老櫻朝霧図 FUJIFILM X Series facebookより転載


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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「老櫻朝霧図」奈良県 大宇陀 又兵衛桜
FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR
砂漠の真ん中で、太陽とコンパスで地図を見ながら僕は自分の進む方向を確かめていた。今から34年前の3月30日、僕はオーストラリア・シンプソンデザートにいた。オーストラリア大陸をバイクで巡って撮影する冒険に出て一週目のことだった。バイクでオーストラリアの大地を駆け抜けて撮影を行おうと考えた時、一番最初にしたことは砂漠の地図を手に入れることだった。これはバイクを手に入れるよりも優先順位が高かった。その理由は自分が進み旅をする方向や環境を確かめないと、それに適応したバイクの機種選びも出来ないからだ。地図はそれぐらい大事で、最優先事項だった。
実は写真を撮る上で「地図」はとても大切。撮影地の選定の重要な情報源になり得るが、今回僕が指している「地図」は少し異なる。その「地図」とは美術史のことだ。当然そこには写真史も含まれる。自分がどの方向を目指して作品を撮るか、過去の美術の中で自分はどのような立ち位置の作品を撮っているのか。そして自分が目指している方角に、過去に自分と同じような作品を撮った人がいないかも大事な要素だ。せっかく撮影して発表しても「それは過去に〇〇さんが撮ったのと同じだよ」と言われては作品にはならない。なので、美術史は作品を撮影する上で大事な「地図」となる。そして僕が目指している日本の風景に関する「地図」上での目標は、松林図屏風に代表される長谷川等伯、あるいは与謝蕪村、現代では東山魁夷の世界観だ。湿度感のある幽玄な世界。いつかその世界に到達したいと思っている。
そして「地図」が手に入ったら、目的地に向かう移動手段が必要だ。砂漠における最強マシンはHONDA XL600という当時パリダカールラリーでも使われていたデザートマシンだったが、写真の世界での最強マシンはGFX100SをはじめとするGFXシリーズだ。高画素のラージフォーマットは、被写体を包み込み、レンズとの間に存在する湿度感を再現できる、唯一無二のカメラだと考えている。フィルムでいえば大判カメラのみ再現できた湿度感、奥行感、消失感がそこにはある。しかも大判カメラ並みの表現力でありながら、小型であり、機動力、超高感度性能も優れている。原稿を書いている今、僕は広告の撮影で、大分で霧に包まれた夜明けの桜を撮っている。光と霧は1秒ごとに変化する。低感度ではシャッタースピードが遅くなり、色と霧の変化に追いつけない。そのような時にはISO感度を800~3200まで使い、変化に追いつくために速いシャッタースピードを選択している。GFXは高感度にとても強く、画質の劣化がとても少ない。そして夜明けの湿度感の再現も申し分がない。
GFX100Sは朝霧に包まれた又兵衛桜の周りの湿度感を、見事に捕獲してくれた。ここは有名撮影地、僕の周りでも、多くの人が撮影をしていた。その中から、自身のカメラのモニターを見ながら「せっかく撮ったのに、なんだか上手く霧が再現できない、レタッチしないと」という声が聞こえてきた。僕は迷わず「このカメラなら、レタッチしなくてもいいですよ!」とGFX100Sを勧めてあげたくなった。見えないようで見える世界、見えているようで見えない世界、そのせめぎあいを再現できる唯一無二のカメラがGFX100Sだと僕は考える。
そういえば砂漠で地図と最強のデザートマシンはどれぐらい役立ったか?人生を変えるぐらい役立ったのは言うまでもない。だからこそ生きて帰り、今は桜を撮影し原稿を書くことができている。地図と最強マシンは人生を変えてくれるアイテムだ。
Photography by Masaaki Aihara



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by masabike | 2022-04-01 07:40 | 日本風景 | Comments(0)
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