頂の存在 FUJIFILM X Series facebookより転載


頂の存在 FUJIFILM X Series facebookより転載_f0050534_18273213.jpg
【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「頂の存在」長野県上田市
FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF32-64mmF4 R LM WR
フィルムシミュレーション:Velvia
ISO感度:800、AEロック、シャッタースピード:1/1600 sec、ボディ内手ブレ補正:ON、手持ち撮影
写真はイレギュラーな事態が起きた時こそ最大のシャッターチャンス、一番お気に入りの作品が撮れる。狙った通りに撮れたのでは、せいぜい自分の狭い考えの範疇。同じようなことは写真の先人たちも言っている。土門拳氏も「カメラの後ろに写真家の存在が小さくて見えないぐらいの写真が良い」的な主旨のことを述べられている。
そのために多くのカメラとレンズが、予想もしない事態に対応して、素早く正確にかつ美しく撮れるように進化熟成している。そしてイレギュラーな事態の時こそ、カメラの真価がいちばんわかる。勿論、GFX&Xシリーズも、その例外ではない。そして今回もそのイレギュラーに対応する能力に助けられた。



十七夜の月が沈むのを棚田の見える丘で狙っていた。雲に見え隠れする月が、いつ雲の間から顔をのぞかせるかわからない。全神経を月に集中していた。その時、雲に反射するオレンジ色の光を見てはっとして、振り向いた。美しい雲と夜明けの色の競演があった。フレーミングを考えた。雲だけ撮ってもダイナミックさは出ない。その時、頂に建つ鉄塔が眼に入る。鉄塔を入れることで、空間の大きさを感じさせ、それを起点にフレーミング考える。三脚をセットしなおしている時間はない。雲と光が消滅する。新たなシーンを撮るために1~2秒で僕がしたこと。頭の中にイメージ絵コンテを作る。フレーミング(アスペクト比)を4:3から1:1。色の設定をASTIAからVelviaへ。絞りを深い被写界深度かつパンフォーカスで、狙っていたf22からf8.0へ。そしてここが一番キーポイント、ISO感度を100から800へ変更。同時にボディ内手ブレ補正をONにして手持ちで撮影用意。さらにDRIVEを連写にし(これは連写にすることで、シャッターを指で押す回数を減らし、手ブレを少しでも防止するため)、1~2秒で撮影した。


この撮影のためには事前にいくつかの用意をしている。モードダイヤルのカスタムポジションに割り当てをしている。C1:ACROS +Ye、C2:Velvia・Color +1、C3:ASTIA・Color -1、そしてC4:STDはすべてデフォルトにしている。C5:ACROS +R・アスペクト比:65:24、C6はその撮影ロケ対象に応じて設定。こうすることにより瞬時に対応のベースができる。


そして一番のキーはFnボタンの設定。ボディ上面とサブ液晶モニター横のFnボタン2にISO感度設定、Fnボタン3にブレ防止モードON/OFFを割り当てている。こうすることで三脚固定撮影から手持ち撮影に変更する場合の設定の大きな2点が迷わず隣同士のボタンで行える。そこで皆さん、疑問が生じるだろう。どうして手持ち撮影にするときブレ防止モードだけではなくISO感度も変更するのか?それはGFX100Sの1億画素がキーポイント。1億画素の画像を引き延ばしたとき、手ブレ補正機構だけでは、ブレ防止に不安が残る。特に空撮や、今回のようにとっさの対応で呼吸が乱れて手ブレしやすい場合を考え、速いシャッタースピード1/1000以上が切れるようにISO感度を変更する必要がある。だが感度を上げたら画質が落ちるのでは?ノイズが出るのでは?安心してほしい。GFXのラージフォーマットは高感度にとても強い。ISO1000や2000なら安心だ。昨年のオーストラリアの空撮でISO1600に設定した撮影でも、作品をオーバー2mサイズでプリントが美しくできた。実は以前はブレ防止モードを、カメラボディ前面のFn4に割り当てていた。ところが強くボディを握ったときに、不用意にボタンに手を触れてしまい、手振れ補正が意図せずに解除になったり、逆に三脚使用撮影時にONになってしまいブレてしまったことがあったので、ボタンの割り振りを変更した。これでかなり撮影がスムーズになった。このようにカスタム設定とFnボタンを自分好みに設置するためには、日ごろのカメラとのスキンシップが大切。日常でも毎日カメラに触る、カメラで撮る。このことがカメラのマイ設定につながる。


大事な写真はスマホではなくカメラで撮ることも大切だが、毎日カメラとコミュニケーションする、それが良い作品への第1歩。皆さんも毎日使う箸やペン、あるいは自転車などの日常の物は使うたびに緊張したり考えたりしないはず。カメラも同じ。毎日カメラに触る・撮るそのことが良い写真への第1歩。その為にGFXもXシリーズも、毎日多くの撮影をするプロの写真家の経験値を考えて設定されている。だからすべての機能がユーザーファースト。さあ、今この記事を読んだらすぐにカメラを持ちシャッターを押してみよう。外にあふれる素晴らしい秋の光と色を逃がさないために。
Photography by Masaaki Aihara

相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください





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by masabike | 2023-09-06 18:27 | 日本風景 | Comments(0)
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