プロフェッショナルでありつづけること 20160604

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撮影原版 FUJIFILM Velvia 100 /120  PENTAX645NⅡ +SMC35mm

 昨晩、サッカー キリンカップを見て興奮しすぎて疲れてしまった。それぐらいゴールラッシュで選手の皆さんはパフォーマンスを見せてくれた。特に岡崎は値千金の先取点。最近はオリンピックもあり、バレーボールのテレビ観戦やテニス・フランス大会もありスポーツ観戦が忙しい。

でもそこで考えてみることはこの人たちの、厳しさストイックさ。このテレビで見ている選手の何万倍の人たちがその底辺にいる。プロでも陽の目を見ない。プロになれない。代表ナショナルチームメンバーやシード権を得ても、結果が残せなく来シーズンお呼びがかからない。試合という限られた時間とその中でのチャンスでいかにパフォーマンス出してアピールし、結果を残すか。とても明確でありとても残酷な世界。「本当は自分もこの試合の場に立ちたい」と思って、テレビを見ている選手がどれぐらいいるだろう

 これは写真の世界、いやアートの世界も同じ。1995年にプロになったが、それから20年。多くに写真家とお会いしたが、多くが1回の個展あるいはグループ展で消えて行った。カメラメーカーの広告に出ていた人でも、今はほとんど消えてしまっている人も多い。それ以前の広告代理店時代に知り合った、写真家、イラストレーター、クリエーターで消えて行った人のなんと多いことか。今自分がここにこの世界で生き残っていることはかなり奇跡だと思う。

 ただ自分として常に守っていることはいくつかある。常に次の高みを目指しこと。常に新しいテーマーにもトライすること。常に妥協しないこと。常に群れずに、一匹狼であること。人のアドバイスを聞くこと。プロになる前の時の気持ちを忘れないこと。常に背水の陣を引くこと(ここで手を抜いて撮れば消えるぞという自分で自分を脅すこと) 

そしていざ大事な仕事や写真展の決めの作品を撮るときは300%のパフォーマンスを発揮すること。つまりキラーフォトを撮ること。誰もが見たら絶対に忘れない一コマ。フォトグラファーの名前がなくても、誰が撮ったかわかる写真、広告であれば、企業や商品の名前が浮かぶ作品。それを撮るようにというか、撮らなければならない。撮れなければベンチスタッフやプロ降格が待っている。きれいな写真、珍しい写真ではプロになれない。作品=フォトグラファーの名前あるいは世界観がおもいうかぶことだ。

2003,それまでのプロビア100での全世界広告用ポスターの評判を買っていただき、new Velvia100/100Fの広告写真のオファーが来た。プロビアと同じく「一度見たら絶対に忘れられない写真=Velviaの顔」となる作品を2週間以内にキラーフォトを撮ってくると依頼だった。毎回このような時は命を削り、倒れそうになるまで頑張り、被写体と刺し違える覚悟で作品を撮る。撮れなければ死んだも同じ。この時はオーストラリアで奇岩を撮った。撮影中、眠い、疲れた、誰も見ていないからもうこれで撮影を止めてもわからないよ。悪魔のささやきは多い。でもやめていたら今はない。帰国後、自分の作品が世界中のカメラ店にあるのを知り、見るとまた頑張ろうと思った。そしてそれがプロになる前から含めると20年以上続いている。

今年はフォトキナの年、多くのカメラメーカー&映像メーカーが新製品を出してくる。またそろそろテレビでも4K映像がメインとなってくる、そのための新しいコンテンツが撮れる作家が求められる時代。そのための作品が必要となる。そこに呼ばれそこでどれだけパフォーマンス出せるかがこれから生き残る道だ。トークショウが面白いから、キャラが面白いから、SNSで「いいね」が多いから、そんなものは世界で戦うとき対して役に立たない。最後は作品だ。どんなにキャラが面白くてもゴールネットがゆらせないサッカーのストライカーではお終いだ。トラは死して革を残すという言葉があるが、写真家も死んだら残るのは作品だけ。キャラもSNSでの評判も時の流れに消えてしまう。消えないのは作品だけ。

プロのスポーツ選手の試合を見るたびにこんなことを思います。消えないように頑張ります



by masabike | 2016-06-04 12:03 | 写真アート | Comments(2)
Commented by K.Yamada at 2016-06-05 21:06 x
昨日から、この文章を何回も読み、感動しました。
最初に読んだとき、プロ写真家の激烈な気迫、オーラが伝わり、自分の体が固くなってしまいました。
私は、ただの爺ちゃん写真撮影趣味人ですが、私が所属する写真クラブの方々には、「あ~ この写真はYamadaさんが撮った写真だ。」と思われるような写真が撮れるようになりたいです。
Commented by masabike at 2016-06-07 09:19
yamadaさんへ
ぜひOnly oneの世界へ
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