FUJIFILM X Series facebookより転載 高原霧雨図

FUJIFILM X Series facebookより転載 高原霧雨図_f0050534_23370482.jpg

【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「高原霧雨図」愛媛県 石鎚山附近
FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF45-100mmF4 R LM OIS WR
今年は短い梅雨とはいえ、まだ雨に油断がならない季節。「雨の景色はつまらないので写真を撮りに行く気になりにくい」、そう思う方も多いはず。しかし、スナップでも風景でも意外と、雨だからこそ撮れるものもある。その一つがモノクロ。晴れに比べてコントラストが弱いので、スナップでも路地裏やビルの谷間でも、柔らかいコントラストや水たまりに映り込む情景などが撮れるはずだ。僕が雨の季節に狙うのは四国の風景だ。雨が多く霧が出やすい四国の山岳地帯。だから毎年この季節は四国に向かう。水墨画のような光景が狙えるからだ。モノクロならではの柔らかさ、特に中間調を大切にするACROSを使えば、現代の墨絵が狙える。




作品は小雨が降る早朝の石鎚山山系。遠景は霧と雨で霞み見えない。そこで近景から中景を狙うことにした。ちょうど森の小道を抜けようとしていたところ、霧が少し薄くなり、立ち枯れの木が現れた。それは自然が創造したオブジェだった。当初は木に近寄り撮影したが、ファーストインプレッションのイメージと異なったので、最初に見た立ち位置まで下がり、もう一度見る。そこではたと気が付き、思い出したのが写真家ユージン・スミス氏の「楽園へのあゆみ」。森の中から小さな子供2人が外に出ていく様子を後ろから狙った写真史に残る名作。それが頭の中をよぎった。森の影で木を覆いフレーミングした。それまで雨の雰囲気を狙う時は、フィルムシミューレションをETERNAにしていたが、ここでより画面のシャドー部を強めて木の存在感を強調し、霧雨の柔らかさを出すために、ACROS + Yeに変更した。ノーマルのACROSではフラットな表現になりすぎて、逆にACROS + Rでは霧雨に濡れる森の柔らかいディテールが損なわれるのでACROS + Yeを選択。そしてシャープネスを-3に設定。どうしてもデジタルのモノクロはフィルムに比べ硬い表現になりやすいので、通常でも-2に設定しているのだが、今回は更に調整して、-3で撮影。また、ETERNAからACROSに変更した際に、WBを「電球」にしている。モノクロームとは言えWBの影響は強い。モノクロ撮影時にWBをAUTOにしている方を見かけることがある。それだとシャドー部の締まり具合等が弱くなる。ぜひモノクロを撮るときは「電球」への設定をおすすめする。そして撮影したのが今回のこの作品。特に1億画素のGFX100Sは画素が多い分、白から黒へのグラデーションが豊かとなり、まるで墨で描いたかのような滑らかな階調が可能となる。そして雨の撮影ではレンズ交換をなるべく減らした方がセンサーへ水滴等の付着を防げるので、僕は必ずズームレンズを使う。この時はGF45-100mmF4 R LM OIS WRが中心。もっと原生林に入り込んで撮る場合は、より引きが欲しいのでGF32-64mmF4 R LM WRを選ぶ。撮影前に自分がどのような距離感を望むか、イメージトレーニングをするとレンズ選択の無駄な動きが少なくなる。



そして、この作品は実は未完成である。なぜならば、モノクロはプリントして初めて完成と昔から言われているからだ。料理で言えばまだ素材を手に入れた段階。これからプリントという、料理で言うところの調理盛り付け作業が待っている。カメラとレンズがプロのクオリティであるならば、プリントにもプロの技を入れて完成としたい。そのためには是非、プロのプリントのお店で仕上げて欲しい。モノクロはプリントで大きく変わる。最高の機材を使うならば最高のプリントにしてほしい。写真はオーディオの世界に似ていると言われている。いくら素晴らしい高いアンプを使っても、スピーカーやオーディオプレーヤーとの組み合わせで手を抜くと、ポテンシャルを発揮できない。写真も同じだ。GFXのモノクロのポテンシャルを生かすためには、ぜひお店でのプリントをおすすめしたい。できれば行きつけのお店やプリントディレクターを作る事。僕もそうしている。写真は奥が深い。写真の楽園へ歩むためには、カメラからプリントまで一つの流れを考えて欲しい。GFXと富士フイルムの映像システムは、みなさんを写真の楽園に導いてくれるはずだ。



Photography by Masaaki Aihara






相原正明と行く タスマニア撮影ツアー はこちらをご覧ください






相原正明撮りおろしのいいちこでおなじみの三和酒類様From OITA 「koji note」 風林光水 大分の光と物語をお見せします


富士フイルムさんのX シリーズフェイスブックで 和の写心(毎週水曜日更新)を連載中。「イイネ」押してくださいね



ブログランキング応援クリックお願いします。応援たくさんしていただけるとたくさん写真がアップされます 笑
下のランキングバナーをクリックしてください。











by masabike | 2022-06-29 23:37 | 日本風景 | Comments(0)
<< タスマニア 原始の森 灼熱の業 >>