紅葉山水図 FUJIFILM X Series facebookより転載

紅葉山水図 FUJIFILM X Series facebookより転載_f0050534_16432876.jpg
【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「紅葉山水図」秋田県・鳥海山
FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF45-100mmF4 R LM OIS WR
海外と日本を行ったり来たりしていると、日本に戻った際に感動するのは春の桜と秋の紅葉。特に秋は、空から眺めると大地が色の絨毯のように見えるのが日本の紅葉。以前、カナダの紅葉を撮っている写真家に「カナダの紅葉はすごいのでしょう?」と聞いたらスケールは大きいけど、色とりどりの美しさは日本の方が上ですと聞いたことがある。そして多くの人から紅葉をどうしたら綺麗に撮れるか?と写真展やワークショップで質問を受ける。このサイトをご覧の方の多くはご存じの方も多いかもしれないが、紅葉は順光よりも斜光や逆光で撮ることで立体感が出て美しい。


 ただその場合、太陽の光でフレアーやゴーストが生じる場合も多い。レンズフードを装着していても、角度によってはレンズに直接入る太陽の光を全てカットできない。スタジオやコマーシャルの撮影では、照明のフレアー防止のために大型ボードをレンズ前方上において光をカットするが、屋外で単独での撮影ではそんな大型のボードを持って歩くのは不可能だ。そのような時に便利なのが折りたたみ傘。レンズの前面に傘をかざすことで、余分な光をカット。コンビニでも売っている安い傘で良い。ただし色は黒。茶とか赤では光も通しやすいのと、色が変に影響するので黒の傘が良い。実はこの写真も太陽が前面10時の方向にあり何もしないとフレアーが出るので、黒の折りたたみ傘を左前方上にかざして撮影している。そうすることで余分な光がカットできて、画面にしっかりしたメリハリを得ることができる。GFX&GFレンズでの最高のコンビネーションで撮影しても、防ぎきれないこともある。奇麗な紅葉の撮影にはこうした小道具も必要だ。


 そして紅葉を撮るときは基本的にVelvia/ビビッドで撮影している。Colorは0の設定。ただ時にはASTIA/ソフトを紅葉で使う。時として赤が強い紅葉で青空バックの時などはVelviaで撮影すると赤が色飽和気味になり、紅葉の葉の色が作りものみたいになるのと同時に、青空の色が少しマゼンタに転ぶ傾向となる場合がある。秋の空の澄んだやや冷たいブルーが暖色傾向になってしまう。そのような時にASTIAでColorの設定を+2~4で調整すると、メリハリが効いた自然の赤のトーンとなり、かつ秋の青空も澄んだ冷たいブルーになる。色の調整はEVFファインダーを覗きながら丁寧にしてほしい。



それと紅葉は少しの露出の変化で色味がだいぶ変わってしまう。シャッターチャンスに余裕があるときは1/3ステップずつ露出補正をしながら5~6段階ぐらいシャッターを切ってほしい。「後から画像処理すれば、それほど細かく露出補正してシャッターを切らなくてもよいのでは?」という方もいる。ただ画像処理をすると、どうしても画質が落ちやすい。時にはオリジナルに比べてシャープさが落ちて、色が濁る。昔、下積み時代に大手通販カタログの撮影をしていた。その際に商品の色味を伝えるために、露出は1/3ステップで、±5段ぐらい撮影させられた。カタログだけで商品を買っていただく、通販では印刷にしたとき色の転びがあり商品のイメージが変わってしまうので、色の誤差を考え幅広い露出補正をする。(印刷により暗めになったり明るめになったりする。また当時はインターネットがまだなく、カタログ命の時代)
今でも不動産広告の撮影をしているが、建築物の撮影では時には±0からマイナス5ぐらいまで、1/3ステップで撮る場合も多い。光と色味で建築のイメージがだいぶ変わるからだ。それぐらい色というのは難しい。
ちなみにXシリーズ初期のX100は、当時露出補正ダイヤルが±3段だった。これでは露出イメージコントロールに段階が不足であるとX開発陣に訴えた。その結果、他の写真家の方も同じ意見が多く、露出補正ダイヤルにCの設定が加わり±5段階ができるようになった。
このように1つ1つの小さな撮影での設定が、カメラとレンズのポテンシャルを最大限に引き出し傑作を生みだす。あとはよい光と色が来るのを待つだけ。紅葉シーズンも最終ラウンド、この記事を読んだ皆様の傑作をお祈りする!Good Luck!!
Photography by Masaaki Aihara



相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください





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by masabike | 2023-11-16 16:49 | 日本風景 | Comments(0)
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