霜細工 FUJIFILM X Series facebookより


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【和の「写心」By Masaaki Aihara】
「霜細工」長野県 乗鞍高原
FUJIFILM GFX 50S + FUJINON GF120mmF4 R LM OIS WR Macro
夜中の高原。初冬の寒さが足元から這い上がる。でも最近は防寒下着等の保温の効果が高くなり、昔より楽に長時間の撮影ができるようになった。カメラの超高感度性能が上がり深夜も撮れるのにあわせて、こういった撮影をサポートするグッズの進化はとてもありがたい。高校生のとき、真冬の北海道にSLの撮影に行った1970年代は、普通に買える防寒着と言ったらたいしたものがなく、当然ダウンやゴアテックスは存在しないか手に入らない高嶺の花。スキーウェアで撮影に行った。マイナス30度。当時、石北本線の常紋信号所と言うところでSLを撮ったが、あまりの寒さで駅弁が冷凍食品になり、寒すぎて手が震えてフィルムをカメラに装填するのに10分近くかかった。しかもそのあと寒さでフィルムが割れてしまった。宿に戻り温泉に入るが、お湯が冷たいのか熱いのかもわからないぐらい皮膚の感覚がマヒしていた。そんな冬の撮影からすると今の撮影は天国のようだ。
でも当時のシーンで今でも覚えているが、SLを待っている間 足元の植物が凍りつき、氷細工のようになり美しいと思ったが、SL撮影では機材も撮り鉄向けなので、マクロレンズなるものは持っていなかった。それが今でも悔やまれる。
話を戻そう。夜中から黎明そして朝日が射すまではGFX 50SにGF32-64mmもしくはGF23mmで撮影していた。足元の風景から遠景まで。時には天の川を入れ、時には凍りつき白く不気味に光る水辺を入れながら広い構図で乗鞍岳を狙った。ISO6400でも高精細な絵がとれるのはラージフォーマットの威力だった。GFX 50Sは夜中から朝までフォトグラファーに休み時間を与えない。大きな朝のドラマがクライマックスを過ぎたころ、レンズを取り替えた。今度はGF120mmMacro。理由は明るくなり、凍りついた足元の草むらがキラキラ輝きだしたからだ。朝日が射すまでの数10分の勝負だ。緻密な凍りついた葉の幾何学模様がラージフォーマットならではの再現力で息をのむ。陽が昇ったら夢のように氷は消えてしまう。時間と追いかけっこの撮影。今回の作品は ISO100で撮影したがラージフォーマットになると屋外は微風とかで、肉眼ではわからない動体ブレがばれてしまうことがある。そのために予備カットでISO800あるいは1000で早いシャッターでの撮影カットも抑えておく。GFXシリーズでは全然問題のない感度だ。
自分の撮影の流れとしては、大きな風景を足元からしっかり広角あるいは超広角で撮影し、その山場が過ぎたらMacroで足元の風景、あるいはX-H1+XF56mmかXF35mmF1.4でボケ味のある風景を狙うことが多い。レンズ交換式のカメラはやはりシステムをいかに生かすかが撮影のキーポイントとなる。特にワーキングディスタンスに制約がある風景写真ではレンズシステムが要だ。でもいきなり全部は揃えられないよと言う方は多いと思う。相原イチ押しはGF32-64mmズームと、GF120mmMacroの組み合わせ。いずれもGFXならではの高精細な表現が一番際立つレンズ域だと思う。広角では足元から遠景までの精密描写、Macroでは小さな被写体の精密描写が生きてくる。そしてGF32-64mmのテレ側のおおよそ2倍の焦点距離がGF120mmMacroになる。Macroとはいえ中望遠レンズとしてポートレートの撮影にも活躍できるレンズだ。ぜひ自分に合ったレンズシステムで高精細のラージフォーマットの力を発揮させてほしい。あと僕が冬の撮影で備えているグッズをいくつか挙げておくので参考にしてほしい
1)蛍光カラーのベスト:雪の中、あるいは暗い冬景色の中では目立つ方が、交通事故あるいは雪で埋まったときに第三者に見つけてもらいやすい。僕はオーストラリアの道路工事の人が着るベストを着用。
2)頭から首まで覆うネックウォーマー:首筋から逃げる熱を逃がさないと、かなり体感温度が温かく感じる。
3)シャベル:車が埋まったときのため。
4)チョコレート:寒い時はカロリーを消費するので体力維持。
5)車のジャンプスターター:寒い時、田舎道で突然のバッテリー上がり。特に車中泊で朝起きたら室内灯がついていてバッテリーが上がりエンジンがスタートできない時になどにおすすめ。1万円前後で買える。
6)スノーシュー:意外と道路から1歩踏み出すと、腰まで雪に埋まってしまう。そんな時に重宝する。
以上です。安全な装備としっかりしたレンズシステムは現場できっと撮影に集中できるはず。カメラ&レンズ&ロジスティクス、この3つのコンビネーションが冬の撮影ではよい作品を生んでくれる。あとはGood Luck!!
12月18日~12月24日まで富士フイルムフォトサロン名古屋で写真展を開催します。
富士フイルムフォトサロン企画展 相原正明 写真展 「2つのアクロスの世界」
会期   :12月18日(金)~12月24日(木)
開館時間 :10:00~18:00(最終日14:00)
会場情報 :〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄一丁目12番17号
富士フイルム名古屋ビル1階
TEL 052-204-0830
XシリーズではX-Pro3、X-T3、X-H1を使いACROSモードでパリの街のスナップを撮影しました。銀塩フィルムのACROSⅡと2つの表現の世界をお楽しみいただけます。
12月18日、19日の2日間、相原はサロンに在廊予定です。皆様のご来場お待ち申し上げております。


相原正明 クラウドファンディングの詳細はこちらをご覧ください

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おだてられるとたくさん撮ります 笑

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by masabike | 2020-12-17 06:49 | 日本植物 | Comments(0)
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