「盛りのあと」FUJIFILM X Series facebookより転載

「盛りのあと」FUJIFILM X Series facebookより転載_f0050534_07270311.jpg


【和の「写心」By Masaaki Aihara】

「盛りのあと」
FUJIFILM X-T2 + Carl Zeiss Touit 2.8/50M

今年は梅雨が長引き、雨が多い。各地で豪雨災害にあわれた皆様には、心からお見舞い申し上げます。そして1日も早い復旧を切に願います。

初夏になると、蓮の花の便りが全国から聞こえてくる。実はオーストラリア北部には、蓮の群生があり、よく撮影していた。ただ、蓮の撮影は半分命がけ。なぜなら蓮の花が咲く湿地帯はクロコダイル(イリエワニ)の住処だからだ。時には人を襲うこともある。ワニは水面から垂直に2メートル近くジャンプし、且つ水辺で寝ていても、15メートルくらいまでのダッシュは人間よりはるかに素早い。だから、ワニの姿が見えないからと安心していると襲われる。以前、オーストラリア北部の湿地帯でボートをチャターして水辺の撮影をしていた。綺麗な蓮があったので、船べりから身を乗り出して撮影していると、同乗していたレンジャーが慌てて走り寄り、僕の首根っこを引っ張り船内に引き戻した。彼に「ワニはいきなり水中から飛びかかる。2メールぐらいジャンプして襲い掛かる。そしたら君は助からない」そう忠告された。

なぜ蓮の花が咲くところにワニが多いのか?それは食物連鎖の法則。花が咲くと虫が集まる。何匹かが水面に落ちたり、水面近くを飛ぶと、小魚に捕捉されて食べられる。今度はその小魚を狙って大型の魚が集まり、大型の魚を狙ってワニが集まる。実は一度だけ、小魚が虫を捕らえた瞬間にバラマンディというハイギョに食われて、さらにその瞬間に後ろから来たクロコダイルに食われるという、まるで映画かマンガのような一瞬をアシスタントと目撃したことがあり、水辺には絶対近づかないと誓い合ったことがある。もちろん、日本では、ワニの心配もないので、安心して心ゆくまで蓮の撮影ができる(笑)。蓮は蕾から4日間咲いて、その後散ると聞いたことがある。この朝も盛りを過ぎて散った花弁が、朝露に濡れて蓮の葉の上に鎮座していた。なんだかお釈迦様の手のひらに拾われた花びらのようだった。水滴のしずる感を出し、且つ葉の緑の瑞々しさ、そして花びらに残った赤も表現したかったので、ASTIAモードにしてColor(彩度)を+2にした。僕はしっとりとした赤、そして緑を表現する時にはASTIAにしてColorで微調整をする。これは撮りながらEVFでしっかり確認する。Velviaにすると、赤が強くなりすぎてしっとり感がなくなるのと、緑が主張しすぎて花の赤と競ってしまう。いかに自分の好みのフィルムシミュレーションを見つけて、さらにそこから微調整するか?これを現場で行うと、ほぼ画像処理なくJPEG撮って出しで仕事、あるいは写真展で使える。もちろんコンテストの応募もそうだ。僕は撮影現場に応じてカスタム設定を行う。花の撮影では基本ASTIAにして彩度調整で2パターン、Velviaで2パターン。それとクラシッククロームで1パターン。また落語撮影の場合だとACROSモードのフィルターの選択で3パターン、ASTIAで2パターンを作り設定しておく。撮影現場に行く前にどれだけ準備するか、それで撮影はほぼ決まる。ちなみにクロコダイルがいる湿地での撮影はフィルム時代でしたが、VelviaとRDPⅡのフィルムを800本。カメラは6台、レンズ30本。大変な時代だった。なので、蓮を見るたびにクロコダイルを思い出す(笑)

8月14日(金)~8月20日(木)まで富士フイルムフォトサロン大阪で相原正明写真展 「和美・KATACHI(わび・かたち)」-ネオパン100 ACROSⅡで撮る日本の美- を開催いたします。会場には新作フィルム、NEOPAN100 ACROSⅡで撮影した日本の風景と建築物を展示いたします。あわせてX-Pro3、X-T3、X- H1のACROSモードで撮影したパリのモノクロ作品も展示予定です。デジタルとフィルム、2つのACROSの世界をご堪能ください。


できれば下の「人気ブログランキング」をポチしてください
ランクキングのポイントが上がります
別に課金されたり、何か請求が来たり エキサイトから広告が来たりするわけではありません。単に僕のサイトに何人来たかのポイントがランキングに加算されるだけです
ご安心を。ポチしても僕がお家や職場にお伺いすることもありません

おだてられるとたくさん撮ります 笑

富士フイルムさんのX シリーズフェイスブックで 和の写心(毎週水曜日更新)を連載中。「イイネ」押してくださいね






by masabike | 2020-07-30 07:28 | 日本植物 | Comments(0)
<< 20200126パリオペラ座 #3 習作 ヒマワリ#3 >>