秋色五色図 FUJIFILM X Series facebookより転載


秋色五色図 FUJIFILM X Series facebookより転載_f0050534_18111646.jpg
【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「秋色五色図」北海道・オンネトー
FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF23mmF4 R LM WR
風景写真の王道は広角でがっちり撮る風景。風景写真の神様と呼ばれるアンセル・アダムス氏の作品も広角が多い。他にも古今東西の風景の名作は広角レンズが多い。そして広角で広く切り取りつつ、広い風景を構成する各パーツを緻密に再現することでダイナミックかつ繊細な作品を創り上げることができる。だがここで課題が生じる。広い風景を撮る場合、構成するパーツを緻密に再現するためには細心の注意が必要だ。だからこそラージフォーマットの出番となる。今回の作品もダイナミックなオンネトーの景色を写しつつ、1本1本の紅葉する木々を緻密に再現している。



英語で言うところのOne for All, All for One。でもその表現のためには、カメラブレをしないことが最重要。よく最新式のカメラを買ったけれど、どうも写真がシャープではないという相談を受ける。その多くの理由が手振れ。どんな緻密に写るカメラを買っても手ブレをしてはどうしようもない。その為には三脚をしっかり活用する。さらに三脚の雲台や脚のネジをゆるみのないようにしっかり締め、ケーブルレリーズなどを使って撮影。いくら三脚を使用しても指でシャッターを押してはブレてしまう。また次のシャッターを押すまではできれば1~2秒間をおいた方が賢明だ。なぜならシャッターの微振動の余韻が残っていたり、露出補正値を変更するためにカメラ操作をした振動が残るので少し間を置くと良い。僕は焦ってシャッターを切らないように、心の中で「101、102と」カウントしてシャッターを切る。こういう細かい作業の積み重ねが緻密な描写を生み出す。でもGFX100Sのブレ防止機能はシャッタースピード6段分もあるからブレないのでは?という人もいる。だが朝夕などスローシャッターを選択する場合は手振れ補正機能だけでは防げない。さらに三脚使用にはブレ防止以外にもう1つの目的がある。それは正確なフレーミング。今回の作品でも画面右に1本黄色い紅葉が入っている。これを入れるか切るかで、フレーミングを考えた。このような木1本分をどのようにフレーミングするかが、時には作品の大きな分かれ目になる。その為にも正確緻密なフレーミングのためには三脚が必要となる(注:ただし三脚の使用禁止の場所、あるいは木道などで人の多い場所での三脚使用は充分周辺に配慮してほしい)。余談ではあるが、固有種の多いオーストラリアでの撮影時は、他の大陸からの外来種の植物やバクテリアの侵入を防ぐために、撮影前に三脚を水洗いして消毒して持って行く。入国審査の時に他の大陸からの土が付着していると税関で洗わされる羽目になる。本当の話だ。



 今回の作品では16:9のアスペクト比を選択した。理由は空が広く入りすぎ間延びしてしまうことを抑えるためだ。もし空に美しい形や色の雲、あるいは手前の水辺にワンポイントとなる立ち枯れの木や岩があったら、4:3あるいは3:2のフレーミングにした方が良い場合もあるがこの日は青空。ワンポイントとなるものはなかった。広すぎる空は画面の緊張感を弱め、紅葉の配列の印象も弱くすることもある。そこで16:9を選択した。フルフレーミングではなくても、画像データーは40MB以上ある。大伸ばしにも十分耐えられる大きさだ。さらのこのあと65:24のパノラマでも撮影した。同じ被写体でもアスペクト比を変えるとまるで印象が異なる。GFXでの風景作品造りの肝はしっかりしたフレーミングとブレない緻密な画像造り。今まさに日本全国紅葉真っ盛り。一番ラージフォーマットが生かせる季節。2023年の紅葉、悔いが残らないようにしっかり撮ってほしい。僕もほとんど毎日フーテンの寅さんのように旅から旅の連続で紅葉を撮り楽しんでいる。だからこそカメラバッグの一番取り出しやすいところには、いつも2台のGFXがスタンバっている。


Photography by Masaaki Aihara



相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください





富士フイルムさんのX シリーズフェイスブックで 和の写心(毎週水曜日更新)を連載中。「イイネ」押してくださいね



ブログランキング応援クリックお願いします。応援たくさんしていただけるとたくさん写真がアップされます 笑
下のランキングバナーをクリックしてください。





by masabike | 2023-11-01 18:11 | 日本風景 | Comments(0)
<< 天邪鬼 踊る雲 黎明カオスの時間 >>