FUJIFILM X Series facebookより 南洋夕景図 By FUJIFILM GFX100



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【和の「写心」By Masaaki Aihara】

「南洋夕景図」 沖縄県 宮古島(2019年11月撮影)
FUJIFILM GFX100 + FUJINON GF32-64mmF4 R LM WR

フィルム時代、風景のメインは中判の645、あるいは67判だった。35mmはどちらかというと、マクロや超望遠、超広角など、中判だとレンズの画角が無いもの、あるいは機動性を重視したシーンで使っていた。
デジタルになり、2011年のX100の登場でフィルム時代と同じ色彩やトーンで使えるデジタル機材が見つかり、とても満足していた。場合によってはフィルムでは不可能だった、VelviaやASTIAの色でのISO1600やISO3200などの映像表現が可能になった。特に電子シャッターを使用した落語の高座などでの無音撮影では、ACROSでのISO3200やISO6400、あるいはISO10000など、フィルムでは到底不可能な領域で新たな作品の世界を広げる事が出来た。
だが1つだけ、疑問に感じる、やや満足感に欠ける部分が残った。風景や建築物の撮影において、やはりフィルムの中判と比べて立体感や奥行き感が、やや足りない。
フィルムで撮ったポジをルーペで覗くと、まるで3Dの如く見える。あるデジタル映像技術者にフィルムのVelvia50で撮影したオーストラリアの荒野の写真の原版をライトボックスに乗せ、ルーペで見てもらった。撮影は645サイズで超広角だった。その技術者は今までポジフィルムの原板を見たことがなかった。ルーペから目を離した彼が開口一番、「これは3Dではないですよね?」「フィルムの世界にデジタルは追いつけないかもしれない…」そう呟いていた。3年前の話だ。すでに世の中には5000万画素近い画質のカメラも存在していた。だが、それでも中判フィルムの持つ世界には近づいていなかった。フィルムでも35mmと中判では世界観はまるで異なる。中判フィルムになると奥行きと存在感が増し、別世界。バイクで言うならば便利なスクーターと大陸横断の旅に出られそうな1000ccの大型バイク、それぐらい異なる世界だ。
大判フィルムの世界になると、プリントから物が浮き上がり、そこに実在して触れる事が出来るのではと錯覚するほど。それはアービング・ペンの名作、タバコの吸殻の作品でも証明されている。あれは、全て大判カメラで撮影した作品群。いきなり日常の物を作品に昇華させてしまう。指でつまめそうな吸い殻。それはラージフォーマットの魅力で、魔力でもある。
2019年、ぼくは宮古島へ旅した。青い海と砕け散る波の写真が撮りたかった。選んだのが1億画素のラージフォーマットセンサーを搭載したGFX100。どうしても波の飛沫の質感が欲しかった。ルーペで覗いたら、自分に目掛けて飛沫が飛んでくるのではないか?波打ち際の気泡に触ったらはじけてしまうのではないか?大海原が赤道まで続いているのではないか?そう感じるような質感が欲しかった。
帰宅後GFX100で撮影した画像を家にある55インチの4Kテレビで再現して見た時、家内と思わず、「あっ!!波が来て濡れる!」と叫んでしまった。それぐらいの質感と奥行きだった。いくら画素だけが上がってもこの世界は得られない。ある程度の光を受けるセンサー面積の大きさや、フィルムならばフィルムのサイズ。ある大きさを超えると、なぜか奥行感とリアリティーは飛躍的に増大する。まさに映像のマジック。フィルム時代からこの映像のマジックと取り組んできたのが富士フイルム。だからこそ成し遂げられる再現性と感じた。数字だけの画素数にこだわる時代は終わった。

ラージフォーマットだけが生み出す世界。数字だけの画質は過去のものになる。ラージフォーマットのGFX100、50R、50Sが映像のゲームチェンジャーになると感じた。

※社会状況を考えての撮影活動をお願いいたします。とくに離島や山間部ではご配慮を。

8月14日(金)~8月20日(木)まで富士フイルムフォトサロン大阪で相原正明写真展 「和美・KATACHI(わび・かたち)」-ネオパン100 ACROSⅡで撮る日本の美- を開催いたします。会場では新作フィルム、NEOPAN100 ACROSⅡで撮影した日本の風景と建築物、そしてXシリーズで撮影したパリ、2つのACROSの世界をお楽しみいただけます。初日の8月14日(金)のみ相原在廊予定です。社会情勢等で在廊予定は変更になる場合がございます。予めご了承ください。
https://www.fujifilm.co.jp/photosalon/osaka/20081402.html

 


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おだてられるとたくさん撮ります 笑

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by masabike | 2020-08-05 19:32 | 日本風景 | Comments(0)
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