On The Earth FUJIFILM X Series facebookより転載

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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「番外編」オーストラリア・ノーザンテリトリー デビルズマーブルズ


FUJIFILM X-T4+ FUJINON XF8mmF3.5 R WR

撮影協力 カンタス航空



みなさま、あけましておめでとうございます。本年も相原正明・和の写心をどうぞよろしくお願いいたします。
2025年第1弾の作品は宇宙に浮かぶ地球をイメージして撮影した作品。撮影地はオーストラリア・ノーザンテリトリーの荒野デビルズマーブルズ。直径5メートル近い奇岩が数千個、いや数万個ほど立ち並ぶ、まるで他の惑星のような場所。お正月には富士山や初日の出の作品というのが定番。僕がこの作品にしたのは、新年だからこそ宇宙規模の視点で皆様にご覧いただきたく考えたからこの作品を選んだ。



ここをはじめて訪れたのは1999年。それ以来何度も訪れている。僕にとっては荒野のスタジオ。2003年Velvia100/100Fのプロモーション、X-T2のプロモーション、そして富士フイルムのカレンダーでも作品を使用した相性抜群の場所。今回は超広角レンズXF8mmを持ち込んだ。実は毎回この岩を撮るのだが、周りに他の岩が点在して引きが少ない。本来もっと空を入れて撮りたいけど、満足いくスペースがない。その悩みを解決してくれたのがXF8mm。発表されたとき、デビルズマーブルズで思い通りのアングルが撮れると思い即断即決で購入した。



 今回は月齢10夜の夜、月明かりでうっすら景色が見える。そして岩の背後には銀河がそびえる。現時点では簡単に民間人が宇宙に行くことは出来ない(超大金持ちならば別ですが)。なので宇宙空間から見た地球をイメージできる月齢の夜を狙った(月明かりが明るすぎると、天の川を含め星々が見えにくくなるため)。オーストラリア大陸中央部、快晴率はとても高い。月齢8夜から5日間ここにとどまれば撮影できるという公算で訪れた。このロケ地は最寄りの町から500km。その間は何もない荒野。もちろん信号機もない。アリススプリングスという町からデビルズマーブルまで、車のブレーキを踏んだのは3回だけ。2回はトイレ休憩、残る1回はラクダが飛び出したからだ。話は少しそれるが、実はオーストラリア中央部の砂漠地帯はラクダが多い。その訳は鉄道や車が発達するまでは、内陸部の主な交通の担い手が、アフガニスタンから輸入したラクダ。だがその後、鉄道が発達すると、ラクダたちは物流の担い手から外された。そしてそのまま荒野で野良ラクダとなり、オーストラリアの荒野で繁殖増加している。


 今年2025年で写真家生活30周年を迎える(オーストラリアを撮り始めてからだと37年)。
その間、オーストラリアの撮影のコンセプトは「地球のポートレート」。だからどうしても宇宙に存在する、一つの生命体としての地球のポートレートを表現する作品が欲しかった。現実に僕が宇宙船に乗り宇宙に行き、宇宙に存在する水と緑の惑星の写真を撮ることは不可能だったが、何回もこのデビルズマーブルズに通ううちに、ここならば疑似体験的に宇宙から見た地球の姿を撮ることができると考えた。その訳は丸い岩もさることながら、ここでキャンプをしていると自分のまわり360度すべてが星の海で覆い尽くされる。大地で寝ているのではなく、宇宙で寝ているそんな錯覚に何度もとらわれる。自分は宇宙の中にある生命体であると自覚すると同時に、宇宙が肌の接する距離にある存在と感じるようになった。ならばここでなら、宇宙に浮かぶ地球のポートレートが撮れると考えた。



そのために月明かりがあり、荒野の風景と岩がうっすら見える夜。そして銀河が空に横たわる晩に丸い岩を撮れば、宇宙から見つめた地球のイメージになると考えロケに赴いた。だが現場で試し撮りをすると、月明かりだけでは宇宙空間に浮かぶ地球のイメージならなかった。予想よりも岩がシルエットになってしまったからだ。そこで考えたのが撮影で使う強力なヘッドランプを使うことだった。岩に1~2秒ライトを照射してみた。すると思い通りのイメージがX-T4のモニターに浮かび上がった。真夜中の荒野で、ひとり岩の上に立ち、宇宙へ向けてガッツポーズをしてしまった。


夜が明けて、キャンプに戻りPCにデータを取り込み、モニターで改めて作品を確認したとき、まぎれもなく地球のポートレートがそこにあった。以前、JAXAが打ち上げた月観測衛星「かぐや」あのハイビジョン映像を撮ったのはフジノン映像システム。そのDNAが僕のカメラにも生きているだろうとこの朝とても強く感じた。2025年、今年もGFX&Xと共に地球のポートレートから、身近な日々の変化まで作品に収めて、皆様にお届けしたいと思っている。どうぞ今年も相原正明・和の写心をどうぞよろしくお願いいたします。

Photography by Masaaki Aihara


相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください





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by masabike | 2025-01-02 17:11 | アウトバック | Comments(0)
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