Katachi:TOKYO BAYBRIDGE

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【和の「写心」By Masaaki Aihara】


「Katachi: TOKYO GATEBRIDGE」
FUJIFILM GFX100S + CM FUJINON CM Wide 1:6.3/250mm + VIEW CAMERA ADAPTER G使用 + HORSEMAN LX45
フィルムシミュレーション:ACROS+R

リチャード・アヴェドンは80年代90年代に世界のファッション&アート写真界を席巻した伝説の写真家。僕がアヴェドンを知ったのは、大学時代に写真史を卒論のテーマにした時だった。大胆な構図とシャッターチャンス。ポートレートではモデルが写真から飛び出してきそうな躍動感あふれる作品群だった。ただ、その時はとても遠い存在だった。その後、広告代理店の営業マン時代に会社にあった写真雑誌の表4広告(本の裏表紙)に大判カメラに手を添えてこちらを凝視するアヴェドン自身のポートレートがあった。そしてその広告こそCM FUJINON レンズシリーズの広告だった。FUJINONはアヴェドンが選んだレンズか!もし将来プロの写真家になったらFUJINONを買おうと心に決めた。会社を辞めてオーストラリアに行き、作品を作り、下積みのカメラマン生活が始まった。30歳の時だ。しかし駆け出しの若造に45大判カメラを使う仕事は回ってこない。35mmでの簡単な撮影ばかり。失敗しても所属事務所が大損しない程度のもの。だが徐々に撮影仕事も増えてきて、時々「相原君は45で撮影出来る?」と聞かれるようになった。残念ながら当時僕は大判カメラが使えるどころか持っていなかった。そこで友人の物撮り系写真家に「お願いだから1回でよいので45の操作とフィルムの入れ方を教えてほしい」と恥を忍んで頼み、45の撮り方を学んだ。そして買ったのがFUJINON 90mm、150mm、250mm、それと45ビューカメラ。撮影の目的が不動産建築の広告撮影だったので、あおり量の幅が大きくかつ長い焦点距離も使えるスタジオ用のビューカメラだった。そしてFUJINONレンズは僕に仕事と自信と作品とお金もたらしてくれた。

デジタル化の波に押されて以来、45カメラとCM FUJINONレンズ群は事務所で留守番の日々が続いた。だがGFX発表の時、カタログを眺めたとき僕は1つのアクセサリーに目が留まり、うれし涙が出そうだった。それはGFXのカメラボディーを45カメラにデジタルバッグとして取り付けるアダプター、「VIEW CAMERA ADAPTER G」。

これで我が家の45カメラとCM FUJINONレンズが生き返ると確信した。そして僕はダイナミックな建築物を求めて、東京ゲートブリッジに向かった。ハスキーとジッツオの重量級三脚を携えて行った。重量級のビューカメラを支えるためには現代のカーボン三脚と自由雲台では無理。大判カメラには儀式が必要。まずカメラの完全水平垂直を出した。そして何を狙いどう表現するか頭の中に絵コンテを創り上げる。カメラを45判のピントグラス側にGFX100Sを装着。ここで大感動をした。フィルムの時代、45判カメラにはファインダーが存在しなかった。被り布という黒い布を被り、ピントガラスに映る上下左右さかさまの画をルーペで検証しながらフレーミングし、最後は確認のためのインスタントフィルムで撮影してOKであれば本番フィルムを装填して撮る。だが今回GFX100Sを装着することで、ファインダーを通し正像で絵を確認できる。これは革命だった。そしてシャッターもフィルムを1枚1枚装填しなくて、GFX100Sで連写も切れる。もちろんISO感度も自由自在。2時間弱の撮影が夢のような時間だった。

CM FUJINON 250mmF6.3は最新のデジタル専用レンズに比べると少し軟調の表現。でもそれがモノクロームでの作品にとても似合う。撮影の帰り道、撮った作品をプリントして部屋に飾りたくなった。大判ビューカメラでの撮影は、じっくり被写体と向き合い撮ることが求められる。いまあなたが何か写真の撮り方に疑問を感じているのならば、GFXシリーズ+大判カメラ+FUJINON CMレンズ群はあたらしい扉を開けてくれるだろう。家に帰り大判カメラを立てて、富士フイルムのアヴェドンの広告と同じポーズで記念写真を撮ったその日、GFXのファインダーに少しだけアヴェドンの背中が見えた気がした。

*ビューカメラアダプター装着できないカメラもあります。ご注意ください。
*撮影時の詳細は相原正明ブログをご覧ください。
https://aiharap.exblog.jp/33745822/

*VIEW CAMERA ADAPTER G
https://fujifilm-x.com/.../accesso.../view-camera-adapter-g/

Photography by Masaaki Aihara



相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください





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by masabike | 2024-01-23 10:01 | 日本の風景モノクロ | Comments(0)
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