和の「写心」《番外編》 By Masaaki Aihara】 「Good morning」 ニュージーランド 旅に行くと、素晴らしい瞬間は思いがけない時にやってくる。僕は撮影に行くと、できる限り泊まった町で朝に散歩をして、その町の朝の表情を撮影する。以前友人で、オーストラリアのフォトグラファー、ピーターさんがお子さんと観光で日本に来た。運悪く春の受験シーズン。どうしても一泊だけホテルがとれなかった。「よければボロ屋だけどうちに泊まらない?」と尋ねると「マサの家には東に向いた窓はあるのかな?そこから写真は撮れる?」と聞かれたので問題ないよと答えた。彼らは日本の家庭は初。ホームステイで我が家にやってきた。 明け方まだ暗いうち、我が家の二階の雨戸が開く音がして、シャッター音が聞こえてきた。そのあと彼は、散歩に出かけて一時間強したら戻ってきた。「牛乳配達の青年を撮らせてもらった」と嬉しそうにしていた。でもひとつ僕は疑問がわいた。朝ごはんを食べながら彼に「せっかく、ホリデイで日本に来たのに、もしかしたら仕事の撮影も兼ねているの?」と尋ねる僕に彼は衝撃的な言葉を言った。「旅に出たら、必ず早起きして東側の窓を開けて、その町の朝日のシーンを撮り、散歩に出かけて朝の光で写真を撮る。それは自分に課した義務」「でも今回はお子さんも一緒だからのんびりすればいいのに、どうして?」「マサ(彼は僕のことをこう呼ぶ)、自分の師匠から教えられたことがある。世界で一番最初に、ベットから起きて撮影し、世界で一番最後に、ベットに入るカメラマンしかこの世界で生き残れない、そう教えられた」「厳しい。でも、ピーターの師匠って誰なの?」「ヘルムート・ニュートン」一瞬、耳を疑い目の前が真っ白になり、心の中に隕石が落ちたような衝撃だった。あのセクシーな作品を撮る、世界の巨匠ヘルムート・ニュートンにそんなシビアでハングリーな一面があるとは思わなかった。ピーターは数年間、彼のもとでアシスタントをしたらしいが忙しくてほとんどスタジオに泊まり込だったそうだ。 再びピーターに尋ねた「そうは言うけど、ひとつ質問がある。僕のタスマニアのホームステイ先の家族が、そんなに写真ばかり撮らずに、たまにはのんびりして釣りに行こうと、言われるけどその場合はのんびりしたほうが良いのかな?」「マサ、死んだらみんな一生のんびりできる、ずっと眠ることが出来る、写真家として生き残り作品を残したいのだったら、一生懸命写真を撮れ」と言われた。そして僕は今でも、ヘルムート・ニュートンが愛弟子に伝えた教えを守っている。 X-T2のプロトタイプがやってきた翌日、僕は南半球に旅立った。晩夏の光が残るニュージーランド。朝ホテルから出て、朝ご飯を兼ねて散歩した。きれいなニュージーランドの街並みをスナップしながら南半球の風と光を楽しんでいた。地元のカフェに入り、カメラを置いてコーヒーを待っていた。外は晴れているもののすこし雲が多い。その日の仕事で撮るイメージを頭に描いていたその時、心の撮影モードスイッチが入った。急に晴れ間の光が向かいのソファーに差し込み、不思議な模様に見えた。そしてバックにブロンドの女性が本を読んでいた。心に写真の神様が「早く撮れ、急いで撮れ、たくさん撮れ」と語りかけた。すぐさまX-T2を手に取る。新しくなったファインダーは、瞬間的に心の中に描いた構図を狙えるぐらいにフォトグラファーにシンクロしてくれる。100フレーム/秒のファインダーは滑らかに、そして正確に表現してくれる。±5 段階の露出補正は、心の中で見えた光と影に画像を近づけてくれる。そしてファインダーは正確に、ボケ味、コントラスト、色彩を再現してくれる。ファーストショットを撮った後、ファインダーの中に正確に見える映像はより、心の中のイマジネーションを発展進化させてくれた。気がついたらさらに数十枚撮っていて、お店のスタッフが、少し戸惑った表情で「コーヒーをテーブルに置いていいかしら?」と尋ねてくれた。 X-T2は極限にある光と影と色彩だけではなく、日常に潜む、何気ない一瞬を、見つけて、素晴らしい作品として作り上げてくれる。その訳は、あなたが何か感じて、心の絵に作り上げたときに、X-T2はファインダーを覗いた人の心とシンクロしてくれて写真から「写心」にしてくれるからだと僕は思う。極地から日常までX-T2はあなたの人生に、写真は素晴らしい、楽しい、そして撮れてよかったという充実感を残してくれるだろう。ぜひX-T2のファインダーを覗いてみてください。あなたの心に描いた世界が見つけられるはずです。
by masabike
| 2016-08-01 07:30
| 旅
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プロフィール
1958年東京都出身。日大法学部新聞学科卒。7年半のサラリーマン生活の後、パリダカールラリーを目指し、そのステップとしてオーストラリアへバイクでの砂漠縦断に行くが、そのままオーストラリアの虜になる。
現在はフリーカメラマンであり、フレンド・オブ・タスマニア(親善大使)としても活動中。 メールはこちらにお願いいたします。 masabikejp@yahoo.co.jp 写真のテクニカル的な質問には、クライアントさんとの関係もありお答えできない場合がございます。ご了承下さい。 ※ サイト内の写真の使用ならびに無断転用を禁じます。 Copyright©MASAAKI AIHARA ↑ブログランキング参加中。是非クリックして下さい。よろしくお願いします。 ◆相原正明オフィシャルHP New Photography coming Masaaki Aihara Official HP Masaaki Aihara Face book Face book 友達申請の時は必ずコメントお願いいたします。コメントがないと商人いたしまねます。 *相原正明作品収蔵のタスマニアクレイドルマウンテンThe Wilederness GalleryのHP http://wildernessgallery.cart.net.au/cat/2047951.html ◆相原の大型作品が 4点展示されています。 2007.4.27 OPEN モダンオーストラリアン レストラン「Salt」 http://www.pjgroup.jp/salt/ 新丸の内ビル6F (東京駅丸の内北口) ◆ご希望がありましたら、下記『ライフログ』より相原の作品をご購入いただけます。 タスマニアの四季を9万カットの中から厳選した写真集「静かな場所」と、13年間のオーストラリア撮影の総決算DVD写真集「虹大陸」がございます。 ライフログ
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