katachiの始まり

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Carl Zeiss Otus 55mm/1.4+Nikon D800E WB/タングステン ISO100


Katachiと言うコンセプトの撮影を思いついたのは2014年。ドイツ Carl Zeiss社よりotus55mm/F1.4と言うレンズが発売され、それを手に入れたときだ。デジタルカメラ時代になりズームレンズ全盛となり、単焦点レンズ 特に標準レンズはその存在の影が薄くなりつつある時だった。高性能ズームがあれば単焦点 標準レンズはもういらないとさえ言われ始めていた。なんとなくカメラを買ったらセットでついてくる、あるいはレンズのことがわからないからとりあえず当たり障りなく買っておこう。そしてズームレンズを買ったら、だんだんカメラバックの隅に追いやられあまり使われないレンズのイメージが固まっていたころだった。

いまも世界の写真学校では、今でも最初の1~2年は50mmの標準レンズしか撮影では使ってはダメ。さらにモノクロームで撮る。学校によっては画像処理のできないフィルムで撮らなければならないというタスクを生徒に課している。それぐらい実は標準レンズは大切 撮影の基本となることをすべてフォトグラファーに教え、頭の中に映像の基本を造り上げてくれる

そこに一石を投じたのがcarl Zeiss社のOtusシリーズの第1段 標準レンズの55mmだった。外観の大きさも重さも中望遠の135mm~200mm胃のサイズ。しかもオートフォーカスではなく手でピントを合わせるマニュアルフォーカス。さらにピントの合う幅が、針の先ぐらいシビアだった。ピントが合ったポイントは、フォトグラファーがここを主眼にして、この作品を撮りたかったと訴えてくる絵が撮れる。だから撮り手にも何を訴求したいかが明確に問われる。なんとなく撮れてしまった、シャッター押したら写ってしまった適菜、緩い撮り方は受け付けないレンズだった。

だからこそ光学機器メーカーの老舗ツァイス社はマーケテイングに頼らないレンズ、妥協なきレンズ、最高の光を捕まえカメラ本体に光を届けるレンズを造り上げた。carl Zeiss社に行くと、会社の入り口に「世界最高のものしかCarl Zeissと呼ばない」と掲げてある。優等生なレンズではなく、世界最高の妥協なきOnly Oneの世界観のレンズ。世界のフォトグラファーは驚きあこがれの的のレンズ。そしてもちろんお値段も妥協が無かった。Otusはフォトグラファーに使えるものなら使ってみろと挑戦してくるレンズだった。 だからこそ、使いこなせたとき心の中に見えた映像が撮れるレンズだった。

丁度そのころ1995年にフリーランスのフォトグラファーになった僕は、フォトグラファー生活20周年を迎えようとしていた。20周年にむけての作品作りを考えていた。。そこで出した答えが原点回帰。標準レンズでモノクロームで奇をてらわない構図で、縦位置を基本として物のフォルムをしっかりとらえる(縦位置と下の田、横位置構図に比べて、より主観性が強く表現されるから)そのシリーズで作品を撮ろうと決めた。ベースとしての心の中のイメージに合ったのはドイツ 現代アートの写真作品 ベッヒャー夫妻によるタイポグラフィーだった。曇りの日の印影がないライティングで、建造物をニュートラルな視点でとらまえていく。そのイメージも手伝った

逆にOtusシリーズが生まれなければkatachi作品はなかったといっても過言ではない。そんな筆を選んだ作品群が今回の写真展 katachiです。その後各社から高性能標準レンズがどんどん出てきました。今回も標準レンズ並びに標準レンズ域の焦点距離で撮影した作品ばかりです。プリントをするとき、プリントの匠を選ぶように、カメラに光を取り込む時、光の受付窓口となるレンズを選ぶのも大切なことです。

この記事の作品はotusを手に入れたころ最初に撮った作品。ピントを合わせるコケの位置を何度も何度も、トライアンドエラーして撮影した。それぐらい、この木のどこを自分は見て作品にしたいのだろうかと、自問自答しながら撮影した。想い出の1枚。まずは撮るときの視点から始まった

Katachi 写真展 光の入り口のレンズも、出口プリントも吟味した作品展です。その光の熟成には多くの手間がかかりますのでどうぞ皆様のクラウドファンディングへのご支援お願いいたします



相原正明写真展 katachi クラウドファンディングの詳細はこちらをご覧ください

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おだてられるとたくさん撮ります 笑

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by masabike | 2020-12-26 12:44 | 写真展 | Comments(0)
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