古桜図  FUJIFILM X Series facebookより転載


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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「古桜図」奈良県 大宇陀・又兵衛桜
FUJIFILM GFX 50S + FUJINON GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR
フィルムシミュレーション:Velvia/ビビッド
写真コンテスト等の審査をやらせていただくと、トップクラスに多い被写体は桜と富士山。
誰しもが見ているだけで写真に収めてみたい、見た時の感動を絵にしたい、そう思うから当然の帰結だ。
僕も桜前線を追いかけて撮るということはしていないが、桜を見かけるとついつい撮ってしまう、また仕事でも大分では桜を撮っている。




そしてただ1本だけ樹にとてもひかれて撮っている桜が、奈良の大宇陀の又兵衛桜だ。
奈良の写真家の友人から、枝ぶりと咲く前の蕾がすごいと教えていただいて、以来虜になってしまった。
多くの人は桜を撮るときに満開に的を絞り撮影に行く。だが満開だけが絵ではない。
これは人も同じ。子どものころ、成人、晩年それぞれポートレートを撮るとき表現方法がある。
同じ女優さんでも、子どものころ、20~30代、晩年ではそれぞれ持ち味が違うので、その年代に合わせた持ち味を生かす撮影をする。
桜も同じこと。満開ばかりに眼を奪われて他の撮り方を忘れている方が多い。


花が咲く前のエネルギーを蓄えている時、散り際のエネルギーが大気に散っていくとき。
それぞれ、美しさがあり、撮り方があると思う。そしてそれぞれにカメラのセッティングもある。
今回の作品は咲くだいぶ前の蕾のころ。だがこれから咲かんとして、1年間蓄えたエネルギーが蕾に宿っている。
肉眼で感じた樹のエネルギーも生かして撮りたかったので、あえてVelviaでかつColor(彩度)を少しUPして撮影した。
通常、僕は桜を撮るときには、Velviaは使わない。花びらの色がくどくなり、あの淡いピンクが台無しになるからだ。
だが今回は花弁がない状態。逆に蕾の赤味を強調したかったのでVelviaでColorをUPした。
そして夜明けの時間を選んだのは、蒼い静寂な時間に、エネルギーをため込んだ赤い蕾を強調したかったからだ。
またこのようなカオス的な時間にWB/AUTOを使ってしまうと、見た目の色と空気感がとても日常的になってしまうので、僕はあえて晴天モードもしくはマニュアルで設定して、青みがかることを計算している。



GFXもXシリーズも、マニュアルで設定することで、撮って出しで使える画像が得られる。画像処理に頼らず現場で詰めておくことで、より良いプリントが得られる。
この数日後、満開ではないが7~8分咲きを撮影した。その時はPROVIA/スタンダードもしくはASTIA/ソフトでまわりの空気感とバランスしながらColorとWBを調整した。
満開に近い時は、WBをやや暖色よりに設定すると桜の華やかさが表現できる。
そして当然、いつかは花も散るときがある。


散り際は、僕の場合、憂いもしくは去り行く寂しさを表現する場合と、散る花びらの桜吹雪を表現する2つの撮り方がある。
散り行く寂しさを表現する時は、ASTIAで彩度を-3とかに落として撮っている。
エテルナを使うことも考えたが、少し色がフラットになりすぎるので、ASTIAでマイナスに彩度をコントロールで調整している。そして桜吹雪はモノクロで撮ることも多い。



また時間帯によって、又兵衛桜のバックの森が黒くなるときは、あえてVelviaで黒バックに宙を舞う花びらを強調し表現することもある。
GFX&Xは豊富なフィルムシミュレーションがある。絵の具で言えば豊富なパレット。
そのパレットを生かすには常に自分がどんな絵を撮りたいか、頭の中に絵コンテを作ることが大切。
そして桜を蕾から散り際まで撮るときは、見せ場をどこに持って行くかのストーリーを作ることも大切だ。
今年は3月が寒くて少し桜の開花が遅れている。だから咲き始めから散り際まで収めることがまだ間に合う。
GFX&Xシリーズのフィルムシミュレーションはあなたの心に見える桜をプリントの上に表現してくれるはずだ。
そして表現差別化によって、きっとコンテストや写真展で、あなたの作品の桜が光り輝くことになる。




4月11日まで富士フイルム・メタバース空間「House of Photography」で相原正明 写真展「Great Australia -光彩の大陸オーストラリア-」を開催します。皆様どうぞよろしくお願いします。
Photography by Masaaki Aihara



相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください





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by masabike | 2024-04-06 08:40 | 日本風景 | Comments(0)
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