FUJIFILM X-T2+FUJINON10~24mm
タスマニア クレイドルマウンテン にあるCradle Mt Hotel。ここに泊まると全館僕の作品で埋め尽くされているので、泊まりながらとてもうれしく興奮する。その訳は、このホテル併設のオーストラリア最大の写真ギャラリー"The Wilderness Gallery"で2004 2007 2010と三回の個展をやらせていただいた。そしてそれぞれの個展がロングランで、1年~1年半の展示となった。集客と作品販売が良いと展示期間が延長されるからだ。でもだめだと打ち切りになる、とてもシビアだ。そして終了後作品はすべてGallery収蔵となった。
そしてこの3回の個展のあいだ、通算1年半以上僕はこのクレイドルマウンテンにいた。自分の家以外で、一番長く暮らしたことがある場所がCradle Mt。ある意味第2のふるさと。村の人やレインジャーもよく知っている
そしてこのギャラリーはフォトグラファーにとってとても厳しいことがある。それは自分の被写体が、窓を開ければそびえていることだ。そう、このギャラリーは世界遺産クレイドルマウンテンに隣接して立っている。だから窓を開ければ本物が見える。つまらない作品や、弱い作品を撮ると、お客様から「君の作品を見るより、窓を開けて外を眺めたほうが素晴らしいよね」と言われてしまうからだ。それぐらい窓を開けて外を見ると、素晴らしい光景が広がっている
PENTAX 645+SMC200mm+FUJIFILM Provia100F
だからこそ写真展で滞在しる間、毎日森と大和湖に通いづくめて作品を撮った。でもここに大きな壁というか、落とし穴があった。毎日いると、天気も読めてくる。そうしているうちに、今日は天気が悪いから、行っても大したのが撮れないから、ゆっくり寝て居よう。そうゆう、危ない心の悪魔がささやくようになった。でも永遠にここにいるわけではない。ここにいられるチャンスといるためにここに僕は存在していると考えた。だからどんなに天気が悪くても、朝夕は撮影に行き、日中はギャラリーで店番をしていた。それでもしばらくすると、だれに命令されたわけでもない、だれも見ているわけでもない、だったら毎日、撮影に行っていると嘘をついてもばれないのではと考えてみた。でもたった一人だけ、その嘘が通じない人がいることも気が付いた。嘘が通じない人‥‥、それは自分。。
やはりこの大きなチャンスを逃さない、それは自分に嘘をつかないことと分かった。そして僕は毎日、タスマニアの森に通った。その努力の成果が実り、ギャラリーにデンマーク王子様と王女様がお越しになられ際、絶賛のお言葉を頂戴した。それが僕が親善大使になるきっかけでもあった
毎日毎日地道に、そして好きなことだから逃げず向き合い、撮影して作品とする。でも少しでも気を緩めると、怠け癖が付いてしまう。たとえば、現場に行かなくても、泊まっているバンガローの窓やベランダから撮ればいいやとか、友達が来たからお酒を飲んで本日は撮影休業。でもそんなときに素晴らしい、光が来たら写真家としてはおしまい。どこかに住んだら風景写真なんて、撮れる。絶対にチャンスは逃さない。誰しもそう考える。でもそこには前に述べたような、大きな落とし穴がある。移住し住み着くことで、日常化して、日常に流されてしまうことの怖さを痛感した。そのいい例が日本にもたくさんある。多くの写真家が住み着いている、富良野や富士山周辺、でもいまだに前田真三さんや高橋真澄さん、あるいは大山行男さんや岡田紅葉さんを超える作品を拝見したことがない。もしいらっしゃったら僕の不勉強で申し訳ありません
住み着いて作品を作るそのためには背水の陣が必要と痛感したのがクレイドルマウンテンだった。もし写真家が、部屋の窓やベランダから作品を撮るようになったら、あるいはお酒を飲んで朝撮影に行かなくなったら、それは写真家をやめる時かもしれない。その訳はその写真を見せられたお客様が一番かわいそうだからだ
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