FUJIFILM X series Facebook 7月5日より転載 

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【和の「写心」 By Masaaki Aihara】

「回想」大阪・池田市 アゼリアホール
FUJIFILM X-T2 + FUJINON XF16mmF1.4 R WR
フィルムシミュレーション ACROS + Rフィルター
ISO6400 電子シャッター使用

 4月のいけだ春團治まつり。舞台の袖で一人の落語家が突然、目頭を押さえ沈黙している。その落語家の名は「桂春之輔師匠」。この3年間、いつも撮影させていただいている師匠。僕の中ではいつもクールで淡々とした方。そしてその話芸もじっくりクールに聞かせる師匠だった。その方が目頭を押さえこぼれる涙をぬぐっている。その訳はこの日、昨年亡くなられた3代目桂春團治師匠を偲び、春團治師匠が女優・雪村いづみさんと共演された映画「そうかもしれない」を鑑賞すると言うイベントがあった。映画の途中から、春之輔師匠はハンカチを握りしめていた。やはり春團治師匠に弟子入りして、長い間時間を共にされていた、そして自分を育ててくれた師匠への思いがよみがえり、心の中を思い出が走馬灯のように走りまわっていたのだろう。映画終了後、壇上で他の春團治一門の落語家さんたちと、講演が予定されていた。その出待ちの時に、舞台の袖で、春團治師匠との思い出が感極まり、師匠の涙の堰を崩されたのかもしれない。僕は静かにそしてすばやく、春之輔師匠に影のように近づきシャッターを押させていただいた。X-T2の高感度性能、電子無音シャッター、そしてXF16mmの開放値F1.4が一瞬のシャッターチャンスを捉えることが出来た。写真の最大の武器はその記録性だと思う。2018年春、4代目桂春團治師匠を襲名される予定の春之輔師匠。この時、3代目春團治師匠との思い出をかみしめていたに違いない。僕はファインダーの中の春之輔師匠の横に3代目春團治師匠が座られているように見えた。

 デジタルになりフィルムでは撮れない光の世界が撮れるようになった。さらに電子無音シャッターの搭載で、シャッター音がネックとなり撮影できなかった世界が撮影可能になった。Xの技術進化が今回の作品を撮らせてくれた。来春、春之助師匠は4代目春團治の襲名、僕はX-T2でその大事な瞬間を追いかけてみたい。大事な時にいつも僕はX-T2といる。

 
撮影協力 いけだ文化振興財団

 
*電子シャッターを無音にして使用される際は、撮影ルールを守り、モラルある撮影をお願いいたします。






by masabike | 2017-07-06 09:09 | 落語 | Comments(0)
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