ごあいさつ Un Autre ~巴里・光と影のグルメ~ 1980年代、パリ=ダカール・ラリーに出たくてパリに行くことを夢見ていた。パリダカにはついぞ出場できなかったが、夢は別の形でかない、2019年1月初めてパリに立った。目的はル・コルビュジエの建築を見ること、ブレッソンやドアノーが愛したパリの光を体験すること、ルシアン・エルヴェが撮ったエッフェル塔の構造美をこの眼で見ること。そして何よりもグルメを楽しむことだった。 軽い気持ちで、鳥が舞い降りるがごとく、降り立ったパリ。でも冬の光はパリがどうして人々を虜にするのかを見せてくれた。さらに少し偏屈と言われるパリ人たちの陽気な面も見せてくれた。そして何よりもその光と構造物と生活のコラボレーションが写欲を掻き立てた。 パリの光と暮らしの中で見たル・コルビュジエの建築。そのデザインの訳がほんのちょっぴり理解できた気がした。新雪の丘の上に立つサヴォア邸。まさに僕が撮りに来るのを待っていたような装いだった。 自分の心はオーストラリアの荒野のダイナミックな光、日本での伝統芸能の落語の世界の緊張した光で満足しきっていると思っていた。でも心が写欲と好奇心であふれかえりカメラは、レンズを満たす光をお代わり(Un Autre)と要求してきた。撮影は長年旅で使い慣れた、FUJIFILM Xシリーズで行い、プリントは写真弘社ラムダプリントシステムによる、銀塩バライタ紙でのプリント。デジタル技術とアナログシステム融合で作品を完成させた。 実は今回の写真展にはもう1つ裏の意味がある。今年3月で結婚10周年を迎えた。家内と10周年の記念に思いついたのが写真展。家内はル・コルビュジエを研究するキュレーター。僕は写真家である。ル・コルビジュエの体験した、パリの光と影を、家内の案内で旅をした。それを映像化することで二人の10年の時間の記念の結晶としたかった。そして結婚式の立会人が写真弘社 柳澤社長ご夫妻だったので、10年間のふたりの時間の報告とお礼も含めてこの写真展を企画し捧げたいと思う。ありがとうございました。
最後に素晴らしいプリントをしていただいた写真弘社スタッフの皆様 Xシリーズ カメラシステムをサポートしていただいた、富士フイルム 光学・電子映像事業部様に、御礼申し上げます。ありがとうございました
相原正明
![]() 万華鏡 エッフェル塔
パリで一番 ツボにはまったのがエッフェル塔。名物に美味いものなしという言葉があるが、エッフェル塔は別だった。下から見上げると、レースの編み物のような鉄骨は、金属の万華鏡のようだった
![]() ウエイトレスさん サンジェルマン デ プレ ![]() ポンヌフ橋 朝もや ![]() ポンヌフ橋 朝もや ![]() クロワッサン
パリに行き、一番感動だったのがクロワッサン。クロワッサンて、こんなにおいしかったんだとパリに教えられた。 ![]() なじみのパン屋さん マレ地区 昨年(2019年) 何度も通ったパン屋さんのおばちゃん。最後のころは座っただけで、クロワッサンとパオンショコラが出てくるようになった。帰国後、写真を送ると「また来てね」とお礼のメール。今回も訪れると、あら!と驚いてくれた。サービスのクロワッサンを出してくれた。これで世界になじみのお店が2つできた。1つはここ。もう1つはタスマニアの僻地のガソリンスタンド。世界の西と南の果てになじみのお店。地球が小さく感じてきた。 ![]() 交通整理のおばちゃん レ・アル駅付近
残念ながら僕はフランス語ができない。そんな時、ポートレートを撮るときにどうするか? 答えは1つ。相手のバリアを外すこと。笑顔でカメラを持って手ぶり身振りでお願いする。笑顔は最大のストリートフォトの武器である。 ![]() 小雨のカフェ ルイヴィトン財団美術館付近
冬のパリは底冷えする。撮影用の極暖ヒートテックをはいていても寒気はジワリと忍び込んでくる。ついつい暖かいカフェに、ホットチョコレートを求めて逃げ込んでしまう。小雨に濡れた、窓ガラスの光景が巴里だった。そして冷たい雨を彼女の笑顔が温かくしてくれた ![]() ![]() ル・コルビュジエの愛したレストラン プティ・サン・ブノア サンジェルマン・デ・プレ パリのレストランは狭い。隣の人と肘が触れ合う距離。フランス語の慣れないメニューと格闘していると、お隣さんが「これがうまいぞ」とメニューの一つを指さしてくれた。そしてウィンク。もう頼むしかないと思い、頼んだのがエスカルゴ。あまり今まで食べたことがない。エスカルゴが運ばれてきた。一口め「うまい!!」 お隣さんに「トレビアン!」というと「乾杯!!」になった。すると左隣の老紳士も、ワイングラスを僕に近づけ「乾杯」 フランス人 はフレンドリー。2回のパリであったフランス人、みんなよい人だった。おいしい食べ物とお酒と笑顔は世界をつないでくれると思う。 ![]() ル・コルビュジエの愛したレストラン サン・ジェルマン・デ・プレ
サン・ジェルマン・デ・プレにある小さなレストラン プティ・サン・ブノア。ここはル・コルビジュエが愛したレストラン。彼はいつもここで食事をしていたという。まさにパリの庶民の食堂。フロアーを仕切るおばちゃんの存在感がすごかった。テキパキ動き、注文は迷っていないで早くしない、なんか大阪のおばちゃんのパリ版だった。元気のよい女性の雰囲気は世界共通と認識した。ル・コルビュジエはいつもここで何を食べていたのだろう。そしてこんなおばちゃんに「あんた、メニューは決まったの?」と言われていたのかなと想像してしまった。 ![]() エスカルゴ プティ・サン・ブノア サン・ジェルマン・デ・プレ
サン・ジェルマン・デ・プレにあるル・コルビュジエの愛したレストラン一押しのメニュー。エスカルゴがこんなに美味いとは、初めて知った
![]() サンジェルマン・デ・プレ カフェ ドゥ・マゴ
ピカソやヘミングウェイはじめ、多くの文人 芸術家がここでお茶を楽しんだ。パリの文化の中心となったカフェ。ここにいるだけで、良い作品が撮れ、良い文章が書ける気がする。いつかここに通い、エッセイを書いてみたい。カッコイイギャルソンとおそろいのコートをまとった老夫婦が良い雰囲気だった。こうゆう夫婦になりたい。 ![]() ベルジェ通り ステーキハウスのマネージャー
肉を食うならうちしかないよ!そんな自信に満ち溢れたフロアーマネージャー。ビッグなステーキは時差ぼけで疲れた胃袋を目覚めさしてくれた。 ![]() ギャルソン リヨン駅 レストラン ル トランブルー ブルートレインの名前の発祥ともいわれる、パリ・リヨン駅の伝統のレストラン トランブルー。ユーラシア大陸を横断してきた人々は、昔ここで初めてパリに降り立ち、パリの香りを実感し食事をしたに違いない。 ![]() ポンヌフ カフェのご主人
小さなカフェのご主人。テキパキ目配せ。パリはどんな小さなカフェでもスタッフはみなプロフェッショナル。いごごちの良い時間はプロの人たちの仕事で生み出される。
![]() マレ地区 パン屋の職人さん
2019年のパリ。毎朝 通ったパン屋さん。パン職人さんとも顔なじみになり最後の日、こんなパフォーマンスだった。
![]() 朝ごはん マレ地区 ![]() ストリートパフォーマー パリ1区 ![]() サヴォア邸 外観 初のパリ訪問は、このサヴォア邸を見るために行ったと言っても過言ではない。運よく訪問当日はパリに雪が降った。新雪の丘にそびえるサヴォア邸を撮るために、人の足跡がつく前に到着したかったので、駅からタクシーを飛ばした。白い丘に白亜の作品。アドレナリンが出まくるぐらい興奮した。これを撮ったらもう日本に帰ってもよい。それぐらいの感動。多くのサヴォア邸の写真を知る家内も「いままでこんなサヴォア邸見たことなかった」と言っていた。撮影が終わるころ、見学の学生たちの一団がやって来た。もう雪も解け始めてきて、白い丘にそびえる白亜の建物の冬物語は終わりに近づく。まさにル・コルビュジエが撮らせてくれた一瞬。この時、この写真展を開催しようと決断した。 ![]() サヴォア邸 階段 ル・コルビュジエの作品の階段が個人的には好き。特に東京・上野にある国立西洋博物館の2階展示室にある階段が特に好きで、以前 Nikonさんで個展をする際に、3ヶ月かかり許可を取った。撮影はツボにはまり、画面のアスペクト比 焦点距離を変えて3時間近く撮りまくり、立ち合いのスタッフの顔に「まだ撮るの?」と出ているのを見た。特に階段につく手すりのデザインとレイアウトが大好きだ。 ![]() サヴォア邸 ![]() サヴォア邸 対比 ル・コルビュジエと言えばサヴォア邸というぐらいの有名建築物。特に今回は雪が降り、ふんだんな外光が入り、階段とかの曲線がきれいにライティングされた。特にこのカットは、廊下をセンターとして2つの階段の直線と曲線の対比を表現できたのでと手もお気に入りです。1ミリづつカメラを動かしアングルを探した。 ![]() 地下通路 ルイヴィトン財団美術館
このカットを、撮影をした後に突然 非常ベルが鳴りだし、画面の人物(実は警備員さん)に外へ至急出るように言われこれがラストカット。 ![]() エスカレーター ルイヴィトン財団美術館 ここでは展示作品はもちろん、エクステリアもインテリアも、そしてエスカレーターですら写欲を掻き立てられる作品だった。 ![]() ![]() 階段 マレ地区
結婚して撮影で変わった点がある。それは階段をよく撮るようになったこと。理由は奥さんが、階段フェチだから。 ![]() パリ オペラ座
ヨーロッパでオペラ座を見るのは、ブタペストに次いで2回目。そのどちらもオペラは見なくても、建物だけで見る価値は十分。パリのオペラ座だけで写真集が出来そうなぐらい凄いデザインだった。
![]() パリ オペラ座 エッフェル塔 鉄のモザイク エッフェル塔
パリで一番はまったのが実はエッフェル塔。1週間で2回訪れた。その訳は、あまりにも鉄骨の組み合わせが美しく、鋼鉄であんだシルクの網のようだった。パリに行く前に、ルシアンエルベ氏のエッフェル塔の作品を拝見して、美しいなと思ったが、実物を見るとここまで美しいと思わなかった。そういえば2008年に訪れたブタペストの駅も、エッフェルのデザインだと聞いた。シンプルで美しくかつ力強い。きっと彼の人生そのものなのだろう。
コンシェルジュリー
この美しい建造物が独房と聞いた時は驚いた。マリーアントワネットが処刑前70日間 ここに閉じ込められていた。世界一荘厳で残酷なぐらい美しい独房だ。世界にfashionというものを最初に流行らせたのがマリーアントワネットと大学の授業で習った。Fashionを追い求めた先が死だったとはとても残酷。だが内部は冷酷なくらい美しかった。できることなら次回は4×5のフィルムカメラでここを撮りたいぐらいだ。 午後のコンコルド広場
小学生のころ 超音速旅客機が初めて誕生した。その名はコンコルド。男の子たちのあこがれだった。その名前がパリの広場からつけられたのは大人になって知った。それ以来 好奇心で訪れてみたかった。いまコンコルドは飛んでいないが、ちょうどカメラを向けたら鳥が噴水のうえから羽ばたいていった。あたかもコンコルドのようだった。
パレ・ロワイヤル 薄暮 ルーブル美術館中庭
この日は朝からレオナルドダビンチ生誕500年記念展を見て、ルーブルの中を歩き回った。歩いた歩数は1万7千歩。歩き疲れたとき、ふと見た中庭の冬の光がさわやかだった。
エッフェル塔遠望 フランス建築博物館より ![]() 夜のルーブル美術館
小雨の中 夜のパリを歩いてみた。濡れた石畳を歩き、ルーブル美術館の中庭に入ってみる。そこはまさに言葉を失う荘厳さ、そして光の匠な演出。西洋の石の建築はまさに夜の光に生える。我ここにあり。建物がそう僕に告げているようだった。 ![]() 回転木馬 パリ市庁舎前
![]() 1600本の蝋燭に照らされた教会。パリの教会で唯一のゴシック建築。荘厳な建物に聖なる灯り。荘厳な光の中にスマホで浮かび上がった二人の顔。まさに現代の光と1600本の過去からの光の融合だった。
![]()
通りから、中のキャンドルが見えたので、のぞいていると信徒の方から「中にどうぞ」と言われて入り驚いた。聖人ジュヌヴエイーブ 生誕1600年を祝って、教会の中には1600本の蝋燭が飾られていた。まさに蝋燭の城のようだった。そしてお祝いのパンを信徒の方にいただいた。なにかとても大切なものをいただいたみたいでパリの小さな喜びだった。 ![]() サンポール・サンルイ教会 祭壇
教会も、日本伊勢神宮も、ウルル(エアーズロック)も、聖なる場所というのはなぜかいるだけでとても力をもらえ、かつすがすがしい気持ちになる。いろいろな宗教 信仰があるが、もともとはすべて同じではないかといつも思う。
![]() マレ地区 夕景
初めてパリに降り立ち、初めて歩き、そして初めて撮った街並み。心の中は弾んでいた。どんな光も楽しく魅力にあふれて見えた。
![]() マレ地区 客待ち ![]() 路地裏のレストラン パリ1区
立っているだけ、存在しているだけに絵になる。それがパリだと感じた。
![]() 小さなレストラン パリ1区
パリのレストランに行って初めて分かったことの1皿ごとの量が多い。日本で食べるフレンチは日本人サイズに合わせていることが分かった。この夜に食べたのも生ガキと魚のムニエル。それだけでおなかは一杯。セカンドのお皿やデザートなんてとても食べられなかった。フランス人は鋼鉄の胃袋を持っているに違ないとパリに来て実感した。
![]() 朝のカフェ マレ地区
冬のパリの夜明けは遅い。 朝8時になってもまだ暗い。でも夜明けのカフェはパリっ子たちが、1日の始まりを楽しんでいる。また1日が始まる。今日は どんな光と影のグルメが巴里で味わえるだろうか。 撮影機材 並びに撮影協力 FUJIFILM X-H1 X-Pro3 X-T3 FUJINON16mm 23mm 35mm 56mm Carl Zeiss Touit 12mm 32mm 50mm 富士フイルム㈱ カールツァイス㈱ 本写真展は年末もしくは2021年に再展示を予定しております 皆さまのご来場 心よりお待ち申し上げます
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by masabike
| 2020-04-06 22:46
| 写真展
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プロフィール
1958年東京都出身。日大法学部新聞学科卒。7年半のサラリーマン生活の後、パリダカールラリーを目指し、そのステップとしてオーストラリアへバイクでの砂漠縦断に行くが、そのままオーストラリアの虜になる。
現在はフリーカメラマンであり、フレンド・オブ・タスマニア(親善大使)としても活動中。 メールはこちらにお願いいたします。 masabikejp@yahoo.co.jp 写真のテクニカル的な質問には、クライアントさんとの関係もありお答えできない場合がございます。ご了承下さい。 ※ サイト内の写真の使用ならびに無断転用を禁じます。 Copyright©MASAAKI AIHARA ![]() ↑ブログランキング参加中。是非クリックして下さい。よろしくお願いします。 ◆相原正明オフィシャルHP New Photography coming Masaaki Aihara Official HP Masaaki Aihara Face book Face book 友達申請の時は必ずコメントお願いいたします。コメントがないと商人いたしまねます。 *相原正明作品収蔵のタスマニアクレイドルマウンテンThe Wilederness GalleryのHP http://wildernessgallery.cart.net.au/cat/2047951.html ◆相原の大型作品が 4点展示されています。 2007.4.27 OPEN モダンオーストラリアン レストラン「Salt」 http://www.pjgroup.jp/salt/ 新丸の内ビル6F (東京駅丸の内北口) ◆ご希望がありましたら、下記『ライフログ』より相原の作品をご購入いただけます。 タスマニアの四季を9万カットの中から厳選した写真集「静かな場所」と、13年間のオーストラリア撮影の総決算DVD写真集「虹大陸」がございます。 ライフログ
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