Workと作品

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FUJIFILM X-Pro2+FUJINON XF50mm F2.0

毎回言うようだが、コロナ禍でオーストラリアは鎖国でロケに行けない。でもその分 日本の国内で今まで見過ごしていたエリア 食わず嫌いだったエリア まるで足を踏み入れていないエリアを関東圏中心にロケハンで廻っている。第三者との接触を避けてバイクでお弁当を持って行き 極力 対人接触を減らしている

コロナでなくても、いつか加齢とともに苛酷なアドベンチャー的なロケはできなくなる日が来ることは確実。でも写真はやめたくない、なのでアドベンチャーをリタイアしても撮影出来る、身近な自分だけのロケ地の引き出しを作りためておく目的もある。

どんな職業でもリタイアもしくは最前線から身を引くときは来る。これは自然の摂理。

今回のあちらこちらロケハンで昔 撮影をさせていただいた、とある田舎町にあるレストランの前を通った。だが看板が残っていたが廃業し廃屋になっていた。今回のコロナの影響ではない。もっと以前だ。そのレストランのオーナーシェフの方は、都内のとある有名ホテルの副料理長。超有名店だった

ホテルレストランをリタイアされて、そのシェフの方は、とある田舎町で長年の夢のご自身のレストランを持たれた。味は天下一品。ある広告の企画で料理をお願いして撮影させていただきに、彼が開店したばかりのレストランにうかがった。こじんまりとしているが品の良いお店、奥様とお二人で切り盛りされていた。撮影終了後 作られたフレンチを7~8品 テイクアウトのパックにしていただいた。元副料理長いわく「僕の料理は冷めても、あとからチンすれば美味しく食べられるよ」と言われた。

帰宅後 電子レンジしてチンして食べると、我が家で豪華なフレンチフルコースが食べられて驚いた。当時カメラマン見習いで手取り10万5千円のお給料では、普段もたいしたものを食べていなかったので、あの味は生涯忘れない。彼は味もさることながら作る手際もすごかった。まさにレジェンドだった

その後 フリーランスになり少し生活に余裕ができたとき、1~2回伺った。2000年を過ぎたあたりで、また聞きで彼のお店が倒産してリゾートホテルの住み込みシェフになられたとお聞きし、驚きと残念さで悲しかった。あれほど名シェフなのに…と思った。でも自分もフリーランスのフォトグラファーになり幾度も、社会の大嵐に会った。当然 フリーランスになったときは、バブル崩壊後の失われた10年とも20年とも言われる時期の真っただ中。上手いと言われたフォトグラファーもどんどん消えていく。個展や写真集を出していた人でもどんどん消えていく、中には悲しいかな本当に世の中から命ごと消えていく人もいた。リーマンショックもしかり

自分は運よく生き残れた。
プロフェッショナルと言われるフリーランスの世界、これは写真も料理も すべての創作活動にかかわる事に共通するが、上手な事だけでは生き残れない。写真が上手 絵が上手 音楽な上手 料理が上手それだけでは生き残れない。プラス セルフプロデュース能力 WORKとしての業務遂行能力も求められる。オーナーシェフであればお店の管理や仕入れ さらに支払い請求を円滑にする。マーケティングを考える。フォトグラファーも同じ 好きなカメラだけ買っても駄目、好きなカメラではなく必要なカメラ。名品ではなく戦力 そしてランニングコストや損益分岐点を考えなければならない。特に写真は趣味と仕事のボーダーが難しい。ついつい仕事に関係ないカメラやレンズを買ってしまう。そうするといざ仕事の勝負の時の軍資金と戦力が不足する。このWORKと作品造りや創作活動のバランスの良い両立が難しい

とくに自分もそうだが、創作系の仕事をする人の多くは事務的な事 マネージメント的なことが苦手な人が多い
なので経営や事務的なことは、その道にたけているパートナーを見つけるのが良いのだろうと考える

そしてライバルや新人さんたちは毎年生まれてくる。上手いと言われた プロみたいだからと言われた、コンテストに入賞したから、それだけでプロフェッショナルの世界に入るにはとてもハイリスク。料理の世界を見てつくづく感じた。フリーランスあるいは自営でするには、上手なのは当たり前それにいかにセルフマネージメント&プロデュース力があるかだ。写真が上手これは仕事をする上での最低のスタートライン

フリーランスあるいは自営業は、スポーツでいえば選手兼監督業。名選手でも名監督の素質が無ければチームは生き残れない。

バックミラーで小さくなる廃屋と化したレストラン。もう一度どこかであのフレンチを食べてみたい。どこかで元気で寸胴のスープ味見をしていてほしい。


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by masabike | 2021-06-14 00:02 | 写真アート | Comments(0)
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