FUJIFILM X Series FBより高原朝霧図

【和の「写心」By Masaaki Aihara】

「高原朝霧図」長野県　霧ヶ峰付近
FUJIFILM GFX 50S + FUJINON GF45-100mmF4 R LM OIS WR
フィルムシミュレーション：ASTIA/ソフト

皆さんは「マーフィーの法則」をご存じでしょうか？　「起こる可能性のあることは、いつか実際に起こる」が基本精神の法則で、写真で例えるならば、すごく良い光や色や現象、被写体の動きが、ちょうどその画角のレンズがないタイミング、あるいは今、カメラに付いているレンズではカバーできない場所で、素晴らしいシャッターチャンスが起きること。僕もよくあります。
ちょうどGF32-64mmのズームで狙っていたら、ちょっと遠景で良い雲が出た。でも遠かったのでGF100-200mmに取り換えた。すると近すぎて後ろに下がる必要がある。そうこうしているうちに光が変わり、雲の形も変わり、大事なシャッターチャンスを撮り逃した、というようなことが何度かある。あるいは、妥協してトリミングしてごまかしたこともある（汗）その都度「これで世界的名作が生まれるチャンスを失った」と嘆いたこともある（笑）個人的には、風景でGFXを使う場合23～50mmあたりと80～120mmあたりが一番使う範囲。ただ、80～120mmに関しては丁度レンズの画角の狭間のためかなり困り、時にはシャッターチャンス優先でXシリーズのXF16-80mmもしくはXF56mmで対応したこともあった。今回の作品は朝霧が秒刻みで変化する霧ヶ峰の高原。まさに生き物のように霧が動く。そんな時のレンズ交換はシャッターチャンスを失うことになる。今回はGFX 50SにGF45-100mmを装着し、もう１台のGFX 50RにGF100-200mmを装着した。このおかげで気持ち的にも物理的にも画角の死角がなく、自分の求める世界がすべてカバーでき、ファインダーを覗いて撮ることに集中できた。撮影のリズムが乱れない。水が山の上から大海に注ぐがごとく、リズミカルに自然な流れで撮影ができた。GF45-100mmは通常の撮影で最も欲するところをほぼカバーしてくれる。レンズ交換式のカメラの一番の強みはシステムを揃えた時、なめらかなワークフローが形成されること。それによって撮影に集中できる。

ただ、トレッキング、あるいは海外ロケの場合、手持ちの機材を全部は持っていけないこともある｡通常僕の場合は、GFX 50S & 50Rのボディ２台、GF23mm、GF32-64mm、GF45-100mm、GF100-200mm、1.4Xテレコン、それに超望遠やマクロ。さらに星景撮影対応でX-H1 + XF16mm1.4、XF100-400mm、Zeiss Touit50Mを１つのバッグに詰めて持って行く。もしタスマニアの森や山岳地帯シーンの撮影であればGFX２台、GF23mm、GF45-100mm、GF100-200mm、X-H1、Touit50M。そしてオーストラリアの荒野や砂漠地帯の撮影で広角寄りのバリエーションが要求されれば、GF23mm、GF32-64mm、GF100-200mm、X-H１ & XF16mmをチョイスするだろう。手振れ補正も内蔵したGF45-100mmは特に、高さと奥行きがある日本の風景にはなくてはならない存在でもある。もうGFXで撮影に行くときは「マーフィーの法則」は考えない。法則があるとするならば、それはあなたの心の迷い。GFXの類稀な画質と操作性、システムの完成度があなたの心の中の迷いを追い払ってくれるはず。自分の心とカメラを信じること。それが最高の作品への近道であり、確かな道でもある。

　

Photography by Masaaki Aihara

ただいま金沢で2つのアクロスの世界展　個展開催中

開催期間　2020年９月１０日～９月１９日

会場　ギャラリーかなざわ　㈱フジカラー北陸様　内に併設

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おだてられるとたくさん撮ります　笑

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