週末金曜日 TOP MUSEUMで「場所をめぐる4つの物語」写真展を見てきた。一番のお目当ては、ユージンスミスのカントリードクター。
大学の卒論で写真史をテーマに書いた時に、当時のBEST of LIFEでダイジェスト版を見た。ネットの無い当時では、全作を日本で見るのは不可能だぅった。でもフォトジャーナリズムの金字塔と呼ばれるユージンスミスのカントリ―ドクターはダイジェストでも21歳の学生には凄い刺激だった
当時、かれの水俣が注目されていたが、個人的にはこちらの作品の方が好きだった。今回初めて全作 オリジナルプリントで見たが、撮影時の気迫と緊張感が伝わってきた。たぶん、撮影前にストーリー展開と絵コンテをある程度予測していたと思うが、ドクターという緊急事態があまりに多いので、その場その場で判断して、絵作りとストーリー展開を常に変更と決定を繰り返していたと思う。緊張の現場で客観的に伝えるだけではなく、撮影者の考えを多く入れ、主観的にかつ正確に時系列を追いながら、ち密な構図を作りあげている。
そしてキャプションの妙。彼は1ダースの専門の分野が必要だと言う、カントリードクターが万能でなければならない大変さを言い表していた。コンセプト作り~ストーリー構成~撮影~フレーミング&シャッターチャンスの判断 そしてまた新たな展開。作品を見ながら息を止めてしまうほど引き込まれる。写真家は完成形を想定してすべてを自らの意志で判断することの大切さがこの作品には強く感じられた。都合3回見直した。
学生時代からの願いがかなうとともに、ダイジェスト版ではわからない疑問だった部分がよく分かった。
個人的にはやはりキッチンでお茶を飲む疲れ果てたドクターの写真が40年前と同じように鮮烈だった
今回この写真展 他3人の作者 奈良原一高さん 内藤正敏さん 山崎博さんの3人の作品も充分すごかった。特に奈良原さんの軍艦島、やはり学生時代にアサヒカメラの巻頭特集で見た記憶があるが、やはりダイジェストだったので、作品の流れがよく分からず消化不良だった部分がよく分かった。山崎さんの作品も同じだった。メディアの紹介ではわからなかった部分が、今回解明された
いずれにしても写真はやはり写真展で生の作品に触れるのが一番というのが確認できた。そして4人とも、その時と場所に同化して、時間の残酷なまでに正確な観察者になっていることもよく分かった。
さらにそのあと、僕は宮本隆司さんの「いまだ見えざるところ」展も拝見した
もうこれでもかというぐらいに心に写真がしみ込んできた。メーカー系でない純粋たる写真展は、作品ありきで力強くとても疲れる。でもそれだけ作品からオーラが出ている。メーカー系はどうしても、デジタルになってから「売るため」「スペックを見せるため」の部分が多く出てきてしまう写真展がしばしばあるそうではなく時と場所とどう対話するか、それを改めて考えさせてくれ、かつさらに自分ももっと撮らなければと、心を奮い立たせてくれる写真展群だった。
写欲を高めてくれてありがとうございました。それにしても疲れておなかが空いた写真展でした
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