「湖水朝霧図」北海道 夕張市 シューパロ湖 FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF45-100mmF4 R LM OIS WR 昔、高校生時代に夕張に撮影に行った。目的は鉄道写真。当時、国鉄の最後のSL(蒸気機関車)運転が夕張線であり、その雄姿を撮影するために訪れていた。SLのディテールと、雄大な北海道の風景を生かすために当時から67版のフィルムカメラを使っていた。高校生には非常に高嶺の花だった。今に例えるなら高校生がGFX100Sを買うような、もしかしたらそれ以上だったかもしれない。購入資金は郵便トラックの助手のバイトをして貯めた。新品の67版は買えなかったので、中古品を購入。新品より確か3割ぐらい安かった。それでも20万円近くした。カメラ店の人に「高校生がどうしてプロ用のカメラ買うの?」と聞かれたので「将来、プロになって写真展をするときにフィルムサイズが大きくないと綺麗にプリントできないから」と答えると「プロの写真家なんてなれないから趣味にしなさい」と笑われた。当時、僕は大人からこのような言葉を何度もかけられていた。でもまずは機材を揃える気持ちがプロになる大切な第1歩だと考えていた。今でもそれは間違っていなかったと確信している。そして大伸ばしでプリントして、どうやって写真展をするか、いつも頭の中でシミュレーションしていた。 この秋、約40年ぶりに夕張の地に立った時、まるで昨日のように撮影していた自分の姿がフラッシュバックしてきた。だがこの朝はそんな感傷に浸っている時間はなかった。湖面を渡る霧が、天駆ける龍のように変化し、立ち枯れの木々とダンスをする。目が離せない状況。そしてこの朝も写真展で大伸ばしするにはどこをポイントとして狙うかを考えた。着目点は画面左の霧から浮かぶ1本の立ち枯れの樹。この樹が霧に隠れそうで隠れず、シルエットとなるタイミングを狙う。とても小さなポイントだが、写真展でメイン作品として2メートルぐらいの巨大プリントにした時、アイキャッチとなるはずだ。大きな風景は大きなプリントにするべし。これが僕の持論だ。 そして大きな風景を使った大きなプリントを作る際は、視点が細部まで行き渡るように撮影することが求められる。以前ある有名美術館が、1点5mクラスの大型絵画展というのを催していた。その時に館長さんから「大きな絵が描ける人は小さな絵も描ける。でも逆は不可能。そして大きな絵は細部までの観察と描写が求められるので、画家の視点と描く体力が試される」と言われた。写真も同じである。 今まで、僕のプリントの最大サイズは、2006年、ドイツのフォトキナの富士フイルムブースでの5mの掛け軸風プリント。それは世界中のお客様の度肝を抜いただろう。そして今、写真展での超大型プリントにおいてGFX100Sは絶対的なアドバンテージを誇る。だが小さいプリントでは駄目なのかというと、その答えはNOである。以前、個展でGFX 50Sの作品を半切サイズにプリントしたことがある。それでも明らかに他のカメラで撮影した作品とは異なる遠近感、空気感を醸し出した。仮に高速道路で100km/hで走行する場合、軽自動車の100km/hと3Lのスポーツカーの同じ速度では、明らかに後者の方が余裕の運転感覚となる。フルパワーを発揮するサーキットでなくても、その差は明確。カメラも同じだ。余裕の画素数は、幅広いダイナミックレンジ、霧や雨などの被写体とレンズの間に漂う空気感、奥行き感の再現に絶大なるポテンシャルを発揮する。GFX100Sを使い始めてから気が付くと、無意識に霧や雨などの空気中のH2Oを感じさせるシーンを狙っていた。日本はその湿潤な気候から、「しずくの国」だと思う。是非とも「しずくの国」を表現できるオンリーワンの存在ともいえるGFX100S、これを使って大型作品の風景写真プリントに挑んでほしい。GFX系の大型プリント作品はクリエイトをはじめとするプロラボが大きな助けになってくれるはずだ。来たるべき2022年、僕はGFX系による大型プリント元年にしたい。 追申:高校時代に67判カメラで撮った写真は、大学生になり全紙でプリントして鉄道グループ写真展を行い、圧倒的なパフォーマンスを発揮してくれた。そのフィルムとプリントを今でも大事に保存しているのは言うまでもない。 Photography by Masaaki Aihara 相原正明撮りおろしのいいちこでおなじみの三和酒類様 koji note From OITA 大分の光と風と水をお見せします 富士フイルムさんのX シリーズフェイスブックで 和の写心(毎週水曜日更新)を連載中。「イイネ」押してくださいね ブログランキング応援クリックお願いします。応援たくさんしていただけるとたくさん写真がアップされます 笑 下のランキングバナーをクリックしてください。
by masabike
| 2021-12-03 10:05
| 日本風景
|
Comments(0)
|
プロフィール
1958年東京都出身。日大法学部新聞学科卒。7年半のサラリーマン生活の後、パリダカールラリーを目指し、そのステップとしてオーストラリアへバイクでの砂漠縦断に行くが、そのままオーストラリアの虜になる。
現在はフリーカメラマンであり、フレンド・オブ・タスマニア(親善大使)としても活動中。 メールはこちらにお願いいたします。 masabikejp@yahoo.co.jp 写真のテクニカル的な質問には、クライアントさんとの関係もありお答えできない場合がございます。ご了承下さい。 ※ サイト内の写真の使用ならびに無断転用を禁じます。 Copyright©MASAAKI AIHARA ![]() ↑ブログランキング参加中。是非クリックして下さい。よろしくお願いします。 ◆相原正明オフィシャルHP New Photography coming Masaaki Aihara Official HP Masaaki Aihara Face book Face book 友達申請の時は必ずコメントお願いいたします。コメントがないと商人いたしまねます。 *相原正明作品収蔵のタスマニアクレイドルマウンテンThe Wilederness GalleryのHP http://wildernessgallery.cart.net.au/cat/2047951.html ◆相原の大型作品が 4点展示されています。 2007.4.27 OPEN モダンオーストラリアン レストラン「Salt」 http://www.pjgroup.jp/salt/ 新丸の内ビル6F (東京駅丸の内北口) ◆ご希望がありましたら、下記『ライフログ』より相原の作品をご購入いただけます。 タスマニアの四季を9万カットの中から厳選した写真集「静かな場所」と、13年間のオーストラリア撮影の総決算DVD写真集「虹大陸」がございます。 ライフログ
カテゴリ
全体 写真展 PENTAX K20D FUJI FILM S5 ワークショップ トークショー 写真集等出版物 イベント 旅 カメラ TOKYO下町 美味しい食べ物 2020 パリ Motor Bike Tokyo City アウトバック タスマニア 花 ドイツモノクロ オーストラリアイベント バックグラウンドストーリー マイガーデン メルボルン 写真アート 日本の風景モノクロ ナッチャンRera クイーンズランド FUJI FINEPIX S100FS ビクトリア州 日本植物 日本風景 広告仕事 ドイツの旅 ハンガリーの旅 大韓民国の旅 鉄道写真 西オーストラリア州 インダストリアルイメージ FIJI GF670 シドニー FUJIFILM S200 フィジー オランダ おのろけ X100 台湾 シベリア マンモス・ユカ 落語 2014ドイツ旅 Ice land 建築土木 ファミリーヒストリー 飛行機 ニュージーランド 2019 パリ ル・コルビュジエ ラッキー Katachi ヤマトタケル koji note From OITA レンズ メディア ジャーナリズム 報道 未分類 以前の記事
2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 お気に入りブログ
じぶん日記 sudigital af... 生きる歓び Plaisi... E-STYLE photo:mode ハッピー・トラベルデイズ from our Dia... オートバイとペンタ君 巣鴨長日~Sugamo ... えいじのフォト徒然日記 【自由ヶ丘】カメラ初心者... 遊牧民的人生 (アラビア... 必撮!勤め人 ukkeylog+ ぼん家の縁側 Magnum Yoda ... travelster 無言歌 ... We"ll Meet A... 心の窓 foto sérénade HEROのアナログな生活 *情熱大陸*ブラジルの写... 写真 from ehim... Photographer... Natural*tone 陽だまりDrops♪ タスマニアで生きる人たち 新丸ビルSALT&W.W... K2photo ワルテルとソーラと小説家 Sportsgraphi... YUTAKAの部屋 PHOTO SESSION +deja+ 春一番 友野正の写真ブログ SJ_SL GS LIFE 光る工場地帯-INDUS... SILVA&ME...s... ankou´s wor... In the town ... one's heart YUHIRO&M DES... りゅう太のあしあと 最新のコメント
最新のトラックバック
その他のジャンル
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||