FUJIFILM X Series facebookより Ouchi de Shashin 2

【和の「写心」By Masaaki Aihara】

FUJIFILM X-H1 + Carl Zeiss Touit 2.8/50M　
フィルムシミュレーション：ACROS + Rフィルター　WB：電球

「Ouchi de Shashin」第２弾です。今回は瓶。広告撮影の世界では、瓶とか薬缶は光物と言われて、とても撮影の難しいものと言われています。光物専門の、広告撮影の匠たちもいます。でも僕もそうですが、今回の撮影は、商品を売るためのものではなく、１つのライトで、光と影を作り被写体と遊ぶ撮影。クライアントがいて、こうしてほしいとか、商品の訴求ポイントをアピールするとは異なります。

今回の被写体は家内の持っている香水の瓶。最初にお断りしておきます。特に香水の瓶でなくても良いですよ、皆さんのお家にもいろいろ瓶はあるはずです。ビール瓶、焼酎の瓶、花瓶、何でも良いです。ただし透明なものが良いです。この写真では画面右手からライトを当てています。そしてライトを上下させたり、近づけたり、遠ざけたり、あるいは瓶を回転させたりして、瓶のエッジやガラスのヒダヒダに映り込むライトの面白さを肉眼で見ながら調整して撮影しています。ストロボですと瞬間光で難しいので、スタンド等の定常光で行ってください。慣れてきたら、これに何かもう１個、小物などを追加するとさらに面白くなりますが、まずは瓶１つで試してください。

実は瓶を選んだのには１つ理由があります。昔、美大とか受験する学生の、デッサンの練習を見たことがあります。透明な瓶の向こう側に、リンゴを置いて、瓶を通してみたリンゴを描かせていました。さらに瓶に水を入れて難易度を上げて描かせているのを見ました。身近なもの、動かない静物をじっくり観察する、自分で光を調整してどう見えるかを考える。とても大事なことです。その中で自分の好きな光具合やアングルなど、ライティングと視点を見つけてほしいです。ただしこの場合のライトは１つにしてください。理由は、この世界では太陽は１つだからです。スタンドのライトを太陽だと思い撮影してほしいです。撮影で大切なことは、常に太陽は１つです

でも、こんなことして暇つぶしにはなるけど何か役に立つの？特に風景やネイチャーフォトの人たちはそう思いがちです。でもジャガイモや瓶ではなく、被写体が自分のお気に入りの木や岩、あるいは建物だったらどうですか？満開の桜の撮影は、もう無理です。でも秋になり葉が落ちた桜の木々の撮影の時などにとても役立ちます。目の前の木の立ち姿の、どこに光が当たるのが自分としては一番のお気に入りに思えるか？その視点を養えます。
また建物を仕事で撮影する場合は、平面図、立面図、日影図をお施主さんからいただき、丸１日ロケハンして建物の印影を見てから撮影します。
実は1998年、タスマニアを撮り始めた時に、自分の撮影に大きな課題がありました。足元の風景をしっかりと見ていないとのご指摘を、何人かの方からいただきました。大自然の撮影、ちまちま足元なんて見ていないよ、そう考えていました。でもタスマニアの風景を撮り始めた際に、地元で著名なフォトグラファー、ピーター・ドンブロフスキー氏の作品と比べると、自分の視点の薄さに気が付きました。足元、近接撮影の作品がない。悩みました。解決方法が見つからなかったです。だが解決は予想もしないところにありました。マンションのモデルルームのキッチンの撮影で、フランスの料理雑誌を小物で使っていた時、そのグラビアのテーブルフォトの写真に眼が止まりました。ナイフとフォーク、そしてスィーツを１灯でラィティングしてきれいに撮っている。あっ！これだと直感しました。ナイフとフォークを森の地面の枯れ枝に、スィーツを花やキノコに置き変えたとき、視点、構図、ピント位置、ライティング。すべての正解が見えました。大事なことは視点の引き出しの数です。関係ないと思われるものを撮ることで、見ることで常に視点の引き出しの数を増やしていく事が出来ます。すべての物は光と影　陰と陽からなっていることを学んでください。ぜひジャンルが違うからと軽視しないで、「Ouchi de Shashin」を撮ってみてください。これが写真上達の極意です。でもあまり上達すると、僕の出番が無くなるのでご注意ください（笑）

ともかくみんなでStay Home、お家にいましょう！！

　
Photography by Masaaki Aihara
http://fujifilm-x.com/ja/photographers/masaaki-aihara/
http://aiharap.exblog.jp/

いまはStay Home

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