光の待ち人 日本国際観光映像祭 ブログより

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FUJIFILM X-T4+FUJINON XF8mm

日本国際観光映像祭のブログより

モノクロームで映し出された夜の海。重油のようなうねりの波。次の瞬間ゴジラが現れた。僕はスクリーンにくぎ付けだった。昨年はゴジラ生誕70周年。それを記念して昭和29年初回ゴジラのデジタルリマスター版のロードショウが映画館で行われた。いままで昭和29年のゴジラはDVDや映画配信サイトで何度か見たことがある。ただいつも我が家のテレビだった(それでもいちおう55インチ)。

 だが映画観のスクリーンで見たゴジラはまるで別物だった。明るい部屋のテレビでは表現しきれないものがそこにはあった。そこで感じたのは日本映画の脂が乗りに乗っていた時期。当時の撮影と光の匠たちは、暗い映画館で巨大なスクリーンで見たときには、こんな風に表現出来るだろうと計算して、照明、露出、カメラアングルを計算していたと確信する。まさに匠の技の総決算。そして光へのこだわり以外の何ものでもない。 

 映画も写真も基本は同じ。どの光を美しいと感じ、それを陰影で表す。写真の語源であるPhotographyは「光で描く」という意味だそうだ。日本に写真が最初に伝わったときは「光画」と呼ばれていたが、いつの間にかに「写真」になってしまった。たぶん本物そっくりに、写し撮れるからそうなったと推測する。今いろいろな写真が画像処理等で、問題になっている。本物と違う、嘘があるなどなど。もしかしたら「光画」と呼ばれ続けていたら、加工したしない等の問題の多くは解決していたかもしれない。

 話は少しそれてしまったが、日本映画はエンドタイトルで撮影もしくはカメラマン XXXさんとクレジットが出てくる。だが洋画はPhotography by XXXXと出てくる。ここに絵作りに対する大きな哲学の違いがあるかもしれない。映画は絵コンテが元で制作される。絵コンテにもとずいて撮るカメラマンの絵心 哲学が加味されて作品となる。つまり光画が1時間半 あるいは2時間つながったのが映画と考えてよいと思う。昔の日本映画の監督やカメラマンたちも「いい写真が撮りたいな」と言っていたインタビューを何度か拝見した。つまりそれだけPhotography VFXやCGの技術がなくても、あれだけ迫力とリアリティーがある映画 つまり光画が撮れたと思う。

 写真家あるいは映画のカメラマンにとって一番大切なことは何か?それは光を読み、光を待つ忍耐と努力と勘である。そして光を呼ぶ力。どんなに照明機材が発達し、VFXやAIが幅を利かせても、自然光の美しさにはかなわない。自分自身の体験と例をお見せしたい。被写体は岩。数万の奇岩が立ち並ぶデビルズマーブルズ。オーストラリア 中央部の砂漠地帯にある。その星の数ほどの岩の中に、自分が気に入りほれ込んだ岩が1つある。大きな巨岩の上に乗ったまん丸い岩。直径5メートルぐらいの岩だ。この岩の表情、できれば宇宙にぽっかりと浮かぶ地球に見立てたイメージの絵が撮れるように7日間粘った。しかもこの時期は月齢が9~13夜。太陽の光だけではなく月の光も考える。時には太陽と月が同時に作用する時間帯があるので、事前に脳内に作る絵コンテが大切になる。だが相手は自然。常にイレギュラーがある。それはいい場合も悪い場合も。その時はその都度、頭の中の絵コンテを描き換える。写真によっては、光町で粘るよりも、画像処理で対応できそうなものもある。だがそれは自分の撮影哲学とコンセプトが許さない。なぜなら僕が狙っているのは45億年 生きている生命体・地球のポートレートであり、ドキュメンタリー。僕はそれをEarthrait(Earth地球+Portrait の相原造語)と呼んでいる。さらに言うならば地球を撮るということは宇宙とのつながりもある。

宇宙という、無限の世界が生み出す光を根気よく、かつセンサーを張り巡らせて待つ仕事 それが写真家。映画・動画の世界も同じだと思う。光を大切ににして、どう見え感じ、その光をいかに自分の世界観で料理してお客様に伝えるか!それがすべての映像にかかわる人間の使命であり掟だと思う。光を大切に安易にCGやVFXに走る人間に未来はない。

 これからも僕は光の待ち人であり続け、光の狩人でありたい。



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by masabike | 2025-03-17 09:26 | 写真アート | Comments(0)
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