細雪 FUJIFILM X Series fbより

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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「細雪」
FUJIFILM X-T2 + FUJINON XF16-55mmF2.8 R LM WR 
ACROS + Yeフィルター WB:電球


粉雪がちらつく雪国の街。空が重い。でもその分光は柔らかいのでモノクロームに向いている。ちょうど散歩して撮影していると、重厚な石垣をバックに明るい色の傘をさした女性が通った。
降る雪の感じを出すためにACROS + Yeフィルターで撮影した。実はXシリーズが出てからモノクロ撮影の比率が飛躍的にUPした。特に2016年、ACROSモードがXシリーズに搭載されてから、撮影の半分がモノクローム。写真展に関していえば6割がモノクロ作品になった。



ではX以前はモノクロを撮っていなかったかと言うとノンである。学生時代は99%モノクロ。当時はすべてフィルム。カラーフィルムは高かったのと、モノクロは撮影の基本だった。そして90年代Velviaの登場で、オーストラリア作品の8割はVelviaになった。ただ実はネオパンSSあるいはACROSで作品も撮りたかった。だが最大8台のカメラ、30本近いレンズ、ポジフィルムを800~1000本持って海外ロケに行くと航空荷物の重量制限ぎりぎりだったので、モノクロは35mmのみ10~20本。カメラもそれ用に35mmフィルムカメラを1台のみ。町でのスナップ用だった。



だが2011年、X100が登場。僕が真っ先に撮ったのが冬の津軽鉄道。モノクロで撮った。フィルムシミュレーションは今までのデジタルカメラのモノクロとは違い、柔らかいトーンのモノクロだった。スイッチ一つでカラーとモノクロが選べる。今まで我慢していたモノクロの撮影が思う存分にできるようになった。
そして2016年。ACROSモードが搭載されてから、さらにモノクロでの撮影比率が高まった。特に桂花團治師匠(当時:桂蝶六師匠)をはじめとする上方落語家の演者様の撮影ではACROSでの撮影が大いに役立ってくれた。


よくワークショップでもっと写真が上手になりたいとご質問をいただく。答えは1つ。しっかりモノクロで写真を撮ること。世界の写真学校は今でも、基本はモノクロ。しかもフィルムで教えている。それは光と影をしっかり見て、自分の世界観を造り上げるため。写真の壁を感じられている方、是非、XシリーズのACROSモードで1年、あるいは3ヶ月でもよいのでモノクロをしっかり撮ってみて欲しい。特にネイチャーの方。ネイチャー=カラーと言う図式から脱却して欲しい。アンセル・アダムス氏もマイケル・ケンナ氏もモノクロ。僕もこの数年「美しい日本の風景写真100人展」にはモノクロ作品で出している。


モノクロ撮影で僕が大事にしているポイントが3つある。1つは最初からモノクロモードで撮る事。実はカラーとモノクロとでは適正露出が異なる。許す限りモノクロは最初からモノクロモードで撮る事。見える光も露出やトーンも違って見えるはずだ。2つ目はWBを電球モードにすること。モノクロとはいえカメラのWB機能は動いている。色温度を低くすることでシャドー部が変わり、よりフィルムらしい階調になるような気がする。最後にもう1つ、カメラのモノクロフィルターモードをYe(黄色)もしくはR(赤)にすること、これでコントラストのメリハリが効いてくる、あるいはより深いトーンが出てくる。また人物の場合はGフィルター(緑)の選択が必要だ。
裏技だが僕はXシリーズのACROSモードを使い、フィルムのACROSでの風景や建築の撮影の際の試し撮りをしている。感性が見えにくいモノクロフィルムでの撮影、これによりフィルムでも無駄なく効率的に撮影出来る。X100が誕生して10年。熟成してきたモノクロモードを使い、みなさんがより素晴らしい光と影に出会えることを期待する。すべての写真の基本と終着点はモノクロだと僕は感じる。
Photography by Masaaki Aihara



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by masabike | 2021-02-17 17:22 | 日本風景 | Comments(0)
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