夏海黄金図 FUJIFILM X Series facebookより転載


夏海黄金図 FUJIFILM X Series facebookより転載_f0050534_08051158.jpg
【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「夏海黄金図」
香川県高松市附近
FUJIFILM X-H1 + FUJINON XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR

撮影協力 宮本まさる氏

真夏の瀬戸内海を見渡せる小高い山の上で光と格闘すること小一時間。
夕方になれば海風で少しは涼しいかと思いやってきたが、暑さでレンズのガラスが溶けそうなぐらいだ。
撮影中に2リットル近く水を飲んだ。



瀬戸内海と言えば、緑川洋一氏の幻想的な世界が有名だ。
僕も同氏の作品にあこがれて、学生時代に瀬戸内を少しだけ撮ってみた。
だが結果は、同じ瀬戸内海と思えないくらい陳腐な作品しか撮れなかった。
そして真似をしようとしてわかったことは、緑川氏が膨大な時間と、ち密な計算で撮っていること。現場を熟知していること。
猿真似しようと考える大学生の浅知恵ぐらいでは撮れないことがよくわかった。
さらに緑川氏風な作品を撮ろうとしたことが失敗の大きな原因。
自分らしい、瀬戸内海を撮ろうとしなかったこと。
それ以来、瀬戸内海をしっかりと撮影をしていなかった、というよりも避けてきた。



この10数年、夏から秋にかけて何度か瀬戸内沿岸をバイクでツーリングしていた。
いつも夏の日中のうだるような暑さのあと、遅い午後の時間の光と空気感がたまらなく好きになっていた。
そんな時間に自分なりの表現があると感じた。
瀬戸内を撮るのに選んだのはGFXではなく、X-H1と超望遠レンズXF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR。
これに島影と瀬戸内に架かる橋と船とを、シンプルに切り取りかつ、午後の光の組み合わせで、自分なりの瀬戸内海を表現したかった。
だが狙ってみると、往来する船の位置や重なりが思うように撮れない。
船がたてる波の模様も気にいった形にならない。
だから気がついたらレンズを触ると太陽熱で熱くなるほど長時間の撮影していた。




しばしば写真コンテストの審査を依頼されることがある。
そんな時、似通った作品が多いことに気づく。
多くの応募作品が人気撮影地、人気の被写体に偏ってしまう。
どんなに良い機材を使っても、テクニックがあっても、同じような場所で同じような機材だと、良い作品でも埋没してしまう可能性が大きい。
広告代理店の新入社員時代に「犬が人を噛んでもニュースにはならないが、人が犬を噛んだらニュースになる」と教えられた。
つまりメディアや広告の世界では差別化が大切だ。
ライバル企業の商品との差別化である。写真も同じ。
もっと良い作品を撮りたい。





自分だけの世界を表現したいと願う時に覚えておいていただきたいことが、いくつか存在する。
1) 人と違う場所や時間で撮ること。
2) 定石とは逆張りの機材を試してみる。
3) 自分が好きな光と場所を把握する。
4) 風景写真でも人工物は大切な点景。
5) 頭の中に絵コンテを作ること。
6) しっかりしたロケハンをして現場を把握すること。




今回の作品では、撮影する人が少ない真夏の瀬戸内海で撮影。
ランドスケープの定石である広角系レンズではなく、超望遠レンズでの撮影。
そして自分が好きな午後の斜光。橋と船を点景として入れることで、単調な風景とならないと同時に、自然の大きさのスケール感を出す。
さらに撮る前には、島影から船が出てきて橋とシルエットになる絵コンテを考えた。
また今回は夕方の陽炎で画像がボワーッとしないように、シャープネスを少しだけUPした。
いつもは自然風景の柔らかさを見せるためにシャープネスを-1にしているが、今回は波の模様をキリリと表現したかったので、あえてシャープネスをUPして撮影した。



1つだけ超望遠レンズでの撮影には注意点がある、三脚を使用してもブレやすい。
望遠ズームはピントが甘くて嫌いだという方がいる。
それはレンズのせいではなく、多くは風等でのブレによることが多い。
特に昨今のカーボン三脚は軽いので、山の上や海辺では風で共鳴してブレやすい。
そのため今回はレンズとカメラの両方を固定できるサポートアームを使用して三脚に固定した。
いよいよ梅雨が明けたら夏の光の撮影シーズン。
ぜひGFX&Xシリーズをフル活用して、他者との差別化で、あなただけの作品を撮ってほしい。
そのためにGFX&Xシリーズの豊富なレンズ群があなたを待っている。




相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください





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by masabike | 2024-07-04 08:08 | 日本風景 | Comments(0)
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