On the Earth 写真展&写真集 より

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FUJIFILM X-H1+FUJINON XF80mm Macro

タスマニア州 クレドールマウンテン

撮影協力 タスマニア州政府観光局 カンタス航空

大きな風景を狙っていると、ついつい足元を忘れがちである。撮影の時、大きな風景に対峙するときほど、いつも足元の小さな風景にもセンサーをはっている。どんな大きな風景も、広大な宇宙も、足元の小さな世界の連鎖から広がっている。


タスマニア クレドールマウンテン 広大な山岳地帯だが、足元に広がるクッションプラントやコケたちの繊細な宇宙も見逃してはいけない。この時はFUJIFILM X-H1にマクロ80mmを装備した。小さな宇宙を撮影するので、あまり近づくと自分やカメラの陰がフレームにインしています。そんな時80mmは丁度良いワーキングディタンス。この時もコケだけで1時間ぐらい自分の宇宙に入り込み撮影してしまった。だがオーストラリアを撮影し始めて1995年ぐらいまでは、足元の世界には眼も向けていなかった・・・

いまから25年以上昔、ある有名写真編集者Sさんにお会いする機会をいただいた。当時はオーストラリアを撮りだして7年目、内陸の砂漠だけに的を絞り撮影していたころ。ダイナミックな風景だけを狙い撮影していた。そんな時のいただいた機会なので作品を持ってすぐにお伺いした。じっくり見ていただきとてもうなずかれていただき、良い感触を得た。そして作品を見ていただいたあと「ダイナミックで素晴らしい作品だけど、足元の風景がないのが残念。足元の風景を見てご覧なさい。そうすれば作品にもっと厚みが出るよ」とアドバイスをいただきました。ですが僕はその時に、砂漠なんて砂とガレバしかないのだから足元の風景なんてないと考えた。この編集の方、何をおっしゃってんだか?砂漠に行ったことあるのかなと思ってしまった。

 それから3ヶ月、僕はオーストラリア中央部の砂漠で撮影をしていた。砂漠にそびえる奇岩の夜明けを撮影していた。陽が出てきてフィルムを交換しようと(とうじはまだデジタルカメラはありませんでした)足元のカメラバッグに手を伸ばしたときはっとした。足元のカメラバックの横の、砂漠の風紋の上に小さなトカゲの足跡が続いて幾何学模様のようになっていた。フィルムを交換する手が止まった。広大な砂漠に、足元の風景がないのではなく、自分が見ていなかった、気がついていなかっただけだった。砂漠で「Sさん す、すいません自分が無知でした」と心の中でお詫びをした。それ以来ダイナミックな景色、ドラマチックな夕日や朝陽に出会うたびに足元の風景 足元の宇宙を見失わないようにしている。

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by masabike | 2022-11-12 10:00 | 写真展 | Comments(0)
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