
Photography by Masaaki Aihara


相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください


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by masabike | 2025-05-07 18:33 | タスマニア | Comments(0)
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