不動産広告

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LUMIX X5Ⅱ+LUMIX20-60mm

今年の夏の撮影はとてもしんどかった。撮影フィールドはオーストラリアでも、北海道でもなくて都内。しかも都心。撮影は不動産広告。炎天下 アスファルトやコンクリートの照り返しの中での撮影は砂漠よりきつかった。

不動産広告の撮影とかするんですか?とよく聞かれる。答えは”Yes”。不動産広告に関するキャリアは40年以上。理由は前職 広告代理店の営業マン時代、会社が不動産&金融広告に特化していた。特にマンションの不動産広告。1980年代初頭 バブルへ向かい突き進んでいた日本。不動産は活況だった。新聞 見開き30段広告を掲載するのが当たり前。掲載料は1紙1回5000万円。そな時代なので、会社のお金で夜の銀座もその他良い思いもたくさんさせていただき
、たくさん大人の勉強を表も裏もさせていただいた。

広告業界ではいろいろな広告賞がある。広告関係者はそれを、受賞するためにも日々努力していた。特にクリエーターたちはそれが大きなステップアップとなる。だから明日の浅葉克己、糸井重里、浅井慎平をみんな目指していた。特に当時はホンダの広告を手掛ける原宿サンアドだが輝いていた。だがそんな賞レースから不動産広告は抜け落ちていた。広告賞をとれるのは、飲料、車 ファッションだった

地味な仕事や制作物でもこの不動産広告の仕事がなぜか好きになってしまった。当時 僕の担当部署で手掛けていた不動産物件 「ザ・タウン我孫子布佐平和台 駅前マンションウィング」というのがある。実はこのマンションの広告が、朝日新聞で初の見開きカラー4C 全30段 ノンブルなしの広告で少しだけ話題になり、うれしかった。しかも何とこの街の総称のなずけ親が僕である。そんなこともあり不動産広告にかかわり40年。今でも撮影をしている


主な被写体は首都圏の街や新築物件のマンションと戸建て。ときどき名古屋・東海地区も撮影する。そこには絶景も世界遺産も、風景写真系の書籍で人気となる光景も、インスタ映えする光景もない。普通の日常。だが普通の日常の中に人々は新たな住まいを見つける。不動産、ほぼ多くの人にとり一生に一度の大きな買い物。その大きな買い物を、美しくラッピングして夢を感じても来、そして最初の第一印象を創り上げるのが不動産広告と僕はいつも思い撮影している。過去には撮った広告写真のインパクトで来場者が多く集まり即日完売した物件もある。

だが不動産広告は簡単に撮れないことが2つある。1つは、いかに住む人が住みたくなる街あるいは物件に見えるようにするか?それは自分が住みたくなる街や物件として見なければならない。街や建物と、瞬間的恋愛にならないと撮れない。これは実はオーストラリアや大分のロケでも同じだ。仕事だと思って撮ると、撮れなくなる。愛がないと住みたい街にならない。かつ、お客様の中でも主婦の方がどう感じるかが大切。きれいな街やかっこいい建物ではなく「私がすんだら、おしゃれに見える街」「私がすんだらかっこいいマンション」常に主役は主婦。そして不動産売買契約書に最後に印を押すのは主婦であることを覚えておかなければならない。だから常に主婦の目線は意識すること。そしてそのために常にとる街や建物が大好きになるように心がけている


そしてもう1つ厄介なことが公取の規制が厳しいこと。不動産広告は、売買金額等が大きいのと土地の利権が絡むために、いろいろな法的規制がある。それを知らないで撮影するとあとで大問題が、訴訟問題になる。

いろいろ大変であるけど、不動産広告の撮影には誇りを持っている。それは人生で一番高い買い物を自分の写真がきっかけとなっている。このことに尽きる。以前 富士フイルムプロ部の鬼軍曹的なTさんより、プロビア100Fのキャンペーンが終わったとき、お茶に誘われた。「相原君は不動産広告を撮影しているんだっけ?
」ハイというと「それずっと続けてほしいな。写真家はシャッターを押してなんぼ シャッターを押して作品造り稼ぐもの、講評会やティーチングでは稼がないように。不動産の仕事と、オーストラリアの作品との二本立てが一番理想だと思うよ」とアドバイスされた。そして今でもそれを守っている



長くなったが、いろいろなシーンを探し見つける、それは間違いなく不動産の仕事で培われたと思う。地味な仕事だがとても楽しく、誇りに思う撮影だと心に書き記している



相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください







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by masabike | 2023-09-02 17:19 | 写真アート | Comments(0)
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