Power Station FUJIFILM X Series facebookより転載

FUJIFILM GFX100S+FUJINON GF32-64mm

「PowerStation」高知県　大川村

FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF32-64mmF4 R LM WR

梅雨時期になると「天気が悪いので写真を撮りに行けない」「晴れていないので良い写真が撮れない」という言葉をしばしば聞く。でもそれは大きな間違い。天気が悪い、雨が降る、だからこそ撮れる被写体、撮れる表現もある。今回の作品は四国・吉野川上流の渓谷にある水力発電所の送水管。毎年雨が多い時期になると僕は四国に、雨に煙る景色を撮りに行く。雨で切り立った深い渓谷のある四国だからこそ撮れる写真がある。ある日、夜明けの風景を撮り終えて宿に戻る途中、雨に濡れた送水管と目が合った。雨で濡れた金属の質感、柔らかい光の中で重厚感を放っていた。見た瞬間モノクロだと感じた。すこし濡れた金属の感じもモノクロ向きだった。

僕の好きな写真家にドイツの現代アートの巨匠ベッヒャー夫妻がいる。その二人が撮った作品の中”GRUNDFORMEN”という写真集が手元にある。給水塔やサイロを撮影した作品。すべてがモノクロームであり曇天の日に撮られている。物のフォルムの面白さ、パターン化した形状の美しさを表現している。そして撮影はたぶん4×5フィルムカメラで行われている。僕の作品造りのバイブルにもなっている。

ベッヒャー夫妻の作品も、今回の給水管の写真も晴れてしまっていたら、パキパキにコントラストがついて重厚感や形状の面白さは伝えにくい。雨だからこそ、柔らかい光で濡れる給水管の質感が表現できた。そして何よりも4×5以上、いや8×10以上の描写力をもつGFX100Sだからこそ表現できたと思う。特にモノクロ写真は黒から白へ、いかにたくさんの階調表現ができるかにかかっている。1億画素超のGFX100Sはその条件に最もふさわしいカメラだ。8×10以上の描写力とフルサイズカメラと同等の機動力を兼ね備えたGFX100S。その機動力は表現者にストレスを与えない。大判フィルムカメラの卓越した描写力と緻密性は素晴らしい。いまだに僕のあこがれのフィルムカメラだ。だが機動力が今1つで逃してしまう光もあるはず。だがGFX100Sはその2つの相反する特性をカバーしている。そしてモノクロは写真の基本。雨の日、曇天の日。ドラマチックな色彩は得られにくい。だからこそ逆にしっかりした構図や、柔らかい光で表現する光と影とグラデーションが求められる。絶景や燃えるような朝焼け夕焼けの光を追い求めることも大事だが、いつか壁にぶつかることがある。そんな時に、GFX100Sで曇天あるいは雨の中でモノクロームによる被写体を追い求めることで、何か答えが見つかるはずだ。風景写真にありがちな、ついつい被写体の偶然性に頼ってしまうことではなく、自分の眼で見て、普通の光と空間の中から切り取ることで、表現方法のエクササイズになるはずだ。あなただけの表現を1億画素のGFX100Sはきっと後押ししてくれる。

Photography by Masaaki Aihara

https://fujifilm-x.com/global/photographers/masaaki-aihara/

https://aiharap.exblog.jp/

相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明　フォトエッセイ　　ぜひお楽しみください

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