湖北色彩図

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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「湖北色彩図」北海道 チミケップ湖
FUJIFILM GFX100S + FUJINON GF45-100mmF4 R LM OIS WR
風景写真は撮影地には最低3回、もしくは3日通わないと、思うように撮れないと考えている。歩いたり、車で移動したりしながら見る時間。角度を変えてみてベストを探す(例えば今回の湖のような場合は、湖を右回りで見る景色と左回りで見る景色では異なる)。
チミケップ湖は北海道・北見の近くの小さな湖。日本離れした景観はフィンランドを彷彿とさせる。初めて訪れたのは10年以上前。綺麗だが、自分なりの視点が見つからなかった。そのあと20回近く訪れた。回を重ねるうちに微妙なアングルや、森の中の小さなディテールが見えてきた。派手な景色ではないが、繊細で緻密な景色だ。そして晴れよりも、曇りや雨が降った時にチミケップ湖らしい、自分のイメージが撮れると確信した。





今回の作品は少し明るめの曇り空だ。その分光が柔らかく、落ち着いた紅葉と向き合うことができた。それも何度も同じ場所を訪れて、じっくりと現場と向き合えるからできる作業だ。確かに初めて行った場所でいきなり良い写真が撮れるビギナーズラックもある。だがやはり風景写真は、足が地について撮影をしないと、上辺だけの美しさを撮っただけで、自分の世界観までは昇華できない。だからこそ3回は同じ場所に通うこと。熟知することで、撮る時に余裕も生まれてくる。余裕によって撮影の設定の細部を詰めることができる。実はこの作品、隠し味を忍ばせてある。隠し味だからこそ、一瞬の見た目では分からない。その隠し味とはISO感度。ISO1000に設定している。なぜか?被写体の動体ブレを防ぎつつ被写界深度を稼ぐためだ。理由は手前の木をブレずに表現し、かつ深い被写界深度で画面全体をシャープにしたかったからだ。手前の水の中の木は風で揺れている。ラージフォーマットは細部まで写る反面、被写体の動体ブレもしっかり記録する。それをなるべく防ぎ、且つF13という絞り値で被写界深度を稼ぎたかった。ラージフォーマットは高感度性能が高く、ISO1000ぐらいでは破綻しない。現場でそう考えられるのも、通い慣れて熟知した撮影現場だからこそ生まれる心の余裕からだ。ちなみに今回の北海道ロケの機材は以下だ。



GFX:GFX100S、GFX 50S、GF23mmF4 R LM WR、GF32-64mmF4 R LM WR、GF45-100mmF4 R LM OIS WR、GF120mmF4 R LM OIS WR Macro、GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR 、GF1.4X TC WR
X:X-T4、X-H1、XF16mmF1.4 R WR、XF35mmF1.4 R、XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR、Carl Zeiss Touit 2.8/12、Touit 2.8/50M





GFXとXシリーズの使い分けは、超望遠域、等倍マクロでの撮影、F値の明るい単焦点レンズでの夜景あるいは手持ち撮影をXシリーズに割り振り、しっかり三脚に固定して緻密に撮るシーンをGFXにしている。もちろん移動は家から車で行くことが前提となる。電車や飛行機を使いロケに行くときは下記のような組み合わせでロケに行く。
GFX:GFX100S、GFX 50S、GF23mmF4 R LM WR、GF45-100mmF4 R LM OIS WR、GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR、GF1.4X TC WR
X:X-T4、X-H1、XF16mm、35mm、XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR、Carl Zeiss Touit 2.8/50M
これを1つのバッグに入れて持ち歩く。



しっかりロケハンして、何度も通うことで、心の余裕が良いイメージを生み出してくれる。イメージが頭の中に入れば無駄なく短時間で撮影できる。それを支えるのが充実したレンズシステム。充実のレンズ群は心の思うままに、妥協することなく作品を生み出してくれる。しっかりしたロケハンによる現場の把握と、充実した機材装備と心の余裕が、風景写真では成功の分かれ道となる。これ、相原流のランドスケープフォトの極意なり。
Photography by Masaaki Aihara



相原正明撮りおろしのいいちこでおなじみの三和酒類様 koji note From OITA 大分の光と風と水をお見せします



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by masabike | 2021-11-03 17:10 | 日本風景 | Comments(0)
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