月光渚図

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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「月光渚図」
FUJIFILM GFX 50S + FUJINON GF45-100mmF4 R LM OIS WR ISO6400
夜の闇の深さを表現するにはどうするか?
写真展の時によくお客様からいただくご質問です。やはりフィルム時代の話ですが、僕が写真を始めたきっかけは鉄道です。今でいうところの撮り鉄です。最初は現役最後のSL(蒸気機関車)を撮っていました。SLが無くなってからは、ローカル線の鉄道、日本の風景の中の鉄道、あるいは駅の情景を撮影していました。よく高校時代から大学時代に通っていたのが、福島県の日中線、熱塩駅でした(現在は廃線)。畑の中にポツンとある駅で、秋には周りをススキに囲まれる、それこそ絵になる駅でした。秋の夜、スキの原にポツンと立つ駅舎とたたずむ鈍行列車を撮ったのですが、夜の闇が眼で見たときのように深く表現できませんでした。深い闇にポツンと駅舎があるわびさび感が表現できませんでした。その時は35mm判カメラで撮影しました。次に撮影に行ったときは、買ったばかりの中古の67判カメラを持っていきました。フィルムは当時の定番のネオパンSS(1970年代、ACROSはありませんでした 笑)。
現像してプリントすると、なんと闇の奥深さ、孤高のようにたたずむ駅と客車が写っていました。そう、闇の深さを表現するにはフィルムサイズ、デジタルならばセンサーサイズがものを言います。ここで間違わないでいただきたいのが、画素数ではなくセンサーサイズです。
でも大きく引き伸ばさないから、ラージフォーマットは必要ないのでは?そう思う方も多いはず。3年前に富士フォトギャラリーで開催した「夜鉄」展。作品はすべて夜の鉄道です。50点ほどの作品の中に2点だけGFX 50Sの作品が混じっていました。2Lサイズのテストプリントをチェックしたときに、明らかに他の作品の中からGFX 50Sの2点が浮かび上がってきました。その理由は、夜の闇の深さ。奥行感でした。小さなサイズのプリントでもその奥行感の差は明確でした。デジタルになってもセンサーサイズの大きさは大きく闇の表現に影響することが証明されました。そしてラージフォーマットは、高感度にも強いです。今回の作品も、渚の波をなるべく、ブラさずに撮りたかったのでISO6400までUPしています。ISO6400でありながら滑らかな階調が表現できています。
そして先週FUJIFILM GFX100Sが発表されました。より機動性のある1億画素超えのラージフォーマットです。僕もGFX100Sを導入する予定です。目的はより深い夜の世界の表現です。地球のポートレートをコンセプトにした撮影と、夜鉄の撮影には、闇の世界の表現がとても大切です。自分の作品の到達点を精進して、高めれば高めるほど、ラージフォーマットが必要になってきます。そしてプリントすると、その奥行感はより濃厚になります。ぜひ次回写真展を開催する時、みなさんにお見せしたいです。その時までお待ちください。お楽しみに!!漆黒の世界をお見せします。
Photography by Masaaki Aihara



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おだてられるとたくさん撮ります 笑

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by masabike | 2021-02-03 18:11 | 日本風景 | Comments(0)
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