FUJIFILM X series Facebook 6月24日より転載 

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和の「写心」《番外編》 By Masaaki Aihara】

「湖水暮色図」
オーストラリア・タスマニア州 セントラルハイランド
FUJIFILM X-T1 + FUJINON XF16mmF1.4 R WR
フィルムシミュレーション Velvia/ビビッド
撮影協力 タスマニア州政府観光局 カンタス航空

タスマニアの中央部にお気に入りの湖がある。山奥の湖のほとりでテントを張り、独り風と光を楽しみ撮影をする。ここは実は人造湖。水位により湖底から姿を現す木の形が毎回異なる。だからいつ行っても、水位と光と雲の組み合わせで異なる作品が撮れる。そしてここは南極大陸からオーストラリア本土に流れる風の通り道。常に見たことがない光と雲を提供してくれる。

風景写真の場合一番の醍醐味と難しさはイレギュラーな状況。晩夏のこの日「今日は曇り空で雨も降りそうだから、早めに撮影を切り上げてキャンプのご飯を食べて、久しぶりに落語かオペラでも聞きながらキャンプの夜を楽しむかな」と思い、夕飯の支度を始める。突然曇り空から弱い光が差し込み、あたりがピンクになる。それまでの雨に向けてのセッティングであるAstiaモードから晴れのセッティングVelviaモードに変更した。ピンクの空はわずか2~3分。その間に露出とカメラポジションを変更して数十カット撮る。そして現れたときと同じように、ピンクの空は消えて行った。タスマニアの神様が「今日はもうお終い」と僕の心に語りかけてきた。

いい作品を撮る為にはどれだけ、カメラが自分の体の一部になれるかが大事だと思う。だからいつもカメラを持つ、できれば同じシステムのカメラを持つ。それは良い作品を生み出す最短で最善の道。X-T1はスペックも素晴らしいが実は一番大切なことは、露出補正ダイヤルやISO感度ダイヤル等の操作系が、あたかも水が山の高みから大海に流れるように、スムーズな流れで出来ること。イレギュラーな光を求めるときにそれはとても大きく、カメラ雑誌やネットではあまり論ぜられていない大切なこと。そしてQボタンのカスタム設定も大切だ。オーストラリアではカスタム設定を次のようにしている。
C1:モノクロ、C2:ベルビア、C3:アスティア、C4:クラシッククローム、C5:プロネガ。カスタム設定は、僕の場合は風景を撮るとき、同じ風景でも日本を撮るとき、また落語などの舞台を撮るときでは設定値や順番を変更している。人により賛否両論があるが、僕は異なるシチュエーションやジャンルの撮影が多いのでそのようにしている。梅雨の季節、そして梅雨明けの季節、色と光は瞬く間に変わる。カメラを体の一部にすること、そしてカスタム設定を使い切ることで、一生に一度のチャンスが物にできるかできないかが、変わってくる。ぜひ時間がある日常で、あなたのXを体の一部にする練習をしてみてください。光あふれる夏はもうすぐそこです。

Photography by Masaaki Aihara


by masabike | 2016-06-25 08:31 | Comments(0)
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