春香色艶図 FUJIFILM X-Series facebookより


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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「春香色艶図」東京 自宅
FUJIFILM X-T5
朝、家の雨戸をあけると夜明けの光とともに春の香りが、おはようと言いながらリビングにあいさつに来た。1年の半分は旅の空の下の写真家生活。家に居る時もなるべく撮影のためのリズムを崩さないように、夜明け前後に起きる。そして、家にいるときの楽しみでもありルーティーンは、朝一で雨戸をあけて庭を眺めること。小さな猫の額ぐらいの庭だが、梅、海棠(カイドウ)、柿などの木がある。それを朝眺めて季節の移ろいを感じるのが好きだ。そして日常の季節の移ろいを歳時記的にXで作品にしてネットにUPしようと始めたのが、この記事、和の「写心」シリーズ。



少し春霞がかかった柔らかい日差しの朝。僕はすべての朝のルーティーンを終えると、X-T5とCarl Zeiss Touit 2.8/50Mを持って庭に出た。フィルムシミュレーションは柔らかい暖色が得意なASTIAに設定。そしてColor(彩度)はEVFを見ながら考える。X-T5になりEVFが369万ドット、倍率0.8倍となり、より花など緻密な被写体の細部の確認と色の具合がわかりやすくなった。人によってはRAWデータさえ撮っていれば、あとで色はどうにかなると考えている方もいるだろう。でもそれは大きな間違い。最初からストライクゾーンで撮ったほうが、画像処理を行うにしても、修正幅が少ないので、より良い画質が得られる。これこそがファインプリントへの第1歩である。今回も蕾の赤味を出しながら、全体の色があまり強くならないように、彩度を調整しながら何枚も撮影した。そして、高倍率のEVFは蕾と背景の花びらとの微妙な重なりも確認しやすかった。このような場合Velviaを選択すると色がきつくなりすぎて、春の朝の柔らかさが薄れてしまうので要注意だ。


EVFでのストレスがない画が、より写欲を掻き立てられるとともに、緻密な被写体の撮影の場合、眼の疲労がだいぶ軽減される。僕は仕事や作品造りでの真剣勝負の撮影では1日で3000~4000カットを撮ることが普通だ。故にEVFのファインダーの見やすさ、眼の疲労感の少なさはカメラを選択する際に大きなアドバンテージになる。
そして花と花、蕾と蕾の微妙な重なりを狙い撮影していくときは手持ち撮影が多い。三脚を使うと、「あと1mm右にしたい。」そのような時なかなか好みのポジションにするのには時間がかかる。朝の柔らかい光はどんどん変化する。色温度も刻々と変わっていく。X-T5の最大7.0段の手振れ補正は、手持ちで接写撮影する際は最大の味方となる。この作品は少し見上げて、かつ梅の木に寄りかかって撮影した。しっかり両足を地面に踏ん張れないポジションで、手振れ補正の最大の恩恵を受けた。また、従来はX-T4を使用していたが、X-T5のコンパクトさを実感する。もちろん重さもそうだ。ほんのわずかな重量と大きさの違いが、1日で数千カット、それを長期撮影では何日、何週間も続けるため大きな違いになってくる。朝起きて、撮影に臨む時、手を伸ばしたくなるカメラか、手を伸ばすのをためらうカメラか。プロの現場ではその差はとても大きい。初代X100が誕生して12年、干支が一回りした。Xシリーズはこの間、着実に熟成の進化を続けている。すべての写真を愛する人が、気持ちよく心の思うままに写真を撮れるように。


ちょうど、梅の花の撮影が終わったとき、庭の前を通り過ぎる通勤のサラリーマンの方から「良い写真が撮れましたか?」と尋ねられたので、LCDのモニターの画を見せた。「梅の香りがわかりそうな写真ですね」と言われてすごくうれしくなった。
また明日の朝も良い日差しに巡りあえたら、梅を撮ろうと決めた。今度はX-T5とどのレンズを組み合わせようか?皆さんは、朝起きたら手を伸ばしたくなる、そんなカメラをお使いですか?
〈お知らせ〉

【写真展】
3月29日からフジカラーギャラリーかなざわにて
相原正明 写真展 On The Earth ~超大陸 オーストラリア~を開催!
相原さんからのコメント:
オーストラリアの大地を、天と地にいざなわれるままに大地とシンクロし撮り続けてきた34年。だがその流れはコロナ禍で中断された。ふとできた間の時間。この長い旅で何を体験し、見たのだろう。そして何を求めていたのか。その答えを作品としてまとめた。
世界最古の大陸オーストラリア、地球が生まれたまま現在も変わらない光景は、まるで別の惑星にいるような体験をさせてくれた。砂漠で岩の上に座り、星空を眺め、原生林で植物たちの命の鼓動を聞くことは、他の惑星での出来事のようであった。だがそれは紛れもないこの地球で見たもの。他の惑星から地球にインバウンドでやって来たときに感じるだろう、この惑星のすばらしさ。それを今回の写真展で形にした。
30年以上感じ続けた、ほかの惑星にいる錯覚、でも撮影が終わりファインダーから眼をはなすと、ここは地球だった。人類の尺渡ではなく地球の尺度で見ていただきたい写真展を開催する。


本展は、2008年から14年間の選りすぐりの作品に、2022年の撮りおろしの作品を加えて展示する。
<相原正明 写真展 On The Earth ~超大陸 オーストラリア~>


日 時: 2023年3月29日(水)~4月5日(水) 10:00-17:30(最終日 15:00)
在廊日 3月29日~4月2日 4月4日~4月5日 4月3日のみ不在となります
場 所: フジカラーギャラリーかなざわ
     石川県金沢市西泉2丁目83番地
※ 写真展はやむを得ず、中止・変更させていただく場合がございます。予めご了承ください。
詳しくはこちら


相原正明撮りおろしのkoji note From OITA 相原正明 フォトエッセイ  ぜひお楽しみください






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by masabike | 2023-03-26 14:50 | マイガーデン | Comments(0)
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