道のり FUJIFILM X Series facebookより転載


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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「道のり」北海道 春国岱
FUJIFILM X-T4+FUJINON XF8mmF3.5 R WR


今年も僕のGFX&Xシリーズたちは、僕の眼となって多くの物を見てきた。そして多くの道を共に歩み光と影を体現してきた。北海道の零下30度近い雪原。オーストラリアの灼熱の砂漠。荒野を覆い尽くす奇岩群。近代建築が並ぶ東京のビル群。そして事務所のスタジオでの野菜の断面の中にある小さな宇宙。たくさんの物を見て、見た数だけ感動を記録してくれた。


今年最後の作品は、指先が千切れるほど寒い厳寒の北海道。根室の手前にある春国岱と呼ばれる、立ち枯れの木がある原野だ。シベリアからオホーツク海を越えてきた寒風というよりも、肌に突き刺すナイフのような痛みを伴う風が吹きつける大地。もちろんその風にのり北国からの使者・白鳥たちも飛来する。重い機材を担いで木道を歩く。そして何時間も寒風の中、荒野で光と影のドラマを撮り続ける。誰に頼まれたわけでもない、自分の心を満足させるため。自分の心に噓をつかないため満足いくまで粘り、そして撮り続ける。今、僕は60代半ば。多くの一般人の友人たちは会社をリタイアしている。だが僕は小学生の時から同じことの繰り返しを続けている。小学6年の時に、北海道に撮り鉄でやってきた。当時、国内からSL(蒸気機関車)がなくなりつつあった。北海道には国鉄黄金期の大型蒸気機関車C62型がまだ走っていた。しかも重連(機関車が2台連結)で北海道の広大な景色の中で、急行列車ニセコを牽引してダイナミックな雄姿を披露していた。それを撮りたくてはるばるやってきた。おりしも大阪で万博が開かれた1970年。両親に万博に連れて行ってくれなくていいから北海道にSLを撮りに行きたいと、懇願して実現した。



それ以来 やっていることはまるで変わらずカメラと三脚を担ぎ、原野の道、砂漠の道、雪原の道、氷原の道、パリの道、そして東京の下町の路地裏の道を歩き続けている。時代と場所によりいろいろなカメラやレンズを担ぎ歩いている。被写体はSLから、鉄道全般、ドキュメンタリー、お祭り、モータースポーツ、建築そして風景と変わってきた。だが撮ること、旅をすること、歩き回ることは変わっていない。



ただひとつ大きく変わったことがある。昔使っていた富士フイルム製品は、フィルムというカメラの中に入れるものだった。そして1990年代半ば、フリーランスの写真家になったころから、FUJIFILM G617あるいはTX-1というパノラマカメラを使いはじめ、中に入れるフィルムだけではなく、外身の表現するための手段にも富士フイルム製品が、仕事の中で浸透してきた。そして今は、自分の歩む道全てにおいて、GFXやXシリーズが無くてはならない存在だ。



1970年、写真を本格的に撮り始め、光と影を追う旅が始まったころ、いつも一緒に旅をしていた緑の箱のネオパンSS。それから54年。半世紀以上たつが、いつも撮影には変わらずに富士フイルムが存在していた。そしていつも道を共に歩んできた。来年2025年、僕は写真家生活30周年を迎える。来年はどんな道を歩むのだろう。それはまだ僕もわからない。神様しかわからない。ただ1つ確かなことは、来年も、その次の年も、またその次の年も、僕は富士フイルムのカメラ、レンズ、フィルム、そしてプリントと共に写真家の道を歩み続けるだろう。2025年、皆さんはどんな道を歩かれますか?皆さんにとって2025年が素晴らしい人生の旅の道となりますように。そして今年1年間、相原正明 「和の写心」をご覧いただきありがとうございました。よいお年をお迎えください。



相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください





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by masabike | 2024-12-19 07:48 | | Comments(0)
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