黎明蓮花図 FUJIFILM X Series facebookより転載


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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「黎明蓮花図」
埼玉県 行田市
FUJIFILM X-T4 + FUJINON XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR




雨の夜明け、雫を纏った蓮の蕾が、いま開かんとしている。
その姿は花のつぼみというよりも、未知の生物あるいは有機体マシーンという感じだった。
薄暗い夜明けの空間に、妖艶な紅色の蓮の花は彼岸の世界を象徴するような存在だった。
当初はカラーで狙っていた。



フィルムシミュレーションはASTIA/ソフトで彩度を+1~2にUPしたもの、あるいはPRO Neg. Hiで、少し彩度を落としたもので狙っていた。
だがこの咲かんとする蕾を見たとき、その複雑で幾何学模様のような姿は、ザハ・ハディド氏の建築のようにすら感じた。
カラーからACROS+Yeに設定を変更した。
そして少しシャープネスをUPした。
理由は蕾の表面にある水滴をキリリと浮き立たせたかったからだ。


このような被写体の時は自分がどのように表現したいか脳内に絵コンテを描く。
そうしないとファインダーで覗いてカメラの設定を「あ~でもない、こ~でもない」といじっているとだんだんわからなくなり、最初が一番良かった的な堂々巡りの迷宮に陥りやすい。
だから最初に頭の中に絵コンテを描いておく。
今回は超望遠ズームXF100-400mmを使用した。
自然風景を撮るときに必需品の1本だ。
XFシリーズにはもう1本XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRがある。
どちらも甲乙つけがたい。
少しでも軽量が良い、少しでもテレ端が長い方が良いという方はXF150-600mm。
それよりも少しでもF値が明るい方が良いという方はXF100-400mmをお勧めする。
どちらも画質的には単焦点並みのしっかりした絵が撮れる。
今回XF100-400mmを選択した理由は、撮影ポジションにある。
蓮や睡蓮は湿地帯に植生している。
足場が悪く沼地等で近づくことができない。
あるいは今回の作品のように、公園の柵に囲われていると接近できない。
そんな時には必需品。



実は5月オーストラリアでは、このXF100-400mm無くしては撮影ができなかった。
撮影場所はオーストラリア北部・ノーザンテリトリー・カカドウ国立公園。
世界遺産にも指定されている国立公園。
昔クロコダイルダンディ―という映画の舞台になった場所で、ここには広大な湿地帯が広がっている。
撮影時期の5月は、雨季が明けて乾季に入った季節。
湿地帯は雨季に降った雨水を満タンに蓄えている。
そして一斉に睡蓮が咲く季節。
それを狙いに撮影に向かった。
メインはXF100-400mm。
花の撮影だがマクロレンズは使えない。
なぜだかお解りだろうか?
そう、睡蓮の花が咲く湿地帯はクロコダイルの住処。
しかも食物連鎖で、花が咲くところはクロコダイルや野鳥など生き物たちのお食事処。
なぜなら、花が咲くと小さな虫が集まる。
そして虫たちは花を目当てに水面近くに飛来。
そして、水面に落下する虫を狙いに小魚たちが集まる。
さらにその小魚を狙いに大きな魚たちが集まり、最後にその大きな魚たちを狙いに鳥やクロコダイルたちが集まる食物連鎖の場所。
だから水辺に近づき、マクロレンズで睡蓮を撮ろうものならば、クロコダイルたちの格好の朝ご飯になってしまう。
もうだいぶ昔、フィルム中判カメラで、カカドゥで睡蓮の花を撮影していた。
400mmの望遠レンズつけていたが、うっかりレンズフードを水の中に落としてしまった。
アシスタント君に「あっヤバイ、フード拾ってくれないかな?」というと「相原さん、睡蓮の下から泡が上がっていますよ。クロコダイルがいますよ」というので、泣く泣くフードはあきらめたことがあった。



睡蓮や蓮などの撮影には超望遠ズームはおすすめの別な理由もある。
遠景で撮れるだけではなく、超望遠の圧縮効果で、多くの花の中から狙った花だけを浮き立たせることも可能だ。
今回の蓮の花の撮影での相原レンズ装備は下記の通り。
XF10-24mmF4 R OIS WR、XF16-55mmF2.8 R LM WR、XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR、XF56mmF1.2 R WR、ZEISS Touit 2.8/50M、この5本で臨んだ。
1つ注意点がある。
花が咲くところでのレンズ交換は慎重に素早く。
なぜならば花の花粉がカメラのセンサーに付着すると油分が含まれているので、汚れが取りにくい。
付着した場合は、無理をせず富士フイルムサポートセンターか専門のカメラ店での清掃をお勧めする。
もうすぐ梅雨明け、さらに美しい蓮の花が撮れる光がやってくる。
Good Luck!










相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください





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by masabike | 2024-07-18 06:53 | 日本植物 | Comments(0)
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