黎明山脈図
撮影地 長野県 乗鞍高原
FUJIFILMGFX50S+FUJINON100-200mm+テレコンバーターGF1.4×
黎明の高原、眼が慣れてくると、山並みの間にうっすら、霞がたなびくのが見えた。今回の乗鞍高原のロケ。紅葉を狙うのも目的だったが、メインは霞む山々の連なりを墨絵のように撮ることだった。
普段、写真展を見て自分のコンセプトの引き出しを増やしている。ただ引き出しを増やすには、写真展だけではだめだ。絵画や映画そして場合によっては、茶の湯なども大事だと思う。僕は絵画、日本画を見に行くことに時間を費やしている。特に雪舟等楊、長谷川等伯、与謝蕪村、そして横山大観が好きだ。
その中でも特に、長谷川等伯の松林図屏風の構図と筆のタッチが好きだ。ただこのかすれて消えていくような、筆のタッチを写真で表現するにはかなり難しい。見えないようで、よく見ると見えている。絶妙な消失感。
これを1発撮りで表現するには、従来の画質ではかなり難しかった。HDRや画像処理をすればある程度表現できたかもしれない。ただ日本画は、線の美しさ、墨の美しさを武器としているので、1発で描いている。それになぞらえるならば、写真も意識を集中させて1発で撮りたい。そのジレンマを解決してくれたのがGFXシリーズ。
5000万画素を超える高画質と、X-ProcessorProが作り上げる色再現は、日本画の巨匠たちの世界へ近づけてくれる。そしてこの高画質は、フレームの中のいかなる些細なことも、空気感も再現してくれる。実は今回の作品 遠近感と風景の大きさを表現するために、小さなアイキャッチを隠している。それが画面中央やや左にある、高圧線の鉄塔だ。高画素のカメラで撮る目的は1つ。写真展で大型プリント B0サイズぐらいで見せるためだ。引き伸ばしたとき、画面中央に鉄塔が見えて来ることで、風景のダイナミックさを誇張できる。風景写真に人工物?と、いぶかる人もいると思う。だが古典を見ると雪舟も蕪村も、点景として人工物を入れている。最後にシャッターを押すのは人間だ。古典に多くのことを学ぶことで、自分の作風の引き出しを増やし、GFXシリーズの世界最高峰のポテンシャルを思う存分引き出すことが出来ると信じている。
ブログランキング応援クリックお願いします。応援たくさんしていただけるとたくさん写真がアップされます 笑
下のランキングバナーをクリックしてください。