黄昏満月図 タスマニア   FUJIFILM X Series facebookより

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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「黄昏満月図」オーストラリア タスマニア州 セントラルハイランド
FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF45-100mmF4 R LM OIS WR
写真にとっていちばん大切なもの、それは光である。特に風景写真においては自然の光こそ作品の源である。そして自然の光はほぼすべて、太陽と月によってもたらされる。はるか彼方からやってくる光はこの大気を通り越して、森羅万象を浮かびあがらせてくれる。だから光に対する大気の影響はとても大きい。実は僕がオーストラリア、とりわけタスマニアに撮影の重点をおく訳は、地球上でもっともクリーンな空気がタスマニアであるからだ(南極大陸をのぞく)。タスマニア北西部にあるケープグリムの気象観測所で計られる空気がゼロポリューションと呼ばれ、汚染度ゼロの空気であることが数値的に言われている。その理由は同緯度地帯に工業地帯がないこと、さらに強力な偏西風が汚染物質を吹き飛ばしてくれる(タスマニアはフォーティーディグリーサウスと呼ばれる、南極の防雨風雨圏の影響を強く受けているので風がことさら強い)。
そんな世界で最もピュアな空気を通りぬけてくる光は、とても繊細な色とグラデーションをカメラのレンズにもたらせてくれる。その鮮度を100%生かしてくれるのがGFXだ。長年スチール写真だけではなく、テレビや映画あるいは学術的記録分野で鍛えられたFUJINONレンズとラージフォーマットのセンサーのコンビネーションは眼で見た時の感動と記憶をデジタルデーターとして取り込み残してくれる。





僕は基本的にカラーでの作品は撮って出しだ(画像上のゴミ処理等はすることがある)。なぜなら最高の鮮度のものに加工することは、オリジナルを大きく損なう。眼で見たとき、この色・このグラデーションを再現したい、永遠に残したいと思いシャッターを切る。そして切る時、眼の前の風景のどこに一番惹かれているか自問自答しながら撮る。どの色か?どのグラデーションか?あるいはどのフォルムか?被写体がすばらしければ素晴らしいほど、自問自答して一番自分がほれ込んでいるポイントを確実に再現できるように設定しながら撮る。今回の作品では一番のポイントは雲の色。2番目が月から湖までの夕暮れの空のグラデーション。EVFファインダーで、Velvia/ビビッド、ASTIA/ソフト、PROVIA/スタンダード、そしてWB AUTO・ホワイト優先と晴れモードの組み合わせを確認しながら、自分のベストを探った。今回はVelviaでWB/晴れ、地球で最も空気がきれいなタスマニアの月の出をカメラは捕獲してくれた。



実はこのセントラルハイランドの湖、世界中のフライフィッシャーのあこがれの的。遠くヨーロッパからも釣りに来る。もう10年以上も前にも、ここで月を狙ってキャンプをしていた。夜明けの月の入りを撮影し終えたあと、湖のほとりに2人の釣り人が来た。一人はパークレンジャー。自然監視員。僕のカメラマンベストを見て「釣りの入漁証を見せてください」という。僕のカメラマンベストを釣りのベストと思い、釣り客だと判断したらしい。僕は撮影に来ているので釣りはしていない旨を伝えると「こんな世界でもっとも素晴らしい釣場で、釣りをしないなんて世界で一番かわいそうな人だ」と言われた(笑)。隣にいた釣り客が、その日の朝の成果を見せてくれた。立派なブラウントラウト。2匹持っていた。すると1匹を今日の朝飯にあげるよと言われた。理由を尋ねると「世界で一番かわいそうな人だから」と付け加えられた。おかげでこの日は素晴らしい作品と素晴らしい朝ご飯をゲットすることができた。世界で一番きれいな空気は、良い光だけではなく、人の心も穏やかにしてくれる。素晴らしい空気がもたらす、素晴らしい光と影。ぜひタスマニアに来てほしい。素晴らしい光と、撮り手の気持ちをGFX&Xは確実につないでくれるはずだ。そして撮影に来れば、良い作品だけではなく、美味しい朝ごはんにもありつけるはずだ。



撮影協力
タスマニア州政府観光局
カンタス航空
Photography by Masaaki Aihara




相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください





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by masabike | 2025-02-08 07:08 | タスマニア | Comments(0)
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