春霞満月図 FUJIFILM X Series facebookより転載

春霞満月図 FUJIFILM X Series facebookより転載_f0050534_20404802.jpg
【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「春霞満月図」長野県上田市
FUJIFILM X-T5 + FUJINON XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR
風景写真でドラマチックなシーンと言えば日の出日の入り。多くの人がそれを狙う。僕ももちろん同じだ。だがそれと同じくらい、あるいはそれ以上にドラマチックに感じるのが月の出と月の入り。太陽に比べて光と色の強さは弱い。だが月齢とともに変わる月の形と、特に満月に近くなればなるほど、月の出入りでは妖しく怖いくらいにオレンジから赤い色に色彩が変化していく。


1996年、オーストラリア・シンプソンデザート。僕は地平線から昇る妖しい火の玉のような満月を撮影した。フィルムはFUJIFILM RDPII。あの妖しき火の玉のような月に、それ以来魅せられている。月は表面に模様がある。その模様を中心に撮れば天体撮影としての表現。逆に風景の中で点景として撮れば、風景写真として表現出来る。ただどちらの場合もかなりの望遠が必要となる場合が多い。今回は、XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRを使い満月を追いかけた。月の出は長野県 美ヶ原で撮影。ただこの場合は、山の稜線から月が上がるので、肉眼で見えたときには月の赤味がだいぶ消えていた。そして月の入りは上田市の郊外で狙った。上田盆地には春霞がかかっていた。超望遠系ズームレンズには、コントラストが弱く、霞がかかった景色を撮ると、メリハリがなく、霞んでいるのかピントが甘いのかわからなくなってしまうものが多い。だがXF150-600mmはしっかりとしたコントラストが得られるので、霞のかかる風景でもその情緒感を確実に表現出来る。これにはX-T5の4000万画素超えの画像再現力も貢献している。そして画像表現力は、妖しげな赤味を帯びた月の表情の再現にもその真価を発揮している。


今回はフィルムシミュレーションをPROVIAモードにし、シャープネスを少し弱くして撮影している。基本的に日本のような湿度感のある風景では、フィルムシミュレーションのどの色の設定でも、シャープネスを少し弱めることで湿度感を表現する。逆にオーストラリアのような強烈な色彩の世界では、相原流では少しシャープネスを上げ、強烈な光のカリカリ感を表現するようにしている。このような味付けの設定は、スルー画面を見ながらQボタンで操作することをおすすめする。




形と色の変化が速い月の撮影では、まわりの景色と月の大きさのバランスを考えることが大切。その時、ズーム比が大きいXF150-600mmはとても強い味方になる。そして超望遠600mm側に近づいた場合でも、レンズの三脚台座がとてもしっかりしているので、安心して使うことができる。ただ600mm端になると月を追いかける時、雲台でネジを緩めて少し動かした場合でも、月がフレームから大きく外れてしまい、あらためてフレーミングし直す場合がある。そんな時は少しだけ雲台を緩め、自分の向けたい方向にレンズ先端や三脚のパン棒を軽く叩くことで微調整が可能だ。これは物撮り等で身に付けたテクニック。月や太陽を取り入れたドラマチックな画を撮りたい。そう思うのならば、XF150-600mmはあなたのカメラバッグに準備しておいて損はない1品だと、僕はおすすめする。


ちなみに今回の月を点景とした引きの画は、X-T4 + FUJINON XF50-140mmF2.8 R LM OIS WRと、GFX100S + FUJINON GF45-100mmF4 R LM OIS WRの2セットを別の三脚にスタンバイして三段構えの陣で臨んだ。カメラボディーは異なっても、GFX&Xシリーズは同じ色の系統なので、写真展や写真集にしたときに作品がバラつかない。この点はぜひ、僕の写真展を生で見て体感してほしい。
〈お知らせ〉
GFX&Xシリーズで撮影した相原正明写真展のご案内
<相原正明 写真展 On The Earth ~超大陸 オーストラリア~>
日 時: 2023年3月29日(水)~4月5日(水)
     10:00-17:30(最終日 15:00)
場 所: フジカラーギャラリーかなざわ
     石川県金沢市西泉2丁目83番地
※ 写真展はやむを得ず、中止・変更させていただく場合がございます。予めご了承ください。
詳しくはこちら




【写真展】詳細 フジカラー北陸様 HPより
3月29日からフジカラーギャラリーかなざわにて
相原正明 写真展 On The Earth ~超大陸 オーストラリア~を開催!
相原さんからのコメント:
オーストラリアの大地を、天と地にいざなわれるままに大地とシンクロし撮り続けてきた34年。だがその流れはコロナ禍で中断された。ふとできた間の時間。この長い旅で何を体験し、見たのだろう。そして何を求めていたのか。その答えを作品としてまとめた。
世界最古の大陸オーストラリア、地球が生まれたまま現在も変わらない光景は、まるで別の惑星にいるような体験をさせてくれた。砂漠で岩の上に座り、星空を眺め、原生林で植物たちの命の鼓動を聞くことは、他の惑星での出来事のようであった。だがそれは紛れもないこの地球で見たもの。他の惑星から地球にインバウンドでやって来たときに感じるだろう、この惑星のすばらしさ。それを今回の写真展で形にした。
30年以上感じ続けた、ほかの惑星にいる錯覚、でも撮影が終わりファインダーから眼をはなすと、ここは地球だった。人類の尺渡ではなく地球の尺度で見ていただきたい写真展を開催する。


本展は、2008年から14年間の選りすぐりの作品に、2022年の撮りおろしの作品を加えて展示する。
<相原正明 写真展 On The Earth ~超大陸 オーストラリア~>


日 時: 2023年3月29日(水)~4月5日(水) 10:00-17:30(最終日 15:00)
在廊日 3月29日~4月2日 4月4日~4月5日 4月3日のみ不在となります
場 所: フジカラーギャラリーかなざわ
     石川県金沢市西泉2丁目83番地
※ 写真展はやむを得ず、中止・変更させていただく場合がございます。予めご了承ください。
詳しくはこちら


今回も2メートル超えの作品の展示はスタッフ様のご苦労のたまものです
みなさま 本当にありがとうございました
展示のご教示いただきました 奈良トミカラー 衛藤様感謝いたします

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by masabike | 2023-03-30 20:43 | 日本風景 | Comments(0)
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