早春湖水図 FUJIFILM X Series facebookより転載



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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「早春湖水図」山形県飯豊町付近
FUJIFILM GFX100S+FUJINON GF45-100mmF4 R LM OIS WR


東京を夕方に出て途中車中泊で仮眠して夜明け前、4時頃に現地に着いた。当初違う場所で違う被写体を撮る予定だったが、天気予報等でもしかしたら朝もやが出るかもしれないと直感し、この地に急遽変更して訪れた。読みは見事に当たり、程良い朝霧。レンズと被写体の間にある空気感まで写し撮るGFX100Sには最適の条件だった。
多くの人は、暗い夜中のうちに訪れた見知らぬ土地で撮影ポジションが解るのか、あるいはその気象条件の予感はどこから来るのか?と疑問に思うはずだ。答えはバイクツーリング。今のような社会状況になる前には、日本中を隈なくバイクでロケハンも兼ねたツーリングに出かけた。特に国道よりも県道、農道、林道など狭路を好んで走り込み、旅をした。ロケハンの相棒はBMW1150GS。ドイツが世界に誇る究極の旅バイク。パリダカールラリーで鍛えられた水平2気筒空冷エンジンのマシン。タフで高速の移動が素晴らしく快適で、青森って東京からこんなに近いのと思わせてくれるほど。そして視点の高いポジションと低速での安定性は、撮影のロケハンには最適。四輪では路肩の草むらに邪魔されて見えない場所もよく見つけられるし、狭く終点がどうなるかわからない見知らぬ山道では、バイクは心強い味方。もう20年間15万キロ、撮影の友としている。でも排気量1150ccとは、なんか中途半端と思わないですか?実はこの前に1100ccのモデルがあった。買う時に1100ccと1150cc、どちらにするか迷った。たかが50ccの差だが値段はだいぶ違う。試乗した。50ccの差はまるで別次元の世界だった。加速のみならず、コーナリングの旋回速度から脱出速度。そしてわずかな排気量の違いは重心も変わるので、自分のライディングフォームも排気量に合わせて修正する必要がある。話は逸れて長くなったが、わずか50cc、1割にも満たない排気量の差がマシンを大きく変える。


 実はこれは写真におけるカメラも同じである。ラージフォーマットのGFXシリーズ。特にGFX100系。フルサイズに比べて、たったの1.7倍の面積増加。倍の面積じゃないから画質も大して変わらない、あるいはフルサイズでも6千万画素のカメラもあるので不要だと唱える人もいる。それは大きな間違いだ。わずか50ccの差で異なる世界観が起こるならば、同じ工業製品でもあるカメラにおいて1.7倍もある面積比で、表現に革命的な変化が起きるのは当然。しかもそれは数字には出てこない。マイクロフォーサーズとAPS-C、APS-Cとフルサイズ。アウトプットで見たときの絵造りは見分けがつきにくい。僕らでも100%どのセンサーサイズか当てにくい場合もある。だがラージフォーマットになった時、その差は一目瞭然。2Lサイズのプリントでも、スマホの画面でもその差は歴然だ。僕はしばしばコンテストの審査員もする。審査のプリントは6つ切りが多い。星の数ほどのプリントの中から、なぜかラージフォーマットで撮影したプリントは、まるで自分を選んでくれと言うがごとく浮かび上がり、目に付く。



センサー面積、あるいはフィルムでも、ある面積を超えると2次曲線的に表現力が激変する。なぜそうなるかはいまだに多くの写真関係者に聞いても謎。ただ1つ、面積の大きさが表現力に大きく寄与することだけは間違いない。先月僕はある写真展のコンペに参加しプレゼンテーションをした。かなり難関の審査だ。プレゼンで差別化して目に止まるために、メインビジュアルはラージフォーマットにした。わずか2~3分の中で審査をする選者の目に確実に止まるためだ。
もし皆さんがコンテストで入選したい、コンペを取りたい。そう思うならば、特に風景写真では圧倒的にラージフォーマットがおすすめ。やれるべき手段は全て試す。GFX100Sを手に被写体と向き合ったとき、写真展の成功が確実なものになる事を実感するはずだ。



オーストラリアの砂漠で1150GSに乗ったドイツ人ライダーとキャンプした。彼は「マサ、わかるかい、前のモデルからたった50ccの排気量の差で、砂丘が簡単に乗り越えられるようになったぜ、たった50ccだよ」僅かな違いが砂漠でスタックするか、乗り越えられるのか、運命の分かれ道。だからGFXの1.7倍のセンサー面積があれば、あなたの撮影の障害となる写真の砂丘を乗り越えられるに違いない。


ちなみにマシンはこれです

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北海道 網走 北浜にて
PENTAX OptioW10




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by masabike | 2021-04-25 07:58 | 日本風景 | Comments(0)
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