対話

























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LUMIX G8+LEICA15mm Tasmania















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LUMIX S1R+LUMIX50mm Tasmania









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LUMIX G9Pro+LEICA8-18mm Western Australia
























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FUJIFILM X-H1+Carl Zeiss 32mm






















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FUJIFILM X-T3+FUJINON23mm




写真展 &写真集 Earthrait キュレーター解説より




Earthrait=対話

Earthrait」とは相原の造語である。「Earth」と「portrait」を組み合わせたこの言葉には、相原の写真に向き合う姿勢が表れている。

相原は30年にわたりオーストラリアを主な撮影のフィールドとしているせいか、日本の風景や人物を捉えた作品を発表すると、違和感を覚えられることが多々ある。オーストラリアの風景写真を撮る人がなぜ?と。それに対して、彼が常に答えるのが、自分は地球のポートレイトを撮っているので、そこがオーストラリアであっても東京の路地裏であっても、または人物や動物であっても、スタンスは変わらないと。彼は生き生きとした命あるものの相貌に常に向き合い、その最高の瞬間の表情を我々に見せてくれているのだ。

彼の撮影は「対話」である。対象を静かに眺め、一歩引いたところから全体を表現する作家もいるし、対象の奥底に潜むものを抉り出そうと闘いを挑むようにぶつかっていく作家もいる。そのなかで、相原の姿勢はつねに対象とフラットで、対話をするように撮影する。そうすることでいつのまにか相手の懐に入り込み、表情を引き出すのである。


相原は初めて訪れたパリの街角で、フランス語が分からないにもかかわらず、笑顔で相手に向き合った。そうすると、相手は初対面の写真家に対して、無防備になり、とびきりの表情を向ける。そこには言葉によるコミュニケーションは無いものの、カメラを通した対話が成立している。それは相手に対して壁を持たず、心を開くことで、相手の姿を引き出した瞬間である。また、ときに大柄な相原は完全に存在感を消してしまう。そうすることで、相手に自然な振る舞いを許すが、これは常に対話を繰り返してきた関係があるからこそ成立する。今、相原が取り組んでいるもう1つのテーマ、落語でも同じだ。開演前ピリピリした空気が張りつめた楽屋の中、舞台のそででの落語家の一瞬の表情は、こうして撮影される。



同様に、相手が大地であれば、その地に溶け込み、その地と語り合う。その土地に入ってすぐには撮らない。「大地とシンクロする」と相原は語るが、そうすると、大地はそれまで誰にも見せなかったような表情―神々しい光、風、雨、波、劇的な雲や稲妻など―を見せてくれるのだ。構図にまるでピタリとはまるように鳥が飛んで来たり、樹木にスポットライトが当たったり、風が一瞬止まって花が顔を向けるのも、まるで相手が相原に撮ってもらうために用意してくれているようだ。



誰しも相性というものはあろう。なかなか話が弾まない相手もあるし、久しぶりに会ったのに、昨日も会っていたかのようにすぐにうちとける相手もいる。相原にとってはオーストラリアはとくに相性が良い。オーストラリアも相原には話したいことがたくさんあるようだ。

長年にわたる相原と「地球」との対話のなかでも、とりわけ縁の深いオーストラリアのポートレイトが紹介される。対話はまだまだこれからも続く。次は何との対話を見せてくれるのか、楽しみである。




キュレーター(美術史) 林 美佐





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by masabike | 2019-06-02 22:43 | 写真展 | Comments(0)
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