孤木天空図 FUJIFILM X Series Japanから転載

孤木天空図 FUJIFILM X Series Japanから転載_f0050534_11174289.jpg

【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「孤木天空図」秋田県・鳥海山麓
FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF23mmF4 R LM WR
ISO10000、Velvia/ビビッド
星降る夜、鳥海山越しに見えていた天の川の存在が名残惜しくなる時間。孤高の木の頂にかすかに夜明けの光が感じられる。だが肉眼ではまだ何も見えない。デジタル機材の進化とともに、夜も十分撮影領域になり「星景写真」という言葉さえも生み出された。
フィルム時代にも夜の砂漠とか撮影していたが、満月をはさんで3日間ぐらいしか撮影ができなかった。それも快晴でかなり条件が良い場合。それでもISO200のフィルムで90秒から4分の露光が必要だった。その理由はフィルムの感度。フィルムではMAXでISO800がきれいに撮れる限度。今回のGFX100SのISO10000なんて夢物語のような話。昔の風景写真は四季を通じて表現するのが定石だった、だが現代の風景写真というよりランドスケープは24時間365日を通じて表現するのが正しいだろう。その分僕らには眠る時間が少なくなり、写真家により多くの忍耐力と体力を求められるようになった。
前もこのシリーズで書いたがラージフォーマットになり大きな進化は画素が上がっただけではなく、高感度性能も飛躍的に向上した。ISO3200、6400は日常撮影領域と言っても過言ではないだろう。今回の撮影は真っ暗闇の中で始まった。昼間にロケハンをして、木の位置や大体のカメラのフレーミングも決めていた。だが深夜に現場では月が沈んでしまい(この夜は12夜の月)真っ暗闇夜。昼間決めた立ち位置を手探りで探すところから撮影は始まる。以下のことは自分流の夜の撮影で、これが絶対に正解とは言えないのであくまで参考として読んでいただきたい。最初にレンズの絞りを開放に設定。最大限の光をセンサーに取り込むためだ。次に木にヘッドランプの明かりを当てて、ピントを合わす(ヘッドランプを被写体にあてる場合、他の撮影者がいないか十分注意して行うことが大切。他の方が長秒露光撮影とかしていると、その方の撮影をだめにしてしまう等もある)。当然AFは作動しないのでMF。この場合はEVFでフォーカスポイントを拡大してピントを合わす。GFXのEVFは拡大率も含めて、MFでのピント合わせがとてもしやすい。これは夜間の撮影では大きなアドバンテージ。次はISO感度を25600あるいは51200にしてフレーミングのための試し撮り撮影。モードはAEもしくはマニュアルで行う。試し撮りのフレーミングの確認のためだけなので、超高感度で画質が荒れても、絵が確認できればそれでよい。超高感度&開放絞りにしないと、露光時間が数秒から、数十秒になりタイムロスとなる。うかうかしていると夜が明けてしまう、あるいは曇ってきてしまう場合もある。だから超高感度で短時間の露光でフレーミングとフォーカスを合わせる。そしてWBはオート、あるいは自分の表現したい色温度の世界をマニュアルで決定する。GFXは色温度の設定がとても細かくできるので、微細な表現ではとても役に立つ。もしくは電球モードで撮影する。この場合、色温度並びにフィルムシミュレーションの決定には2つの基準がある。1つは、被写体となる星座や星の色をきちんと表現したい。もう1つは星座や星の色は正確ではないが、あくまで夜の世界の表現としての色を最優先とする。僕の場合は後者で、自分が表現したい世界を優先としている。個人的なイメージとしては「宇宙にポツンと立って景色を眺めている」そんな世界観にしたい。それからいよいよ撮影。この夜も現場にスタンバイしてから3時間半、あっという間に太陽が主役となる時間がやってきた。木の先端が夜明けの光で赤く浮かび上がるころ、撮影はフィナーレを迎える。だがそれからさらに3時間余り第2ラウンドの光との戦闘が始まった(その時の朝の撮影が前回掲載の湖に映り込む紅葉と鳥海山)。
深夜から朝日に輝く紅葉の時間まで、数々の色と光をGFX100Sは自分流の世界に取り込んでくれた。風景写真は単にきれいに撮るだけではない。美しい風景、荘厳な風景と対峙したとき、いかに自分の内宇宙の世界観に変換するか。そしてその変換するときに思い通り変換できて、ストレスがないカメラが最も風景写真を撮るのにふさわしい機材と言える。漆黒の闇の中でも朝日に輝く彩の世界の中でも、GFX100Sは決してあなたを裏切らない。発売以来、砂漠、熱帯雨林、雪山、紅葉、桜、都市建築など多くのシーンでGFX100Sを使ったが、裏切られたあるいは「逃がした魚は大きかった」の経験はない。それはいつも撮影後、モニターを見る自分の顔が笑顔で緩むのを実感して確認している。これから長い冬の夜が始まる。裏切られないためにもGFXを使いたい。また酷使する時がGFXとともに始まる。
Photography by Masaaki Aihara



相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください





富士フイルムさんのX シリーズフェイスブックで 和の写心(毎週水曜日更新)を連載中。「イイネ」押してくださいね


ブログランキング応援クリックお願いします。応援たくさんしていただけるとたくさん写真がアップされます 笑
下のランキングバナーをクリックしてください。



by masabike | 2023-11-30 11:18 | 日本風景 | Comments(0)
<< 大地の上に3年 風景撮影の主力兵器 FUJIF... >>