晩夏海景図 FUJIFILM X Series FBより

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【和の「写心」By Masaaki Aihara】

「晩夏海景図」千葉県 九十九里浜
FUJIFILM GFX 50S + FUJINON GF32-64mmF4 R LM WR

朝起きたら、風の香りが変っていた。夏が去っていくのを実感した。この空気感を絵に収めたくて、海水浴客がいなくなったビーチに向かう。

三脚を揺らす風にもう夏はいなかった。この空気感を出すという事が実は一番大変。そこで選んだのがGFX 50S。奥行き、空気感、湿度感これを表現するのにこれほど最適なカメラはない。広告代理店のサラリーマン時代、ある食品会社の毎月出る広告を見るのがたのしみだった。作品はアメリカの片田舎の道、道路標識、雲、古いダイナー、柵など何気ないものを撮っている。でもその存在感が圧倒的だった。いつかそんな広告写真を撮ってみたいと思っていた。会社にはスタジオ部門がありそのチーフカメラマンの方に「この広告の写真が好きで、こんなの撮りたいです」というと「では、大判カメラを買いなさい。これは35mmや中判では無理な臨場感だよ。大判で撮っているのは間違いない」と言われた。それから僕は大判の4×5カメラとFUJINON 90mm、135mm、250mmを買った。そして大判で撮るとカメラと被写体の間の空気感、それと被写体の背後に潜むものを撮れることを体感した。

いまは大判を持ち歩くことは少なくなった。でもそのその代りGFX 50Sがある。当時の大判に匹敵、あるいは凌ぐ解像力と空間の表現力。さらに7種類のアスペクト比。心の中の映像を具現化するために生まれてきたカメラと言っても良い。

流れ去る雲と、空の大きさを出すために小さく画面下に入れたテトラポット。小さくても表現してくれるGFX力を期待してのフレーミング。

撮影が終わり、PCで確認すると、さっきまで立っていた、夏が去ったビーチの空気がモニターの上に捕獲されていた。モニターに近づくと潮の香りがしたのは錯覚だろうか? なんとなく僕はあこがれだった広告作品に近づけた気がした。





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by masabike | 2018-09-20 08:18 | 日本風景 | Comments(0)
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